112. ADSL導入 (2001/10/1)


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ソフトバンクグループの Yahoo! BB が ADSL に参入してから、NTT を始めとした各社の ADSL の値下がりが始まった。私はといえば、そんな流れとは関係なく、突然ある日 ADSL に加入しようと思って申し込みをした。NTT のフレッツADSLである。というのは、私のプロバイダが対応しているのがフレッツだけであり、私はプロバイダを解約したくなかったからである。

■プロバイダ変更せず

私がプロバイダを変えたくない理由は、メールアドレスとウェブページのアドレスが変わるのが嫌だったからと、手続き上面倒だったからである。私のメールアドレスにはあまり私信はこないし、昔の知り合いがメールしてくることもほとんどないし、ウェブページにいたってはこのページは無料サーバを利用していて、プロバイダのウェブページは Age of Kings の AI についてのページが最近はほとんどアクセスがないので、いっそプロバイダを解約して Yahoo! BB なりに変えてしまっても良かったとも思った。そうでなくても、私のプロバイダとの契約は、すぐに乗り換えてもいいように短期で解約しても損にならない契約となっており、いままでずっとそのままの契約をしてきたのはむしろ私にとって損であった。

昔、プロバイダ同士の争いが熾烈だったころ、多くのプロバイダは、ここで顧客を確保しておけばずっと定着してくれると考えていたらしい。というのは、いったん決まったメールアドレスを変更するのは、交流の多い人にとっては住所変更届けを知り合い全員に出す必要があるし、ウェブページを持っている人からすれば移行期間とかを置いて一定期間告知してから移転しなければならない。私は、そんなことがないよう、あっさりとした契約にしたつもりだった。このページがフリーのサーバを使い続けていることからも分かる通り、私はいずれプロバイダを変える可能性が高いと考えていた。しかし多分このままずっと私はプロバイダを変えそうにない。

私のプロバイダは値段が高い。私のプロバイダはドルフィンインターネットというプロバイダである。できればもっと安いところにしたい。ADSL も NTT はやはり高く、プロバイダとセットになった独自の ADSL のところのほうがずっと安い。だが、プロバイダを決めるのは値段ではない。値段が多少高くても、安定した接続とバンド幅を持っているところがいいに決まっている。

とはいってみたものの、ドルフィンインターネットはそんなにいいのだろうか。ADSL にしてからの不満はいまのところまったくないのだが、アナログのころは接続しにくかったり、あまり性能が出ていないことが結構あった。その問題のほとんどはモデムのせいであり、多分私の家では三台のマシンが三台それぞれのモデムで接続していたため、どのモデムで最適化してよいのかが決まらずに、違ったモデムに接続されるたびに自動調整をしていて安定していなかったのではないかと思う。信頼性の高いプロバイダとか信頼性の低いプロバイダというものを使ったことがないので、私だけでは結局ドルフィンインターネットが良かったのかどうか分からない。

ただ一つはっきりと聞いた噂では、cgi サーバが遅いという話だった。現に私が試してみるとかなり重く、午後11時を過ぎたころになると重くて動かなくなることがあった。いまはどうかしらないが、少なくともかつてはそういうことがあった。

明らかな利点も最低一つはある。それは、メールアドレスが非常にシンプルなことである。他の大手のプロバイダともなると、英数字入りのサブドメインがついた覚えにくいアドレスになることが多いが、私の場合は gomi@din.or.jp と非常に単純である。もっとも、メールは転送サービスを利用するのが一番賢いやり方かもしれない。転送サービスだけを格安で契約し、メールアカウントが変わるたびに転送先を変更すれば、メールサービスの乗り換えが簡単にできて便利である。

と、いきなり後ろ向きな話を長々としてしまったが、次からが本題である。

■ADSL導入の動機

多分この先書くと思うが、私はここ半年仕事が本当につまらなかった。ただ、時間だけはあって、ネットサーフィンを結構していた。あるとき、急に自分のドメインとかサーバとかを持ちたいと思った。ADSL で固定IP をもらえるサービスがあるという話をどこかからか聞いたからである。確か、私の巡回ルートの一つ「今日の必ずトクする一言」(http://www.tomoya.com/)の中で触れられていたのだったと思う。

