121. 凝縮マシン (2002/2/28)


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またしょうこりもなく小さいマシンを作ってしまった。

■購入

そもそもの発端は、ASUS の組み立てパソコンキット Terminator を見て惚れたところからである。私が一番最初に見て惚れた小さいパソコンケースよりもさらにさらに小さい。ただし、この場所で三回に渡って紹介してきたベアボーンキットのマシンよりは大きい。今回の Terminator の特筆すべき点は、拡張性があることだ。5インチベイが二個と、PCI スロットが二枚入る。

すぐに買おうとした。そうしたら、ビックカメラだったせいか、売り切れだった。しょうがないので、秋葉原まで出掛けていった。

買った場所は、コムサテライト一号店。私がもっとも信頼する店の一つである。ところが今回は、あまり信頼しても、発売時期が時期だとダメだということを思い知らされた。私は 16,800円で買ってきたのだが、弟は 17,500円にポイントカード 10%還元で買ってきた。それから一週間後にコムサテライト一号店に行ったら 15,800円で売られていた。ついでに言うと、同時に買った Celeron 1.2GHz も 13,980円で買ったのだが、一週間後に 12,980円になっていた。まったく、ささやかながら、初物価格で買ってしまったわけだ。一週間遅らせていたら二千円安く買えたのだ。

■UltraWideSCSI

▼購入

さかのぼること約一カ月、私は秋葉原でお買い得品を買いあさっていた。10,000回転の SCSI ハードディスクが格安で売られていたので買ってしまった。富士通の MAF3364LC という、三年前の最新鋭、いまじゃ型落ちの、だけどスゴイモデルである。普通のハードディスクと同じ 3.5インチなのだが、高さがいわゆるハーフハイト、つまり 5インチベイと同じだけある。36GB のこのディスクを私は 14,800円くらいで手に入れた。手に持っても重さがズシリとくる。

ところがこのディスクは SCSI それも正確に言うと Ultra 2 Wide SCSI SCA 80ピンのものなので、これに合う SCSI アダプタを買わなければならない。SCA 80ピンにそのまま合うアダプタは一般にはなかなか売られていないので、安い変換アダプタを使って 68ピンにすることにする。アダプタには、同じ店で売っていたアダプテック純正の HotConnect というカードを買うことにした。9,800円と安く、IEEE1394 とのコンボカードで、メインが Ultra Wide SCSI カードである。

これらを同じ店で一緒にレジに持って行って買おうとすると、店員が断りを入れた。なんでも、SCA 80ピンを 68ピンにする格安の変換コネクタは、動作保証できないそうだ。動作保証できるものはないのか、と聞いてみたら、いまは在庫がない、というので、もういいやとそのまま買ってしまった。

しめて税込みで二万七千円くらいの出費である。だが定価がすごい。ハードディスクは、三年前のサンプル出荷価格が 42万円。SCSI アダプタが定価約10万円(98,000円)である。三年前の最新鋭がいまどのくらいのものなのか気になる。

購入後に一度冷や汗をかいた。というのは、この SCSI アダプタは IEEE1394 がついていることもあり、ビデオキャプチャを主眼としているので、ブートROM がついていないのではないか。大いに心配したあげく、そのときはしょうがないのでダミーで IDE のディスクでブートし、そこから SCSI を起動ドライブにして OS を動かそうということにした。ところがこれは完全な杞憂であり、この製品は IEEE1394 のコネクタがついているものの、中身は実質アダプテックの標準的な製品と全く同じだった。AHA-2940UW と中身は同じだそうである。

▼初期不良?

