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愛鳥!その愛を人間にも

2008年4月13日  しおまねきねこ


某地方自治体で3年間、鳥獣保護を担当していた、しおまねきねこと申します。

仕事の中には、怪我をしたり弱った野生動物を保護するというのもありました。
声の感じからして30歳代くらいの男性から、その電話はかかってきました。

スズメのヒナを拾ったので、助けに来てほしい」

レッドデータブックに載っているような希少な鳥については、近くの動物園で保護してもらえるように協定を結んでいます。
また、拾ったのが小さな子供さんなら、教育上の理由から動物園に(かなり)無理を言って、保護してもらうこともあります。

しかし今回はスズメで、しかも相手が大人なので、動物園に保護は頼めません。
拾った人が何とかするほかありません。

とにかくさえ見つければ問題は解決です。一応聞いてみましょう。

「近くにがありませんでしたか?」
「そんなの、もうとっくに捜しとるわい! 助けに来るのか、来んのかどっちなんじゃ!」

えーっ? なんでいきなり戦闘モードなんですか?
どうやら、うちに電話する前にあちこちに電話をかけて、たらい回しにあったらしく、かなりイライラしているようです。

しかし、助けに行ったところで私には何もできません。

「拾ったところに戻して様子を見ていれば、親が助けに来るかもしれませんし・・・」
「ネコに食べられたらどうするんじゃ! とにかく来い!」

いや、来いって言われても・・・助けるのが目的じゃないんですか?

「スズメのヒナは保護できないんですよ」
「そうやって、命を差別するのか! もし、自分の子供が病気で苦しんでいたら病院に連れて行くだろう。スズメのヒナも同じと思わんのか!」

思いません!!
というか、自分の子供と同じと思うなら、自腹切って動物病院に連れて行けばいいじゃ・・・


色々とヒナを助ける方法を提案する私と「とにかく来い」一点張りの男性との間でかみ合わない議論を延々と続けた挙句、

「もうええ!」

の捨て台詞とともに電話を切られてしまいました。


この後も、男性はあきらめずあちこちに電話をかけまくったようです。
肝心のヒナはどうなったんでしょうね?

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