ただ、固定IP がもらえるサービスは本当に少ない。あったとしても、桁が一つ違う料金が毎月掛かってしまう。よく考えるとそれも当然で、普通の接続だと使うごとに接続していればいいし、万が一事故で切れてしまってもプロバイダ側からすれば特に説明する必要はない。電話が途中で切れることがあるのと同じ理屈である。切れたら、数時間もつないでいたのが問題なのだ、という意識も利用者側にあるだろう。一方、固定IP を提供してしまうと、それは接続が恒常的であることを意味する。恒常的になってしまうと、メンテナンス期間以外は 24時間ぶっつづけで接続されていなければならない。それから、全会員が同時に接続することはないのだから、恒常的である必要がないのであれば同時接続数の分だけ機器を用意すればいいのだが、恒常的な接続を維持するとなると全会員が同時に接続しても平気な分だけ機器を用意しなければならない。ほかに、プロバイダは値下げ競争が激しく、やはりどこかで元をとらなければならない。固定IP サービスをビジネス向けという位置づけにし、多少割高な料金を吹っ掛けて全体で収益を出すようなビジネスモデルを考えているのかもしれない。

というわけで、私はあっさりと固定IPを断念したのだが、それでもなぜかADSLに対する熱が下がらなかった。そこで出てきた理由が、私がここ最近 SOLDOUT (http://mutoys.com/) というウェブベースの店舗経営ゲームにはまっていることである。このゲームは、ネット上に自分の店を持って経営するゲームなのだが、頻繁に在庫管理とかをやっていると知らず知らずのうちに家でも頻繁にインターネットに接続するようになってしまった。これでは電話料金が地味ながら一万円を突破してしまうのではないかと思った。それなら、いっそ使い放題の契約をしよう、という方向になるわけである。これがたとえば、ネット対戦ゲームなんかだとしたら、テレホーダイの契約をもう一度して、インターネットの利用を午後11時からと限定すれば良い。しかし、ふと思い立ってそのたびにインターネットに接続するような使い方をしていると、一日中使い放題の契約をするしかないのである。

ほかに、家人に広くインターネットを利用してもらおうという意図もあった。ADSL に先立ち、まず私の母親がメールアドレスを欲しがり、続いて私の弟までもがこれまで使っていた大学のアカウントの消滅にともなって、フリーのではなく有料のしっかりしたサービスのアカウントが欲しいということで欲しがったので、結局私は二つ分の追加アカウントをプロバイダに申請した。先の話に戻るが、この時点で私の中ではプロバイダを確定したのである。

■ADSL開通まで

▼NTTへの申請

ということで、確か私が ADSL の導入を確定したのは 2001年8月の下旬あたりであった。それから私は自分のプロバイダのドルフィンインターネットのホームページでいろいろと調べてみた。そうしたら、どうやらドルフィンインターネットが NTT との仲介をしているようだったので、ウェブ上からフォームに必要事項を記入して申請した。これが確か 8月24日である。そのときに、平日の定時(午前9時〜午後5時)で電話連絡のできる日を記入しなければいけなかったので、私はその日を 9月4日とした。仕事で夏休みがとれなかった私は、9月の第一週をすべて休もうと計画していたからである。

ところが、結局その一週間の休暇は、いきなり九月からスケジュールの厳しい仕事が入るということになって潰れてしまった。あまりのことなので、私は交渉をして 9月4日だけは休むということになった。あとで考えてみると、上の人間はそのとき多少心苦しそうにしていたので、本当は普通に交渉していたら二日くらいは休みが取れたのかもしれなかったが、まあ一週間休んだからといってどこかに行く予定はなかったのでどうでもいい話である。

▼NTTからの電話

そこで 9月4日だけは空けておいて、その日が来るまで待っていたのであるが、NTT から電話が来たのは 8月28日であった。向こうは向こうで、申請日から最低5営業日(休日を抜いた日数のこと)をおいてそれ以降の日を連絡日としてくれと言っている手前、お客さんはできることなら早めに連絡が欲しいのだろうと気を効かせただけなのかもしれないし、まあ NTT は半官半民の企業なのだから単に業務が非効率的で部署同士の連携が取れていないだけなのだろうということなのかもしれない。