以上を買ったのは、前述の通り、まだ小さいマシンを作る前の話なので、購入後にまず私がこれらを組み込んでみたのは昔メインに使っていた Dual Celeron マシンである。このマシンは準サーバ用のアルミケースを使っているので、ハードディスクを固定するのは非常に簡単だった。ただし、変則的な大きさなので、縦に並ぶ 3.5インチベイの最下段にしかまともに入らなかった。


Figure 1. 5インチベイの高さと同じ大きいドライブだということがわかる(わかりにくいか)

おそるおそる電源を入れてみると、しばらくして、ウイーン、という音が聞こえてきた。ゆっくりと、徐々に回転音が上がってくるのがよくわかる、とても目立つ音だった。いったん動作が安定するとそんなに気にならなくなるが、耳をすますとかすかに高周波数のノイズが聞こえる。

まず OS を入れなくてはならない。現在多分もっとも標準的な Windows 98 を入れてみることにした。そこで、起動ディスクから DOS を立ち上げて、fdisk でパーティションを区切ろうとするのだが、なぜかうまくいかない。仕方がないのでパーティションマジックというソフトを使ってパーティションを作ろうとしてみたが、これまた原因不明のエラーを吐いて止まってしまう。最後に Windows 2000 を入れることにして、インストール画面でパーティションを作ってみようとしたが、これもエラーが出て止まってしまった。

ひょっとして初期不良か? カードやケーブルをうまく差していないからか。それとも何か見落としがあるのではないか。なにしろ SCSI は私は今回が初めてなので、根本的な勘違いをしている可能性もある。しまった。特売品なんて買うんじゃなかった。と後悔してきたときに、ようやく一つ思い出したことがあった。ローレベルフォーマットである。

IDE のディスクでも、ローレベルフォーマットをしないと使えないものもあるらしい。まあそれも昔の話になっているのかもしれないが、それでも私の買ったディスクは業務用に近いものがあるので、ローレベルフォーマットぐらいやっておかないと使えないのかもしれない。そこで、SCSI カードの BIOS をいじっていたときにローレベルフォーマットができたのを思い出して、とりあえずやってみることにした。待つこと数時間。どうやらちゃんと完了したようだ。この時点で私はまず、ハードディスクが不良品ではないことを知って安堵した。それにアダプタの方もちゃんとハードディスクを制御できているようなので、あとはアダプタとマシンがうまくつながっているのかどうかを確認するだけである。

それでもう一度 OS をインストールしてみた。入れたのは確か Windows 2000 である。以前ブルースクリーンが出ていたところも、難なく突破した。やはりローレベルフォーマットは不可欠なようだ。後日調べてみたら、SCSI はアダプタを交換するごとにハードディスクをローレベルフォーマットしなければならない場合が多いそうである。SCSI と言えばしっかりしたプロトコルでハードディスクを制御するものと思っていただけに、こういうよくわからない部分もあるのには驚いた。

▼動作確認

そうこうしている間に OS のインストールが終わった。OS のインストールには大量のファイル書き込みを行う。このときのハードディスクの書き込み時の音が非常に大きい。しかしむしろ小気味のいい音である。ハードディスクの騒音は気になるが、駆動音さえ小さければ、書き込み音は別にどうということもないというか、逆に「いま動いているんだな」と分かりやすくていい。

OS の立ち上がり時にはひときわアクセス音が大きくなる。それも連続してガリガリ動いているのがよくわかる。多分、よっぽど多くのファイルから小刻みに読んだり書いたりしているんだろうなと思う。

こう言ってしまうのも大げさだと思うのだが、この SCSI Dual Celeron マシンの体感速度は、私の Athlon 1.2GB + Promise Ultra100TX2 + WD600AB(?) (5400rpm) のマシンと大して変わらないほどだと思う。まずそもそも Dual Celeron という時点でそれなりの体感速度があることが大きいのだが、SCSI もうまく働いてくれていると思う。

私の Athlon マシンは、CPU 1つのマシンとしては、そして IDE のドライブで動いているマシンとしては、それなりに高速なマシンである。ただ、このマシンが「トップスピード志向」であることは確かだろう。つまり、重い処理をさせたり、大きなファイルを連続して読み込むときに、最大限の力を発揮するのだと思う。一方、今回の Dual Celeron SCSI マシンは、「ボトムアップ志向」だと言えよう。つまり、多少負荷を掛けても安定して動いてくれる。CPU は片方余るし、ディスクドライブも負荷に強い。

