2005年3月3日 渚
釣銭!不意に訪れた混乱
とある祝日のことだった。
私はその日少し遠い病院に行かなければならなかったので、バス停でバスを待っていた。
バスが来てバス券をカード投入口に入れる。
出てきたカードを慣れた手つきでポケットに入れる。
バスの中を見渡すと、中は席がポツポツ空いている、というような状態だったので出口に近い席に私は腰を下ろしてウォークマンを聞いていた。
さて、停車駅が近づいてきたのでポケットの中のカードを取り出して、バスが停車するのを待っていた。
バスが止まる。
私はカード投入口にカードを差し込む。
運転手さんがなにやら私に向って言っている。
「・・・・・・」
「・・・?」
「・・・・!!」
私はウォークマンをはずして聞き返した。
「なんですか?」
「どこから乗ってきましたか?」
「え・・・」
何でそんなことを聞くんだ?
「松ヶ□ですけど・・・」
「300円足りません」
そんなわけない。行く前に確かめた。
往復してもお釣りが来るぐらい残っていたはず。
「そんなわけないですよ」
運転手さんは困惑した表情を浮かべる。
「でも・・・300円足りないです」
そんなアホな!!
私にも動揺が走る・・・バスの乗客たちの冷たい視線が突き刺さる。
もういい!! 払ってしまえ!!!
財布を取り出して中を見る。
樋口一葉が私に向って微笑んだ。
大量のカードと5000円札と10円玉と1円玉しか入っていない私の財布。
「えと・・・5000円札じゃあ駄目ですか・・・?」
「駄目ですね」
即答する運転手さん。
バスの料金が・・・払えない・・・!!
生まれて初めての失態に、私の体から冷や汗が噴出した。
どっかに1000円札とか入ってないか?
ポケットをあさりまくる。
無い、ない、ナイ!!
手が震えてくる。バスの皆さま、ごめんなさい。
もう一度財布の中を確認。
・・・ん?
カードの間に500円玉発見!!
よっしゃー!! レッツ・ゴー、500円玉!!
私はバスの小銭入れ(?)に500円玉を入れた。
「えぇ?!」
バスの運ちゃん、激しい動揺。
どうしたんだろう・・・?
とうの私はまるで気付いていない、自分の間違いに・・・
「おつり、10円玉でしか出ないんですよ」
「・・・・・!!」
バスの乗客の忍び笑いが聞こえてくる。
穴があったら入りたい・・・! 掘ってでも入りたい!!
バスの両替のところからジャラジャラと出てくる10円玉20枚。
それを真っ赤になって財布に押し込み、逃げるようにバスを下車。
後で落ち着いてポケットを探ると、往復してもおつりがくるカードを発見。
どうやら同じ種類のカードがポケットにもう一枚あって、私は違う方のカードを出してしまったようだ・・・悲しい。
− 1624 −