- つぐない
- 後悔先に立たず。ひとつの嘘がきっかけで狂っていく運命の歯車と、そのおとしまえをつけようと少女の贖罪の物語を複雑な時間軸とテレサ・テンの名曲に乗せて描く(一部うそ)。ゴールデン・グローブ賞受賞。
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- JUNO/ジュノ
- 16歳で妊娠。さあどうする。中絶?シングルマザー?硬派な社会問題をコメディータッチで切り取り、全米の共感を得たスマッシュ・ヒット作。
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- フィクサー
- 法廷に立たない弁護士。裏取引専門のフィクサーが、知ってはいけない秘密を知って苦悩し命さえ狙われる。息もつけないサスペンスが話題に。
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- ノーカントリー
- 犯罪絡みの大金を偶然手にする男、放たれた暗殺者、追う警官。ひとつ間違えた歯車はどんどん軋みを大きくしていく。冷酷無表情の暗殺者が恐ろしくもなぜか笑いを誘う。
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- ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
- カルフォルニアで石油を掘り当てた男の成功と挫折。ひとりの男のアメリカンドリームを描いてアメリカの歴史の闇があぶり出される。
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今年の作品賞のテーマはさしずめ”覆水盆に帰らず”か(適当)。前哨戦は「ノー・カントリー」のほぼ1人勝ち。ラストスパートの勢いがある「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も有力。ゴールデン・グローブ受賞の「つぐない」が年配の会員のハートを掴む可能性も。
昨年の「ドリーム・ガールズ」に続き、ゴールデン・グローブ受賞のミュージカル「スウィーニー・トッド」が落選。自分探しの悲劇の旅を描いた「Into The Wild」、「アメリカン・ギャングスター」「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」「ラスト、コーション」「エリザベス・ゴールデン・エイジ」「ボーン・アルティメイタム」「潜水服は蝶の夢を見る」などが一歩届かず。
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- ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン(ノーカントリー)
- 息を飲む追跡劇の中に不気味なユーモアも織り交ぜる手腕は独特。「ファーゴ」で脚本賞受賞経験はあるが、監督としては初ノミネート。NY批、DGA受賞。
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- ジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る)
- 奇跡の物語を、驚きの手法で映像化。ゴールデン・グローブ賞、カンヌ映画祭監督賞受賞。
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- ポール・トーマス・アンダーソン
- 初の脚色作品でアメリカ発展史の陰の部分を描き出す。監督として初ノミネート。LA批評家会賞。ベルリン映画祭監督賞受賞。
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- ジェイソン・ライトマン(JUNO/ジュノ)
- 深刻で身近な社会現象をコメディで描きつつ、ひとりの少女の成長としても見られる構成でしっかり問題提起。初ノミネート。
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- トニー・ギルロイ(フィクサー)
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監督賞初ノミネートがずらりと並ぶフレッシュな顔ぶれ。コーエン兄弟とジュリアン・シュナーベルの一騎打ちの様相。
作品賞候補作監督のジョー・ライト(つぐない)、DGAノミネートのショーン・ペン(Into The Wild)、NBR受賞のティム・バートンが落選。リドリー・スコット(アメリカン・ギャングスター)も届かず。
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- ケイト・ブランシェット(エリザベス ゴールデン・エイジ)
- ひとりの女性として苦悩しながらイギリスを黄金の時代へと導いた処女王エリザベスを力強く演じて、前作に続いてのノミネート。同一役での2度のノミネートは女性初。
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- ジュリー・クリスティ(アウェイ・フロム・ハー 君を想う)
- アルツハイマー症に苦しみ、施設で暮らすうち最愛の夫のことも記憶から薄れていく老女フィオナ。愛とは何かを訴えかける。4度目のノミネート。ゴールデン・グローブ、NBR、NY批、SAG賞受賞。42年ぶり2回めのオスカーなるか。
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- マリオン・コティヤール(エディット・ピアフ 愛の讃歌)
- 魂が乗り移ったようななり切りブリぶりで伝説のディーバのカリスマ性も再現。ゴールデン・グローブ、LA批、BAFTA、仏セザール賞受賞。
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- ローラ・リニー(The Savages)
- 年老いた父親の介護を巡って、ぎくしゃくする姉弟。リアルな共感を呼ぶ演技は定評のあるところ。助演も含め3度目のノミネート。
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- エレン・ペイジ(JUNO/ジュノ)
- 若気の至りで妊娠してしまってからことの重大さに気付く高校性。自分のために子供のために最善の道は何なのか。悩みながらも成長する少女を演じて初ノミネート。
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アンジェリーナ・ジョリー(マイティ・ハート)、キーラ・ナイトレイ(つぐない)、ニッキー・ブロンスキー(ヘア・スプレー)、タン・ウェイ(ラスト、コーション)、ヘレナ・ボナム・カーター(スウィーニー・トッド)らが落選。
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- ジョージ・クルーニー(フィクサー)