はっきり言ってしまうと、いかに三年前最強といえども、HDBENCH の計測では BarracudaATA IV に負けてしまう。私のメインマシンのサブドライブにこの評判いい IDE のドライブを使っているのだが、わずかな差でこっちの方が速かった。まさか Ultra Wide SCSI の 40MB/s の限界で頭打ちになってしまっているのだろうか。一応測ってみたら 30MB/s もいっていないので、頭打ちには足りないように見えるのだが、確かめようにも 80MB/s や最新の 160MB/s の SCSI カードが高すぎて買う気がしない。

▼SCSI考

というわけで、それから何回か SCSI マシンの使い心地を確かめたのだが、結局 SCSI というのは体感速度がいいのかどうなのか、いまだによくわからない。

SCSI の利点でよく言われるのは、CPU をあまり消費しないという点である。しかしそれなら、Promise などが出している ATA カードを PCI スロットに差せば、そのカードが IDE のディスクをドライブしてくれるので CPU はほとんど使わない。

実を言うと、私はちょうど SCSI を買う二週間ほど前に、メインマシンを置き換えようと思って Promise の ATA カード UltraATA100TX2を導入してみた。そのときはちょうど Windows XP を入れようとしていて、私が買ったのは OEM版なのでハードウェアの構成をあまり変えてはいけないらしく、それでもうこれで決まり、と ATA カードに決めた。いまも私のメインマシンには ATA カードに刺さった二台の IDE ドライブが使われている。

それで、結局 ATA カードあるいは SCSI カードによるハードディスクのドライブは、マザーボードのコントローラによるドライブと比べて、速くなっているのだろうか。私にはいまだによく分からない。比べるには CPU が速くなりすぎてしまったからだろうか。

もっとディスクを多用するアプリケーションを使わないと実感できないのだろうな、といまはただ漠然と考えているだけである。というか、実のところ、この SCSI マシンはあまり使っていないのだ。

■凝縮マシンにSCSI

話は最初に戻る。極めて小さいにも関わらず拡張性を持った組立キット、ASUS Terminator を手に入れた私は、さっそくこのキットの拡張性をどのように生かすのか考えた。結果、ええい、SCSI を入れてしまえ、ということになった。


Figure 2. SCSI カードと 5インチベイへのマウンタ、それにハードディスク

まあ、無駄である。こういう小型マシンは、拡張性を考えてこそ、ハードディスクをつなげるのにわざわざカード一枚はさむのなら、他のカードを差したほうがいいに決まっている。ただ、私はこの小型マシンにあくまで SCSI を入れることにこだわった。というのは、小型だからこそ、SCSI という時代遅れと言われながらも無視できない性能を持った素晴らしいパーツを内蔵させたいと思ったのである。こんな小さなマシンに、一万回転のハードディスクが!? というさりげないクールさがたまらない。

当初は電源容量が危惧されたのだが、入れてみたらちゃんと動いた。まあ、動いただけでは安心できず、安定して動くかどうかが問題である。いまのところ、多少不安定な気がしなくもないが、他の要因も考えられるのでなんともいえない。普通に使っていたら落ちないが、いくつかインストールしてたときには不安定なこともあった。

この小さなマシンから、凶悪な高回転 SCSI ドライブの音が聞こえるのは、凝縮マニアの私にはとてもうれしい。

■小型キーボード

だが、せっかくの凝縮マシンも、マシンワンセットで大きくなってしまったら意味がない。マシンワンセットとは、キーボードにマウス、そしてモニタである。

せっかくなので小型キーボードを買うことにした。例によって秋葉原で特売されていた、PFU の Happy Hacking Keyboard Lite (US) PS/2 である。本当は、次にキーボードを買うときは USB だと決めていたのだが、値段につられてまた PS/2 を買ってしまった。