私の家は 8月28日に電話をかけてこられても誰もいない。また、インターネットをやっている人間なら携帯ぐらい持っているだろう、ということなのかもしれないが、あいにく私はいまだに携帯電話を持っていない。結局 NTT の係の人は伝言だけ残していった。この電話の名義が申請者と一致するか確認したいということだった。その日は火曜日だったのだが、木曜がちょうど母親が家にいるということなので、代わりに出てもらう事にした。私は仕事が忙しくて休めない。…のはずだったが、結局 8月30日の木曜日には休むことができた。その日は本来ならば、お客さんとの打ち合わせをするのにちょうどいい日程だったのだが、プロジェクトメンバーのうちの一人の女性が「その日は誕生日で早く帰りたい」と言ったため打ち合わせが一日ずれた。こんなものである。ついでなので私もその日は休むことにした。結局プロジェクトリーダーのMさんも半休をとったらしい。

ついでながら言うと、かなり厳しいスケジュールだと言われていたのもなんのことやら、結局私はこの月は残業がたったの一時間で終わった。当初は一から作る予定だったものが、お客さんから送られてきた仕様書を見ると、昔作ったものを移植するだけで済んだからである。移植といっても、API の形が変わったり、CPU が 8ビットからいきなり 32ビットに変わったりしたので色々と面倒ではあるのだが、アルゴリズム自体を変更する必要は大してない上に開発環境も十分に整っていたからである。さて、私たちは一体何を作っているのか。そのヒントはこのサイトのどこかにあるので、興味があれば調べてみてほしい。

▼NTTへの電話

それで 8月30日に NTT に電話を入れたら、ADSL についての多少突っ込んだ説明を受けたらしい。いや、私もそのときは家にいたのだが、母親が電話回線の保持者ということもあり、結局電話してもらってしまった。

驚いたのは、私の住んでいる調布は「要注意地域」らしいのだ。理由までは聞かなかったのでよく分からない。とにかく、実際に試してみてうまいことつながらなかったり性能が出なかったりすることもあり、そのときは工事代として三千円くらいが無駄になる、ということを係の人が言った。まあ仕方がないと言えよう。

それであとは ADSL モデムの配達と接続確認が必要だということで、モデムの配達は 9月14日に発送するとのことで着くのはおそらく 9月17日だろうということだった。モデムは買う事も自分で用意することもできたのだが、結局レンタルにした。レンタル料を考えると、二年以上 ADSL を使い続けるのであれば買った方が安いだろう。しかし、光ケーブルになることも見越して、とりあえずレンタルで済ませることにした。この選択はあとあと後悔するかもしれないが、NTT 自体がそもそも ADSL を過渡的なものだと見ている事もあって、恐らく二年以内に光ケーブルが一般的になるだろう。

モデムがついたら最後に接続確認をして終了なのだが、その前に工事が入るらしい。その確認の日を、相談の結果 9月20日とした。これもやはり、私が仕事を休めそうになさそうだったので、母親にやってもらうことを前提に木曜日に設定したためである。

▼たらい回しと開通

なにしろ以上までが 8月30日の電話である。それから 20日以上も間が空き、ようやく 9月20日になった。結局この日も、前述した通り私の仕事がそんなに忙しくなかったこともあって、多少嫌な顔をされつつもうまく休むことができた。有給ではなく代休なのだから休みやすいというのもあった。

NTTへの電話は午前九時以降にしてくれと言われていたので、九時まで待ってから母親に掛けてもらった。まず、これからテストがしたい、ということを向こうに伝えるためだそうである。それで電話をしたのであるが、電話に出た担当者と話が合わないようである。この窓口は ISDN からの乗り換えの窓口なので 116 に電話してくれ、と言うのだそうである。そこで 116 に電話したのだが、そこの担当者は 116 は電話機の故障とかの窓口なので違う、と言ってくる。役所はよく電話をたらい回しにしてくると聞くが、実際にたらい回しにされるのを間近で見たのは初めてであった。結局 8月30日に最初に電話したところにもう一度電話して、正しい電話番号を聞いて、ようやく正しい担当者と連絡がついた。途中で、間違った電話番号を教えたのはどこのどの部署だ、というのを向こうが聞き返してきたこともあったので、一応自浄作用が働いているような気もするが、今に至るまで NTT が役所体質だということがはっきりと分かった一件であった。

それで向こうが工事することになって、工事が終わったあとに折り返し電話が掛かってきてから、こちらで接続試験を行った。接続試験は、事前に送られてきた専用ソフトで行う。そのソフトは言われた通りに事前にインストールしていたのですぐに終わった。回線の調子はよさそうだった。速度を計るページがあったので試してみたところ、930kbps くらい出ていた。理論値が 1.5Mbps つまり 1500kbps なのだから、かなり調子がいいのではないだろうか。スタパ斉藤というネット上の有名人のページを見てみると、ノイズを極力排する工夫をしても 640kbps が最速だというので、場所が良かったのかもしれない。先輩の話によると、電話局からの距離が近ければ近いほど ADSL の性能が高いらしい。私の家からは NTT の地方局が歩いて 10分ぐらいのところにあるので、単にそのせいかもしれない。

