2007年5月13日 時雨
代理!間違いないのよ
私は某ローン会社のカスタマーセンターで仕事をしております。
一日の半分ぐらいの問い合わせが残債に関する内容なので、入電時の契約特定は非常に慎重に行っております。
現在は個人情報保護法という(ある意味厄介な)法律が施行されておりますので、そう簡単にお客様情報を開示することは出来ません。
最近では本人及び保証人以外の方からの入電の場合、
「個人情報保護法の関係でお伝えできません」
と一言言えば、ほぼ9割の方がしぶしぶではあっても納得されて切電していただけるのですが・・・
もちろん一部にはなかなかご納得いただけない方がいらっしゃいます。
今回はそのご納得いただけない一部の方のお話です。
いつものように電話に出ると、とても可愛らしい感じの話し方をするマダムからの電話でした。
「残債を一括清算したいのだけど、金額を教えていただけるかしら?」
「かしこまりました。ではお名前のフルネームと契約番号をお願いいたします」
ここまではいつもどおり。
当社でローンを組んでくださるお客様のうち、約7〜8割が男性のお客様なので、女性からの入電の場合はほとんど問い合わせに対する回答が出来ません。
なので最初に名前を聞いてしまいます。
「契約番号は○○○○で、名前は田中太郎(仮名)です」
案の定、契約者本人ではありませんでした。
画面に出た契約情報を確認し、保証人が居ない契約であることを確認。
「恐れ入りますが、ただいまお電話いただいておりますのは奥様でらっしゃいますか?」
「はいー」
「大変申し訳ないのですが、現在は個人情報保護法の関係で契約内容についてご本人様以外の方への回答が出来かねてしまいます。お手数かとは存じますが、ご本人様からの入電をお願いできませんでしょうか?」
ここまでもいつものパターン。
しかし、このマダムはこんなんではへこたれなかったのです。
「あらぁ、そうなの? でも私、本当の主人の妻なのよ。調べていただいてもいいわ」
ちょっとマテ・・・
「本当に主人の妻なのよ」ってどういう意味だ?
「奥様を疑っているわけではなく、残債金額自体が個人情報なのでご本人様からのお問い合わせでないとご案内が出来かねてしまうのです」
「そうなの? 困ったわねー。主人に内緒で一括清算してしまおうと思ったのだけど・・・。何とか主人に内緒で一括清算してしまう方法はないかしら?」
「この期に及んでアンタ何を聞いて来るんだ!」と問いただしたり、どんな家庭事情の奥様なのか聞いてみたい衝動に思わず駆られましたよ(苦笑)
そんな衝動を抑えつつも、答えられないものは答えられませんので丁重にお断りして、ご主人様本人よりの入電を依頼しました。
「本当の妻」であることを強調したり、「内緒で一括清算」してしまおうとしたり・・・謎の多いマダムでした。
その後、ご本人様からの清算の連絡は入っておりません。
奥様の秘密の計画は敗れてしまった模様です。
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