Figure 3. 小型キーボードを上にのせた状態のマシン

Happy Hacking Keyboard は見るからに小さいキーボードである。あまりに小さいので、カーソルキーもファンクションキーもない。Fn キーと組み合わせて代用キーを押すことになる。この点はマイナスだが、激しくキーボードを使うのでなければ問題にならない。いや、マニアはこの最低限のキーボードでちゃんと使いこなせるらしいのだが、Windows で使うとどうしても使いづらい。メールを書くにも、vi や Emacs ならカーソルキーがいらないのだが、普通のメーラーやエディタではどうしてもカーソルキーを使う。ちょっとキーバインドを変えたぐらいではどうにもならない。Windows で多分一番使われている秀丸エディタですら、選択範囲の決定にはどうしてもカーソルキーを使わないキーバインドにはできない。

■液晶モニタ

で、残ったのはモニタである。CRT を使うと、いくらマシン単体が大きくても、全体の接地面積がどうしても大きくなってしまう。モニタが小型テレビと同じくらいの大きさなのだからしょうがない。そこで、小型マシンを完成させるにはどうしても液晶モニタが必要になる。

私はこの時点でメインマシンに液晶モニタを使っていた。14インチの小さい液晶である。いずれ大きいものに買い換えようは考えていたのだが、そこそこ良い液晶でも SXGA がせいぜいで、それより大きくて解像度の高いものはまだまだ値段が高かった。SXGA の液晶でも良いのだが、アスペクト比が気になっていたのだ。というのは、SXGA の液晶は正方形に近いのである。ゲームをするときに、たとえば 648x480 や 800x600 や 1024x768 などのアスペクト比 4:3 の画面のゲームがフルスクリーンで表示されてしまうと、1280x1024 の SXGA ではアスペクト比が 5:4 なので、縦長に表示されてしまう。

私の中では、いくら 16インチや 17インチでも、SXGA ならパスする予定でいた。せめて SXGA+ ならば、1400x1050 なので、アスペクト比の問題はない。しかし、ノート用ならあるのだが、普通の単体モニタの液晶としてはこの解像度のモデルが全然ない。不思議である。

ところが、今回小型マシンのために液晶が欲しくなったので、メインマシンの液晶を買い換えることにした。それで余った 14インチの液晶を小型マシンにあてがうことにしたのである。

そうして手に入れたのが、IO-DATA の LCD-AD17CS である。このモデルは前に注目していた。その値段の安さにも関わらず、デジタル入力を備え、しかもアナログ入力もあり、なおかつメニューから入力を切り換えて使えるという長所があったからだ。

しかし残念ながら買う時期が悪かった。ご存じのかたもいるだろうが、今年に入ってから液晶モニタの値段が上がりつつある。なぜかというと、一部の大手メーカー、特にアメリカのメーカーが買いあさり、事前に手を打っておかなかった日本のメーカーが買い逃したのが大きい。特に DELL は、SAMSUNG に多額の投資をしてまで液晶を確保しており、日本のメーカーは大手だろうとおこぼれを漁っている始末である。それに加えて、ガラスメーカーの事故も重なったとかなんとかいう話も聞く。

ところで、アメリカは日本と比べて液晶モニタの普及が遅れているのだが、今年は確実に売れると判断したのだろうか。アメリカは日本と違って住宅も広いし、庶民はとにかく安いものが好きなので、液晶モニタはあまり売れない可能性もあるように思うのだが、大丈夫なのだろうか。今年の秋ごろが値上がりのピークだという分析があるようだが、ひょっとしたらアメリカで売れ残った液晶パネルが日本に流れ込んできたりはしないのだろうか。

