167. 振り返り3 (2008/7/22)


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■41. 子猫 (1999/7/11)

子猫をもらって飼いはじめたばかりの頃のことを、ネコの生態とか飼い方の説明とともに書いた回。結構当たり前のことを書いているが、猫の性格付けを人間の場合にも当てはまるのではないかと考察したり、流れの中で二つの死(母親の飼い犬の交通事故死と祖父の死)についても書いたりしている。

かわいいネコは人間によくかまわれて人なつっこくなるのか、あまりかまわれたくないと思ってそっけなくなるのか。どちらにせよ外見が性格に影響するように思う。小倉優子がコリン星とか不思議な言葉遣いで売っているのは、まあそういうキャラを狙っているからという身もふたも無い理由もあるが、あのかわいい容姿があるからこそ周りの人間が相手にするのであのような性格が維持されたのだと考えることができる。もしブサイクな人があんな不思議ちゃんだったら誰も相手をしないのでおのずと性格が矯正されていくだろう。

■42. 陰謀 その1 (1999/8/4)

週刊アカシックレコードというホームページ+メールマガジンで読んだ面白い記事を紹介してまとめた回。国際的または国内の政治や経済について読者の興味を引く形で長めの文章で書かれている。こんなものは陰謀論だと否定的に捕らえられることも多いが、それは読む人それぞれが判断すればいいことだと思う。私自身に関して言えばわりと信じている。さすがにこじつけすぎだと思うこともあるが、表のマスコミだってそれほど信じられるわけではない。世の中は白と黒よりも灰色が圧倒的に多く、はっきりこれだと言えるようなものは当事者の間ですらなかなかないことだと思う。だから余計こういう内容は胡散臭く思うのだが、事実の断片を物語としてつなぎあわせることで初めて見えてくる何かというものもあるのではないだろうか。結果的にウソになるとしても。

それはともかく最近の週刊アカシックレコードは更新頻度が低く、作者の小説をもっぱら宣伝する媒体になっていたり、わざわざ断定するほどのことでもないこと(ヒラリーが大統領になる)を断定した挙句、外れが濃厚になってから見苦しい言い訳をしたり、過去ハズシた予測記事を目立たないようにしたり、どうでもいい個人ブログからの批評に過剰に敏感になったりと、残念な方向に進んでいっている。私は自分なりの価値基準として、品性のないものに対しては信を置かないようにしている。人間が一生のうちに出来ることは限られていそうだから、もうこの人はこれで終わりなんじゃないかと思うが、まだまだこれからもっと先行きの見えない時代になりそうなので復活を期待したい。

ところでこの回に「その1」とついているのは、そのあと木村愛二という人の「憎まれ愚痴」(http://www.jca.apc.org/~altmedka/)というページを紹介するつもりで、さらにこの手のサイトの紹介をシリーズ化しようとしていたからである。しかし他人のサイトの紹介ばかりするシリーズというのは、自分の考えを誰かに聞いて欲しかった当時の私にとっては退屈だったので結局続かなかった。いまだったら書けると思う。木村さんは今もがんばっているみたいで嬉しい。第二次世界大戦中にナチスがユダヤ人を大量虐殺したとされるホロコーストについて、結果的に大量のユダヤ人が殺されたのはゆるぎない事実としながら、ナチスによる虐殺の計画やガス室まであったかどうかについては懐疑的だという主張をしている。ホロコーストの研究すら禁じられているドイツの法律や、文藝春秋社の雑誌マルコポーロが圧力で廃刊になったことは、いまだにおかしいことだと私は思う。

そうそう思い出した。神保さんという人のアジア国際通信も紹介するつもりだったが、この人は途中で怪しい新世代の燃料とかいうものの紹介記事を書いたり、読者からの意見に対してやたら被害妄想な反応をしたあげく、ページを放置してサイト自体がなくなってしまった。この人にいったい何が起きたのか非常に気になる。

■43. 創発 - カオスの発生 (1999/8/19)

宇宙から飛んでくる電波を不特定多数の参加者によるコンピュータ処理で解析しようというseti@homeという企画の説明から始まり、まるっきり異なる二者間に意思の疎通などというものはありえず、意味を解読する行為というのは結局のところそれぞれの人間の内部の行為に過ぎないと主張している。題となっている「創発」という言葉は、人間が自分以外の何かに対して意志の存在を感じる瞬間をあらわす概念のことを指している。

自画自賛だが今でも自分でびっくりするほど完成度の高い文章だと思う。が、ここに書いてある「哲学」の考え方は大学の講義で習ったことだし、暗号についてもどこかで読んだり大学で教官が話していたことである。ただ、目の前にいる人間とごく当たり前の会話をしても「本当に意志が通じたのだろうか」と疑問を浮かべるのは私のような頭のおかしいごく一部の人間ならではのことだろう。

ちなみに、電波の干渉帯をも宇宙人と断じた友人のセンスは、谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」に出てくる情報統合思念体に近いものを感じる。その友人はSF作家の神林長平のファンだったのでこの人がそんなのを書いていたのかも。

■44. 給料 (1999/9/16)

サラリーマンの給料の話。当時は学生必見だと思って書いたが、サークルのOBなんかからある程度話が聞けるだろうし、そうでなくても今ではリクナビや2ちゃんねるなどのネットが発達しているので、就職活動を始めた学生なら誰でもある程度はこのくらいの情報を持っているのかもしれない。

■45. ガルベス改め… (1999/9/20)