- 不祥事もみ消し専門の腕利き弁護士。莫大な賠償金が絡む大企業のケースを通じて、良心と忠誠の狭間で苦悩する。しかも命も危ないんだから身体も張らなきゃいけないし。俳優として2度め、主演は初のノミネート。NBR受賞。
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- ダニエル・デイ・ルイス(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
- 富と権力のためなら何をも厭わない冷血無情の男の成り上がりと挫折ぶりを鋭く表現。4度目のノミネート。ゴールデン・グローブ、NY批、LA批、BAFTA、SAG賞など各賞総なめの勢い。
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- ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師)
- ティム・バートン監督とハサミ男の役で再びタッグを組んで、元ロッカーの面目躍如の歌声も披露。いい人ぶりには定評のあるところで票が集まるかも。3度目の正直なるか。ゴールデン・グローブ受賞。
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- トミー・リー・ジョーンズ(告発のとき)
- イラク帰還兵の息子のゆくえを追う自身もベトナム戦線経験者の父。息子の知られざる一面を見つけ出すうち、国家の謀略までも明らかになっていく。3度目のノミネート。
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- ヴィゴ・モーテンセン(Eastern Promises)
- ロンドンに暗躍するロシアン・マフィアのボス。ある女性と知り合うことで冷血無情な男の中の何かが変わり始める。初ノミネート。
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ダニエル・デイ=ルイス独走中。票が流れるとしたら「オスカー経験者」という要素くらい。その場合ジョニー・デップが浮上するかも。
デンゼル・ワシントン(アメリカン・ギャングスター)、トム・ハンクス(チャーリー・ウィルソンズ・ウォー)ら常連組、ライアン・ゴズリング(Lars and the Real Girl)、エミール・ハーシュ(Into the Wild)、ジェームス・マカヴォイ(つぐない)らの若手組が選から漏れる。ベネチア映画祭男優賞のブラッド・ピット(ジェシー・ジェームスの暗殺)も残念賞。
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- ケイト・ブランシェット(アイム・ノット・ゼア)
- 女優ながら故ヒース・レジャーらとボブ・ディランを競演。難役をこなして2年連続の助演賞候補。ゴールデン・グローブ賞、ベネチア映画祭女優賞受賞
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- ルビー・ディー(アメリカン・ギャングスター)
- ハーレムを牛耳るギャングの精神的支えとなるママ・ルーカスを凛として演じて存在感大。初ノミネート。
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- シアシャ・ローナン(つぐない)
- 姉への誤解と嫉妬からついてしまった嘘。その贖罪の過程と苦悩を表現して初ノミネート。
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- エイミー・ライアン(Gone Baby Gone)
- 連続少女誘拐事件の渦中にありながら、身勝手を押し通す母親を演じて強烈な印象を残す。NBR、LA批、NY批、BFCAなど、批評家の賞を総なめ。初ノミネート。
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- ティルダ・スウィントン(フィクサー)
- 巨額の賠償訴訟を抱える農薬メーカーの社内弁護士。迫りくるジョージ・クルーニーにも動じない悪女振りがお見事。BAFTA受賞。初ノミネート。
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ケイト・ブランシェットを除いて初ノミネートが並ぶ。前哨戦ではエイミー・ライアンが独走中。ベテランに経緯を評してルビー・ディーに票が集まる可能性も大。
キャサリン・キーナー(Into the Wild)、バネッサ・レッドグレーブ(つぐない)らが届かず。
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- ケイシー・アフレック(ジェシー・ジェームスの暗殺)
- 憧れのギャングの手下になって有頂天の少年が、現実と理想のバランスの中で純粋さを徐々に曇らせていく。NBR受賞。
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- ハビエル・バルデム(ノーカントリー)
- 狙った獲物は逃さない。冷血無比の必殺仕事人。今まで見たこともない独自の仕事道具が可笑しくも不気味。ゴールデン・グローブ、NY批、BAFTA、SAGなど、前哨戦を独り占め。2回めのノミネート。
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- フィリップ・シーモア・ホフマン(チャーリー・ウィルソンズ・ウォー)
- 怪しげCIAエージェントを演じて芸達者なところをアピール。2回めのノミネート。
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- ハル・ホルブルック(Into the Wild)
- 自分探しの若者が旅先で出会う、孤独な老人役。人生これからのもの、人生を振り返るものの交流が印象に残る。初ノミネート。
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- トム・ウィルキンソン(フィクサー)
- クライエント企業の不正を告発しようとして精神的に追い詰められる弁護士役。主演ジョージ・クルーニーとの対照的なキャラクターが作品にメリハリをつける。2度めのノミネート。
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ハビエル・バルデムのぶっちぎり。彼以外だったら大波乱といえそう。
ジョン・トラボルタ(ヘア・スプレー)、ポール・ダノ(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)らが選から漏れる。
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