そんな値上がりの影響を受け、私の買った機種の後継機は、機能がそれほど変わらないにも関わらず五千円も値上げとなった。だから、私はむしろ値上がり前の機種を買うことを選んだのだった。しかし、もう後継機種が出る前ということもあるのか、ツクモ電機のモニタ館では、前の機種が定価より高い値段で売られていた。本来ならば 74,800円が定価なのに、77,779円だか忘れたがそれくらいの値段が付けられていた。希望小売価格よりも高い値段で売っても良いものなのだろうか。まあ、私が買った日は、本日の特売品という張り紙で三千円off とのことだったので、定価よりはわずかに安く買えた。それにツクモは一応ポイントがつく。どのくらいつくのか期待したが、調べてみたらたったの 1,480円くらいであった。しょうがないので後日メモリが入り用になったときに使った。

あとで調べてみたら、後継機種の五千円高いモデルでも、買う場所によっては安く買えたようである。特にびっくりしたのはヨドバシカメラの通販で、値札はそれなりだったが、ポイントカードで 13% もポイントがつくので、実質私が買ったよりも逆に五千円安く買えたようである。まあ、私の行動半径ではヨドバシカメラが近くにないのでポイントカードは持っておらず、新たに作ったポイントカードに数千円入っていたらまた何か買わなくちゃいけないという圧迫を感じなくてはいけないことを考えると、五千円の差もなんとか我慢して忘れることが出来そうである。

ただくやしいのは、去年一時期、有楽町のビックカメラに「即お持ち帰りオーケー」の状態で 74,800円で売られていた時期があったことである。これなら 10% のポイントがついて 7,480円分得していた。ビックカメラのポイントならば昼休みに買い物ができる。これはもったいないことをした。買う時期を間違えるのはとにかく痛い。

そんなわけで、小型マシンを作るという目的でなぜかメインマシンのモニタがアップグレードされた。買ってみて思ったのは、もっと早く買っていても良かったということである。それほどいい。広い画面はとにかく使いやすい。1024x768 が 1280x1024 になるぐらいでは大して変わりないとばかり思っていたのだが、画面サイズは 1280/768 = 1.67倍も広くなる。計算は簡単で、両者とも 1024ドットの辺があるので、それ以外の辺の割合で広さの比が簡単に計算できる。

これだけの大きさがあると、画面の隅にテレビ画面を張り付けたり、その他ちょっとしたウィンドウを立ち上げても、ブラウザやメーラーにとって全然邪魔にならない。ここまでの広さがあると、ようやくウィンドウシステムを有効に利用できる、と言ったら言い過ぎだろうか。ネットサーフィンするときに、ブラウザのウィンドウを全画面表示する人が多いが、全画面表示なんかしてしまうとせっかくのウィンドウの意味がない。だからこそタブウィンドウのついたブラウザの人気が出るのだろうが、本来タブ切り換えなんてものはウィンドウ切り換えの代用のようなものである。まあ、ツリーが表示されるようなブラウザの場合は確かに効果があるのだが…。

■ビデオカード

それでようやく 14インチの液晶モニタを「余らせる」ことができたのだが、さらに問題がある。このモニタは、なんとデジタル接続だけしかできないのだ。つまり、DVI出力を持ったマシンでないとつなげることができない。

ASUS Terminator には残念ながら DVI出力がついていない。話によると、組み立てキットでも DVI出力がついているものが稀にあるみたいなのだが、ほとんどのキットには付いてこない。仕方がないので、というか折り込み済みなのだが、DVI出力のついたビデオカードを探すしかない。

ところが、この組立キットには PCIカードしかつかない。AGP接続のビデオカードはつけられないのだ。しかも、現在流通しているビデオカードのほとんどは AGPカードなのである。