初めての自作パソコンとして命名ガルベス(すぐに熱くなることを会社の同僚Mが巨人にいたピッチャーのガルベスに掛けて命名した)を組んでから時間が経ち、今回はパワーアップさせた話。13.5GBの7200rpmハードディスクやnVIDIA RIVA TNT M64なんかを喜んで買っているところが微笑ましい。いまだと単なる記録的な意味しかない回。

いきなりMicrosoft Officeを不正利用する記述があるのが怖い。もちろんいまはちゃんと買っている。しかし私が買ってすぐにフリーのオフィスを使うムードがかなり高まった。2007はUIが使いやすくなったと評価する人もいるが、あまりに変わりすぎたし肝心の機能に欠陥があると散々な評判を聞く。

■46. ジャンクPC (1999/9/28, 1999/10/4)

前回自作機ガルベスを組みなおしたときに要らなくなったパーツを再利用しようとして、パーツを補充してあまり性能のよくないマシンをもう一台作ったときの話。ジャンクという言葉の用法を間違えているのは本文にも書いておいた。さすがに、本当のジャンクパーツをテスター片手に修理しながら再利用するなんてことはできないのでやっていない。がんばればヘタった電子部品を調べて交換するぐらいは出来るかもしれないが、この手のパーツの電子部品はとても小さくて多く、労力に全然見合わないだろう。ともかく、安くて怪しいパーツを吟味して組み立てたのは面白かった。

後半はLinuxの進歩についても書いている。二回に分ければいいのに、なぜか一回にくっつけているのは、独立した一回にするのが面倒だったからなのだろうか。

■47. ウォール街 (1999/10/20, 28, 29)

いまちょうどサブプライムローンで国際的に金融業界が揺れているが、まだ金融業が絶好調だったときに金融業について書かれた新書を三冊読んで自分で分かりやすそうな例を適当に追加して噛み砕いて説明したつもりになっている回。いま読んでも明らかに間違いだと思うような箇所はそんなになかったが(それでも色々ある)、だいぶ微妙な箇所が沢山あるので、読むのを積極的に勧めることがはばかられる。でも、世の中で一番給料が高い人たちは?というつかみは自分で言うのもなんだが悪くなかったと思う。それに、こんなに初歩から地道に説明するのは、その道の人にとっては逆に面倒くさくてやってられないと思う。

最近はあまり経済や金融について詳しく掘り下げて書いていないが、いまちょうど金融業の仕事をしているのでそのうちまた何か書くと思う。

◆M1. メモランダム (1999/11/11)

コラムとエッセイの違いとか、日記サイトは情報がまとまっていないのでつまらない、みたいなことを書いただけの回。おまえのほうがつまらん、と当時の私にツッコみたいぐらいの内容しかない。

■48. 仕事人間と恋愛人間 (1999/11/12)

前半は仕事人間を初めて間近に見てその悲哀を語り、後半はそこから一気に恋愛至上主義への痛烈な批判を展開している回。定年を迎えるのは仕事も恋愛も一緒なわけで、卒業したあとにそれに拘っていると疎まれるのも一緒。我ながらひねくれた小賢しい主張だと思うが、最後に書いたようになるべく多くの人が不幸ではなく幸せになってほしいというのは本音である。

◆M2. mpman (1999/11/16)

全世界的な大ヒットにより音楽の流通までも変えてしまったiPod/iTunesが出るまでに様々なシリコンオーディオプレイヤーが出たが、その記念碑的な製品であるmpmanを買って使った経験を語っている回。記録的な価値だけはあるかも。

■49. VAIO PCG-737/10G/128 (1999/11/19)

社会人一年生の頃に買ったノートパソコンをしつこく強化しただけの回。ハードディスクの交換がいかに大変だったかということだけが伝わってくる。

◆M3. ソフトウェアライセンス (1999/11/29)

ソフトウェアを商品として売って儲けることが出来るのは、マイクロソフトのビル・ゲイツが考え出した使用権という考え方のおかげである。しかしそのせいで私たちは従来の常識では考えられないほど不利な契約を強いられている。ただ、ソフトウェアの発展には仕方の無い面もある。それよりも問題は独占だろう。ここ最近になってようやく国家レベルで企業に命令や制裁を課すようになったのは良いことである。

◆M4. 自然に帰れ? (1999/12/8)

行き過ぎた工業化社会を批判する知識人は、自分たちの存在を否定しているも同然である。学問や文学なんかは人類に余裕ができて初めて充実する。産業が軽視される社会に腹が立っていたので勢いで書いた。

◆M5. アダルトサイト (1999/12/20)

私が初めてインターネットプロバイダと契約して、アダルトサイトにアクセスしたときにその商売のうまさに感心したことを書いた回。あとインフラを押さえているNTTとか東京電力の強さとズルさにも触れている。ほんと、どうでもいい内容にあきれる。

■50. 真実に近づくために (1999/12/20)

世の中は正しい方向に進んで行っている、という幻想を破ろうとした回。世の中は色んな人の欲望の総和で成り立っているというごく当たり前のことを、国際的な秩序にも当てはまることとして大上段に構えて語っている。序盤はなぜかフェミニズム批判、終盤は日本がさらされた欲望について掘り下げて書いている。

正直あらためて読み返してみて完成度の低さに驚いた。この回のテーマはあくまで「欲望」であって、個々の歴史的事実や国際情勢ではない。だからそれぞれが中途半端になるのはしょうがないと思うのだが、もうちょっとなんとかしたかった。


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gomi@din.or.jp