▼トラブル

ところが、テスト直後に掛かってきた電話に出た母親が、通常の通話に雑音が入っているという。まだ NTT への報告をしていなかったので、雑音のことを NTT に電話で報告した。向こうの係の人は、電話線がどうつながっているのかを事細かく聞いてくる。聞かれた要点は主に、スプリッタを根元に入れているか、ということのようであった。私は、スプリッタは根元に噛ませているが、元々一つしかなかったジャックを以前工事で延長して二つにしているだとか、根元に変な機械がついていることなどを説明した。

原理はよくわからないが、どうやら基地局側での調整が出来るということなので、向こうで調整してもらってからもう一度確認するということになって、いったん電話を切ってから向こうからの電話を待った。しかしやはり雑音が入るので、もう一度調整するとのことなので再び待ってからまた確認したのだが、あいかわらず雑音が入る。そこでらちがあかないと思ったのか、工事の人がくる事になった。

工事の人は午後から来た。午後二時前くらいから来て、色々とやったのだが、かなり悩んでいた。モデムの故障を疑ったり、電話機の影響もあるかもしれないと電話機まで付け替えてテストしてみたりもしたが、なかなか原因が分からなかった。この試行錯誤は三時間続いた。

もう駄目なのかとも思ったが、結局二つの要因が複合して問題を起こしている事を工事の人が突き止めた。一つは、私たちの入居前からついていた松下製の謎の機器で、何に使うのか知らないが、拡張されたジャックにひっつくようにしてついていたこの機器をはずすとよくなるようであった。この機器は工事の人が持ち帰ったのでいまとなってはよく分からないが、ひょっとして盗聴とかの機器だったら…、という可能性もなくはない。多分ノイズ除去のためのものとかだとは思うのだが、結局なんのための機器なのか分からなかった。

もう一つの原因は、拡張する前に元々あったジャックに、弟のマシンのモデムを接続していたことであった。私はアナログ回路に詳しくはないのだが、電気回路というものは特に何も工夫しなければ、一つの部位での影響が全体に及ぶようである。これが水流の場合、たとえば上流で二つに分かれたとしたら、片方が汚染されても、もう片方には影響が及ばないところであるのだが、電気回路となるとそうはいかないようである。

ともかく、この二つを取り外すと、通常の通話から雑音が消え、インターネットの接続も快調なようであった。

▼プロバイダとの契約と総合

以上で NTT との契約は確定することにし、あとはプロバイダとの契約を残すのみとなった。プロバイダとの契約は、NTT との契約が確定した直後にメールで申請したところ、まだ定時内だったこともあり、一時間と掛からずに済み、すぐにインターネットに ADSL で接続できるようになった。

ドルフィンインターネットは、ADSL のために専用の契約を用意しており、それを利用すると月々二千円で ADSL 接続し放題である。この値段は、他のプロバイダと比べると高い方であるが、アナログモデムで接続していたときは月々三千円だったので安くなった。もっとも、私が毎月三千円支払ってきたのは、入会金一万円を払ったらあとは月々二千円というコースを選択しなかったからであり自業自得である。

■結論と展望

以上が、私の家での ADSL 開通までの流れである。

まず挙げたいのは、私が ADSL にしたいと思い立ってから開通まで一カ月近く掛かった事である。まあそんなものだと言われれば返す言葉はないのだが、普通の感覚では長すぎるように思える。せめて二週間程度にできなかったのか。

Yahoo! BB が月々 2,250円で使い放題なのに対し、私のフレッツADSLとドルフィンインターネットのプランフレッツだと月々六千円強掛かる。この値段の差は、明らかな点だけを言うと Yahoo! BB にはメールとウェブスペースが用意されていないことがまず挙げられる。ただ、この程度だと月々千円分がいいところであろう。ところが Yahoo! BB は 8Mbps の ADSL である。フレッツADSL が 1.5Mbps であることを考えると、私は実は選択を誤ったかもしれない。