まとめると私は、数少ない PCIカードの中から、DVI出力を持ったカードを探し出してこなければならないのだ。

まあ当然私は用意周到なので、ちゃんと液晶モニタを物色中にビデオカードも探してある。私の求める製品があるのを確認した上でこの計画を進めているのだ。私の希望にあうのは、数あるビデオカードのなかでも、秋葉原をめぐりめぐって、通販サイトを探し回って、たった二種類しかないことが分かった。IO-DATA と InnoVision という会社の製品である。

私が新しく買った液晶モニタ、そして既にあった 14インチのデジタル接続だけのモニタは、いずれも IO-DATA の製品である。だから当然、ビデオカードも IO-DATA のものを買えばいいのは分かっている。いま考えると確かにそうすべきであっただろう。しかし当時はあまりそんなことも考えていなかった。したがってろくに探さなかった。結局、買い物当日に秋葉原で目的のものを発見することが出来なかった。したがって、もう片方の InnoVision 製のカードをフェイスで購入して帰った。

家に帰ってさっそくつけてみた。ちゃんと写る。こういうのは初期不良の恐れがあるので、なるべく早く動作確認をしたほうがいい。それでしばらく使っていると、異変に気づく。画面にノイズのようなものが…。最初はカードの接触不良だと思って、コネクタをいじってみたら、なおった。やれやれ。また秋葉原に行くのは面倒だからなあ。と安心したのが早すぎた。やはりノイズがまた現れる。それに、画面のモード切り替えのときに、以前は白く点滅したのが、赤く点滅しているのだ。ひょっとして、電源容量が足りなくなったのか? と思って、いったん SCSI のハードディスクとアダプタを取り除いて、余っていた IDE ドライブをつけて実験してみた。それでもやはりノイズが出る。念の為、SCSI ドライブを取り除いた状態の Dual Celeron マシンにも取り付けてみたが、やはりノイズが出る。ここまできてようやく、カード側の初期不良だということが分かった。気は重いが、ショップに行って交換してもらうしかない。

そういえば私が最初にマシンを組み立てたときも、ビデオカードが初期不良だったな、と思いながら店へ。レジの人に言うと、サポートセンターまで行ってくれとのこと。場所を聞いて、まあすぐ近くだったのだが、会社帰りで時間が気になったが、急いで向かった。平日なせいか他に客はいなくて、すぐに確認してもらって、五分で初期不良の確認が終わった。今度はまた店へと向かい、確認書のようなものを受け渡す。同じものと交換してもらった。

この初期不良で、もしこのビデオカードがもう在庫なくなっていたら、返金してもらえるぞ、そうしたら別の製品にしようかな、と思った。なにせ、PCI でしかも世代の古い GeForce2 MX400 を積んだカードである。それが 11,700円もする。同じ店で、ATi RADEON 7500 がなんと 13,800円くらいで売っていた。これなら GeForce2 Ti か GeForce3 Ti200 くらいの性能がある。しかも DVI 付きだ。しかし残念ながら AGP である。小型マシンを諦めさえすれば、他のマシンのビデオカードを交換して液晶モニタにできる。こんな小型マシンにそこまで金をつぎ込む必要はあるのか、と考えた。だけど結局交換用のカードがあったので返金とはならなかった。ちょっと残念な気もするが仕方がない。むしろ、PCIバスで使える、DVI出力のついた、最後の世代のカードを確保したのだと考えれば良いのかもしれない。いや、なんとなく、最後じゃなくてまた出るような気はしているのだが…。ちなみに交換しにいった日は、ちょうど秋葉原に GeForce4 MX440 搭載のカードが出回りはじめた日である。

それで、交換してもらったカードもその日の夜のうちに試してみた。やはり画面モード切り換え時に画面が赤くフラッシュする。かすかに嫌な予感がした。しかし、問題となったノイズはしばらく動かしても確認できなかった。どうやら画面が赤くフラッシュするのは仕様らしい。あとでインターネットで調べてみたら、同じことを他の人も言っていた。そんなものなのだろう。念の為、新しい方の液晶モニタにもつないでみたが、やはり赤くフラッシュした。

