2008年11月30日 ましろ
激怒!食べ物の恨み
もうかなり昔ですが、都会で数年間一人暮らしをしていた時の話です。
都会での女性の一人暮らしは危ないとの親の忠告を守り、可愛い柄のカーテンだと女性と感づかれるのでわざと地味なものを、郵便受けの名前は書体で女性と分るのでワープロで書き、ドアの覗き穴から見える所には男物っぽい靴を置いてと対策を講じて暮らしておりました。
ただし電話だけは、私の前に同じ番号を使ってた人の知人らしい男からのイタズラ電話がしつこく、通常は留守電にして相手が誰かを確認してから出るようにと気を付けてはいたのです。
ある晩の事。
私は夢の中で、何故か魚を捌いておりました。
(上手くはないのですが大抵の魚は当時から捌く事ができました。何故その晩に限って、夢にそんなことが出てきたかが不思議です)
私は夢の中で大きな鯛を一尾、我ながら惚れぼれするほど上手に三枚おろしにし皮を引いて「さて刺身に切り分けるか」というときに・・・
突然の電話のベルで飛び起こされました。
「もしや田舎の身内に不幸でも!?」と反射的に受話器を耳に当てドキドキしながら、
「もしもしっ!!」
と出たところ・・・
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
お馴染みのイタ電男の吐息が・・・
その直後。
半分寝ぼけている脳内に血液が激しく逆流してくるのを感じるほど、私は激怒していました。
「こいつのせいで鯛の刺身を食べ損ねた!!」
怒りの原因がこっちの方とは、我ながら「違うだろっ!」と突っ込みたくなる思考なのですが・・・
その時は夢の中で鯛の刺身を食べるというのがとても楽しみだったらしいのです。別に好物でもなんでもないんですが。
思わず、
「うるせぇぇっ!!」
と、ドスの聞いた野太い声で叫んでおりました。
元々女性にしては地声が低いので、意識すれば男性並みの声が出るのですが、怒りのあまりまったくの無意識で受話器に向かって凄い声量で怒鳴っておりました。
一人暮らし女性に電話をかけたのに、急にガラの悪そうな男の怒声を浴びたイタ電男。
ビックリしたのかすぐに電話を切りました。
「あいつのせいで鯛の刺身、食べそこねた・・・クスン」
夢と現実の区別がついていないまま布団にもぐり寝直した私・・・
半年間あれだけ悩まされていたイタ電が、あれからぱったりと来なくなりました。
イタ電男に怒鳴ったというのは、夢の中の出来事ではなかったようです(笑)
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