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切花!人生をかけた大勝負が

2004年8月5日  ふくら雀


数年前に空港のVIPラウンジで働いていた時の話を披露させて頂きます。


とある航空会社のラウンジだったのですが、”VIP”という言葉から連想される雰囲気からはかけ離れた場所でした。
内装や家具は新しいけれど安っぽいファミレスのようで、お客様に、

「ねえちゃん、酒持って来い!」

と怒鳴られることも珍しくありません。

セルフサービスで食べ放題飲み放題のため、グラスや食器を手にしたお客様が実に精力的にカウンターとお席を往復されます。
カジノツアーに参加される方も多く、ホステスさんと思しき厚化粧の女性(失礼!)と日焼けしたパンチパーマの男性のカップルも数多くお見えになっていました。

そんなラウンジでの出来事です。


毎週、大きな花瓶用のお花が配達されて来るのですが・・・
1週間前のお花は捨てずに短く切り、各テーブルに小さなグラスを置いて飾っています。

そのお花を「下さい」と仰るお客様がいらしたようなのです。
若い男性で、

「今からプロポーズしたいから、この花を下さい」

と・・・

パントリー(裏の台所のような場所です)で同僚から対応を相談された私達全員、「ええええええええ!」と叫びました。
1週間前しおれかけた花、しかも首の所でちょん切られている花で、しかもこんな安っぽく柄の悪い場所で、プロポーズ!!

「彼女が可哀想」
「てか、その気があっても絶対断るよそれ」
「自分だったらそんなことされたくない」

と非難轟々です。


結局、一人のお客様だけにお花を差し上げる訳にはいかないということで、丁重にお断りさせて頂くことになりました。

確かに大きな窓から飛行機と滑走路が見える場所はロマンチックかもしれませんが・・・。
あのお二人は今頃どうされているでしょうか。幸せに暮らしていらっしゃる事を祈っています。

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