言い忘れたが、初期不良交換に行った帰りに、カクタソフマップにも寄ってみたら、そこに IO-DATA の PCI で DVI なビデオカードがあった。15,999円だった。私が買った InnoVision 製のカードは 11,700円である。安心料は 4,299円である。さてさて。

■マウス

初期不良交換の帰りにそういえばマウスも買っていた。フェイスのサポートセンターの近くにある店で、マイクロソフトのマウスのバッタものが売っていたのだ。私が以前買った純正のマウスにそっくりだった。私はこの純正のマウスが気に入っていたので、ついつい三千円という値段であるにも関わらず、バッタものの方を買って帰ってしまった。


Figure 4. バッタものと本物の Microsoft IntelliMouse Optical (どっちが本物でしょう) やはり本物を薦める

家に帰ってみてまずその造りの悪さに驚く。使われているプラスチックやホイールのゴムの材質が明らかに粗悪である。純正と並べてみると一目瞭然。それでも、形状はほぼ同じと言っていい。まさか、同じ工場で作られたのだろうか。純正もバッタものも両方ともメイドインチャイナなので、マイクロソフトがバッタものを一定数作っていいという条件で工場と契約したのか、それとも夜に工場に忍び込んで同じラインに粗悪な材料を買ってきて作らせたのだろうか。

材質が粗悪なだけならいいのだが、驚いたことに、ホイール周りの精度が悪いせいか、ホイールをまわしていると一カ所強く引っかかるところがあって、ホイールが全部回ってくれない。これでは実用にならない。こんなものに三千円も使ってしまったのかと嘆いたところで遅い。仕方がないので、弟に頼んでプラスチックを削ってもらった。すると、引っかかっていた部分をうまく削れたらしく、ちゃんと回るようになった。それでもまだかすかにかすっている箇所があって使いづらい。

肝心のメカの方なのだが、赤外線感知の部分はそれなりによく出来ている。それに、クリック感もそんなに悪くない。マイクロソフト純正のドライバを入れてみたところ、ちゃんと純正品と同じように動いているようである。どうやら中身は純正そのままなのか? と思ったら、ドライバのアップデートのときになぜか Logitech の文字が。どういうことなのだろうか。まあちゃんと動いているようなので無視してそのままマイクロソフトのドライバを使うことにした。Logitech のドライバが正常に入ってしまったらどうしたものか。

■で、用途は?

ここにめでたく、SCSI で液晶モニタの省スペースマシンが完成した。Celeron 1.2GHz を積み、一万回転のハードディスクを搭載し、3D ゲームもできる GeForce2 MX400 までついている小型マシン。凝縮度はかなり高い。液晶モニタに小型キーボード。マウスには目をつぶるとして、パッと見た感じ非常に完成度が高い。

で、現在このマシンは、私のベッドの横に置かれている。ベッドに寝ころんだまんま、ネットサーフィンその他ができる。LAN をどうしようか少し悩んだが、結局私の部屋にコードを引っ張ってきて解決した。無線LAN は私の部屋に関しては必要ないということが分かった。

だが、現時点でこのマシンはそれほど使っていない。ブックマークやメールの一元管理が難しいからである。メインマシンを立ち上げた方が早い。それに、メインマシンは大きな液晶モニタである。サブマシンを使う意味がない。

マシンが二つ以上欲しい場合もある。たとえば、MP3 や MPEG のエンコード、ビデオキャプチャ、CD-R を焼くときなど、ネットサーフィンでも気をつけないとまずい状況というのは時々ある。こんなときに気を使うのは不快である。こういうときにこそサブマシンを使うべきなのだろう。しかし、私のメインマシンにメインのデータがあり、ビデオキャプチャがあり、CD-R ドライブがある以上、どうにもならないのだ。これを解決するには、小型マシンの方をメインにするしかない。それでも Windows XP までは移せないのも痛い。