私の友人で、フレッツADSLとプロバイダという組み合わせで契約していたのを Yahoo! BB に乗り換えようかと試しに申し込んでいる人がいる。まだ開通していないようなのだが、開通したら彼に色々と聞いてみたい。ただ言えるのは、やはり開通まで時間が掛かっているようであり、同じような時期に申し込んだ人たちでも契約までの進行具合が異なるらしい。

最安値ということであれば、コジマ電機のサービスが一番安いようである。ただし、このサービスはモデムを別途自分で買わなければならない。当然モデムはコジマ電機で買う事になる。こっちを契約しようとしている人は私の周りには見当たらないのでよく分からない。

Yahoo! BB は百万人以上の契約者数をいきなり目指していることもあって、本当にそれだけの客をすぐに開通させられるのか、本当にあんなに安い値段でやっていけるのか、疑問に思う声も多いようである。Yahoo! BB を選択しなかった私としては、Yahoo! BB が粗悪なサービスであることを期待しているといったらおかしいが、Yahoo! BB の方が得だということにならなければいいなとひそかに思っている。

また、ADSL 戦争はいいとして、そのあとに光ファイバーによるブロードバンドが控えているのが今後の焦点である。諸外国と違い、日本の光ファイバー敷設はかなり進んでおり、恐らく 10Mbps 以上の速度が標準となるのは、シンガポールなどの小さな先進国を除けば日本が世界で初めての国になる可能性が高い。NTT は、他のベンダと異なり、ADSL だけで勝負する必要がないのだ。むろん、いったん ADSL で契約した人は、速度に不満がない限りそのまま使い続けるだろう。しかし、いったん光ファイバーが標準となったら、ADSL はたちまち古くなってしまう。まして、ノイズや信号劣化もありまんべんなく信頼性の高い接続を提供できないので、安いサービスとして定着しないかもしれない。

それから、10Mbps 以上となるとむしろ現段階ではサーバ側が問題となるいくらプロバイダと自宅との接続が高速になろうとも、プロバイダからサーバまでの接続が細かったら意味がない。それから、プロバイダからサーバまでの接続が太くても、サーバがデータを送る処理速度の限界もある。また、100Mbps ともなるとクライアントマシンやルータの性能が足を引っ張る。

*

今回はどうもつまらないことばかり書いてしまった。本当は無線LAN のことも書きたかったのだが、ADSL だけでこんなに書いてしまったので次回に回すことにする。多分、無線LAN が主題となるべきだったのだ。どうも余計な文章を書いてしまったようである。このあたりの反省は次回からにするとして、今回はただ冗長な駄文を読んでいただいた事に感謝するのみとする。

コンピュータに詳しい層の人たちからすると、ADSL 戦争は大きなイベントのように思えるかもしれない。しかし実際には、ADSL でインターネットを使っている人は日本ではまだそんなにいない。NTT でさえ確かまだ六十万人くらいしか契約していないという話を聞いた覚えがある。携帯も含めて日本には三千万人のインターネットユーザーがいるので、それと比べると ADSL は非常にマイナーなのである。

そういえば、ADSL に関する技術的な説明をするのを忘れていた。簡単に言えば、データをコウモリとかにしか聞こえないような高すぎる音にして送受信する仕組みのことである。電話は 8,000hz の帯域があれば十分で、それだけあれば 4,000hz までの音で通話できる。テレビの時報のピッピッピッポーが 440hz と 880hz で、一オクターブ上がるごとに周波数が倍々になっていくので、これだけあれば人間の声は十分伝わるのである。もっとも、声色を決めるのは高周波成分なので、電話だと人間の声が誰の声か判別しにくく聞こえるのである。一方、高すぎる音の成分は、電話線を伝っているうちに劣化してしまい、十分な精度を保つ事ができないので、基地局からの距離が重要な要因となるようである。

おそまつなことに、ADSL を導入してから私のインターネットの利用がどう変わったのかを書くのを忘れていた。BBS への返信をあせらなくなったのが大きい。自動切断されてしまったりとか、何もしてないのに電話をつなぎっぱなしにするもったいなさを感じずに済む。同時に何人もインターネットを利用できるし、電話も掛けることができる。万々歳である。通信費がコンスタントに六千円強掛かるようにはなってしまったが、もはや通常の使い方をして六千円を割ることはないだろう。それから、せっかく時間を気にせずにインターネットできるようになったので、ネットワークゲームのウルティマオンラインを買ってみた。その感想はまた別の回に書く事にする。


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