2006年1月26日 ファミレスねーちゃん
珍客!いらっしゃいませ
私は深夜のファミレスのパートですが時間帯責任者として働いております。
朝の5時まで営業をしているものですから、気持ちよーくアルコールも入っていらっしゃるお客様もおこしになられます。
そのおじいちゃんも、ある日突然タクシーで乗り付けていらっしゃいました。
「いらっしゃいませー」
「ねーちゃんビール!」
「かしこまりました」
・・・かなり入っているなあ・・・ごきげんやな。
「グラス2個持ってきて」
は? なんで?
「あ、はい、かしこまりました。すぐお持ちいたします」
ビールとグラス2個を持っていく私。
「お待たせいたしました。瓶ビールでございます」
「あっりがっとー!」
うわー・・・かなり酔っているよ。
何もないうちに帰っていただきたいなあ。
・・・とグラス2つにビールを勢いよく注いだ後、私に向ってこうおっしゃられたのです。
「ねーちゃん、横に座ってーや。一緒に飲もうや」
・・・ここはファミレスですってばー!
キャバクラとでもまちがっとんのか?
「申し訳ございませんが、こちらはファミリーレストランでして、店員が一緒に座って仕事中にビールを飲むわけにはいかないので、お気遣いはありがたいのですが・・・」
しかしまったく聞いちゃいない。
人の手を握りしめ、シートをぽんぽん手でたたき、座れとぬかしやがるおっしゃられます。
もちろん他にもお客様がいらっしゃるのに、まったく手を離してくれず。
仕事が出来ぬまま、
「座ってーや!」
「申し訳ございませんが・・・」
の繰り返し・・・
その間にもどんどん時間は過ぎ、閉店時間を越えてしまいました。
残っているのは、その色ボケ爺お客様のみ。
たまたま新入社員の子がマネージャー研修ということで私が指導していたので、その子が仕事してくれていたので他のお客様には迷惑はかからなかったのですが・・・
さすがにそろそろ追い出し(お帰りいただく)にかかろうと、
「気持ちよく酔っておられるようなので、危ないですからタクシーお呼びしましょうね」
「おお、解った、呼んでくれ!」
・・・やっと帰ってくれるー。
「ほな、ここに座ってのもうや!」
な、なんですと?
それからひたすら、帰っていただく為に説得を続け・・・
タクシーの運ちゃんも困り果てた頃、やっと私の手を握りしめたまま席を立ってくれました。
「またくるわー!」
タクシーの窓を開けて手を振ってにこやかにお帰りになりました。
・・・二度とこないで下さい(号泣)
すっかり日も昇り、朝の通勤ラッシュが始まった頃のことでした。
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