現在どうするか悩んでいるところである。まことに悩ましい。

■廃案

ほかにも色々アイデアがあったのだが、以下のアイデアはもう既に捨て去ったものである。一通り紹介しておこう。

▼サーバ

まず、この場所では詳しいことを言っていないが、私は現在自分のサーバを持っている。そのサーバは、以前この場所で紹介したベアボーンキットから作ったマシンを使っている。省スペースで静かなので家のサーバに最適である。インターネットに常時つながっているので、24時間の運営が必要である。このサーバを設置するために、プロバイダのドルフィンインターネットの「固定IPサービス」というサービスを使っているので、毎月二千円掛かる。それだけ掛けるのであれば、できるだけいいマシンを使いたい。せっかく SCSI ドライブを手に入れたのだから、性能がよくて耐久性も高い SCSI ドライブでもう一度 Linux をちゃんと入れ直して、強固な体制でサーバを運営していこうと考えていた。

しかしここで難点がある。24時間つけっぱなしにするので、電気を食う。あまり電力消費の高いパーツを使うべきではない。特に、私が買った三年前の最新ドライブは、内部にディスクがたくさん入っているので、とにかく電気を食う。残念ながら、このドライブを動かすだけで一年間に数千円くらい余計に電気を食いそうである。ここは素直に、いや多少遠慮がちに、消費電力の少ない 5400rpm の富士通製ドライブをそのまま使い続けた方がよさそうである。本当なら CD-ROM ドライブも取っ払った方がいいのかもしれない。

独自サーバ構築についての話はいずれ別の回を設けてすることにする。

▼家人

最近私の母親が結構インターネットを使いこなしているようなので、この高性能マシンを貸し出すのもいいかもしれないと考えた。しかし、私の母親は主にメールとフリーセルぐらいしかやらないので、いまのまま Celeron 433MHz の減価償却をやってもらったほうがいいと思って取りやめた。

▼部屋内サーバ

私の部屋と、電話線とルータの置いてある部屋との間は、扉があるので、これまでは無線LAN は不可欠だと思われた。そこで、私の部屋にあるマシンをインターネットにつなげるには、すべてのマシンに無線LAN アダプタをつける必要があるように思われた。しかしそんな無駄なことはやってられないので、部屋の中に常時つけっぱなしのマシンを用意して、そいつにだけ無線LANアダプタを差して部屋内ルータにしようと思ったのである。

しかしこのアイデアはあっさりつぶれた。というのは、まあ最終的には前述の通り、有線でも扉の下をうまく通すことが出来たからであるが、ほかにも理由があった。まず、24時間つけっぱなしにするのは電気を食う。それから、マシンの騒音がうるさい。オーディオ装置で音楽を聴くときには、エアコン程度のノイズでももったいないくらいである。

惜しいのは、24時間つけっぱなしのマシンがあると、好きなときにメールを確認したり、思い立ったらすぐにネットで調べ物ができる点である。いまだと、マシンの電源を入れて OS が立ち上がるのを待たなければならないので、この時間がうっとうしいのである。いずれなんとかしてすぐに調べ物ができるマシンを立ち上げたいのだが、多分サーバと兼用にするのが正しいのだろう。現在サーバにはモニタも何もつけられていないので、クライアントマシンとしては使えない状態にある。

■まとめ

いくらコンピュータが好きだからといって、必要もないのにマシンを造るのは無駄である。

というのは冗談で、せいぜい二台までならあると便利であるが、切り分けが難しいので、余ったパーツで作ると行き詰まりやすいことに気がついた。あと、いくら安いからといって、のちのちのことを考えてパーツを買っておいたりしないほうがよい。

あと、マシンの構成に悩む人は、Windows XP は OEM版ではなく製品版を買うほうがいい。いや、むしろ Windows 2000/98SE の OEM版のほうがいいかもしれない。Linux で良いならそれが一番金がかからなくていいのだが。


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