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呼名!日常の空似

2004年9月28日  ていいん


看護師をしています。
内科病棟勤務なので高齢の患者さんが多く、楽しいエピソードもたびたび生まれております。

そんな中のひとつをご紹介します。


先日肺炎で入院された80歳の患者Aさんが、頻脈を起こしてしまいました。
もともと心臓に疾患があり循環器科にもかかっていた方なので、すぐ医師に報告、酸素投与などで経過をみるようにとの指示がありました。

ご本人は自覚症状が全くなく、ひょうひょうとされていましたが、血圧が下がったりしたら大変と、ちょっと緊張しながら看護にあたっていました。

心電図のモニターから頻脈が続いていることが確認され、再度医師に報告しようかと思っていた矢先、Aさんからナースコール。
あわてて訪室すると、Aさんはベッドサイドの引き出しに手を伸ばし、何かを取ろうとしてらっしゃいました。

「何かお探しですか?」
「カンゴフさん、安定剤はありませんか?」

私たちは睡眠薬のことを安定剤と呼ぶことが多いんです。言葉のイメージが今ひとつのような気がして・・・

安定剤を欲しがるなんて、今まで自覚症状なかったけれど、けっこうつらくなってきたのかな。
そう思い、とっさに脈をとったり血圧を測ろうかと考えながら、とりあえず引き出しの中を探しました。

が、それらしいものはありません。

「青い箱の中にあるはずなんだけど」

そう言われて「青い箱」を探すと、それには大きくこう書いてありました。

ポリ○ント

そう、Aさんは「入れ歯安定剤」を探していらっしゃったのです。
時刻はちょうどお昼過ぎ、入れ歯の手入れのあとでした。


緊張を強いられることの多い職場ですが、こういうことで鋭気を養い、日夜頑張っています。

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