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オスカーのゆくえ - ノミネート作品

作品賞

The Aviator
アビエイター
富豪にして映画人、自家用飛行機を操るハワード・ヒューズの破天荒な人となりを描いた大作。ギャング・オブ・ニューヨークに続いて、デカプーとスコセッシ監督のコンビで今年の最多の11部門ノミネート。ちょっと出遅れたが、ゴールデン・グローブ、PGA、BAFTA連続受賞で本命に浮上。
x2
Finding Neverland
ネバーランド
夢を見なくなってしまった少年ピーターに、イマジネーションの大切さを優しく教える、スランプの劇作家。ファンタジックで心温まるピーター・パンの誕生秘話。NBR受賞。
x6
Million Dollar Baby
ミリオンダラー・ベイビー
人生の再起をかけた女性ボクサーと、かつての名トレーナーが逆境をはねのけて掴む栄光…と思いきや物語は意外な展開を見せる。ヒラリー・スワンクの熱演が話題の力作。全米映画批評家会賞受賞。
x4
Ray
Ray/レイ
幼くして光を失った男の子が音楽の才能を花開かせ、駆け抜けて行った人生を決して美化することなく描く。故レイ・チャールズ本人の指名というジェイミー・フォックスの熱演が光る。
x5
Sideways
サイドウェイ
独身生活にピリオドを打とうとする40代中年をワイナリー・ツアーに誘う親友。笑いの中に人生が垣間見られる。LA、NY、SF、ボストン、トロント、シカゴ、フロリダと批評家の賞を総なめ。
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批評家の圧倒的支持を集める「サイドウェイ」を「アビエイター」と「ミリオンダラー・ベイビー」が激しく追う三つ巴の展開。「ネバーランド」「レイ/Ray」が後を追う。昨年と一転して大本命不在の今年は予想がつかない。アカデミー賞らしい華やかさを買って「アビエイター」に一票。

有力視されていた「Mr.インクレディブル」は長編アニメ賞候補に甘んじる。前半の話題を独占した「パッション」は公開が早過ぎたようで失速。長編ドキュメンタリー候補を辞して臨んだ「華氏911」も健闘及ばず。熱が冷めるのが早いのは日本人だけではないようで。

「オペラ座の怪人」はミュージカル枠?を「Ray/レイ」に譲った形。アフリカ版シンドラーのリスト「ホテル・ルワンダ」、ベネチア金獅子賞の「ヴェラ・ドレイク」、男女4人の四角関係を洒脱に描いた「クローサー」、米国人のセックス感を一変させた男の物語「キンゼイ」、恋愛版メメント「エターナル・サンシャイン」などは演技賞候補に回る。字幕の壁は厚く、「モーターサイクル・ダイアリーズ」「海を飛ぶ夢」のスペイン語勢は選外へアスタラ・ビスタ・ベイビー。


監督賞

Clint Eastwood (Million Dollar Baby)
クリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)
ゴールデン・グローブ賞に続いてDGAも獲得で俄然フロントランナーに。3度目の監督賞ノミネートで、2冠めを狙う。

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Taylor Hackford (Ray)
テイラー・ハックフォード(Ray/レイ)
「愛と青春の旅立ち」から23年。天才レイ・チャールズの波乱の一生をドラッグや女性遍歴なども隠すことなく描いてその生き方をあぶりだして長編作として初ノミネート('78年に短編実写で受賞経験あり)。

x5

Mike Leigh (Vera Drake)
マイク・リー(ヴェラ・ドレイク)
「秘密と嘘」以来8年ぶり2回目の監督賞候補。ベネチア映画祭、BAFTAと欧州の賞を獲得。一昨年のポランスキーのように逆転受賞の可能性も。

x6

Alexander Payne (Sideways)
アレクサンダー・ペイン(サイドウェイ)
内気な中年ワイン通と女たらしのオヤジの旧友2人の珍道中を、笑いとペーソスを織り交ぜて心に響く人生劇に仕上げた。「アバウト・シュミット」ではノミネートを逃したものの今回は堂々と初の監督賞候補。「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ」で脚本賞候補の経験あり。

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Martin Scorcese (The Aviator)
マーティン・スコセッシ(アビエイター)
監督賞5回目他、通算7回度めのノミネートながら意外にも無冠の巨匠。タクシー・ドライバーではノミネートすらされていない。併せ技で票が集まるかも。これを逃すとヒッチコック、アルトマンと並ぶ(多分)最多無冠ノミネート監督の仲間入り。待てば海路の日和あり、となるか。

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5回目の正直のスコセッシとV2を狙うイーストウッドの巨匠ガチンコ勝負。イーストウッドが優勢ながら受賞経験があるのが逆風になるかも。同情票が流れやすいアカデミー賞だけに、無冠の巨匠スコセッシにもチャンスあり。ハックフォード、ペインが間隙を突く可能性も…やっぱりないか。作品賞候補なくして監督賞なしというジンクスあり、マイク・リーはちょっと苦しい。

作品賞候補ながら、マーク・フォースター(ネバーランド)が落選。ウォルター・サレス(モーターサイクル・ダイアリーズ)、「LOVERS」が米国でヒットしたチャン・イーモウ、アレハンドロ・アメナバル(海を飛ぶ夢)らの外国勢も届かず。NBR受賞のマイケル・マン(コラテラル)らも残念賞組。


主演女優賞

Annette Bening(Being Julia)
アネット・ベニング(ビーイング・ジュリア)
落ち目のベテラン女優の崖っぷちの復讐を痛快に演じて、本命と言われながら受賞を逃した「アメリカン・ビューティー」以来助演賞と合わせて3度目のノミネート。ゴールデン・グローブ賞、NBR受賞

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Hilary SwankHilary Swank (Million Dollar Baby)
ヒラリー・スワンク
男勝りの芯の強い役ならこの人。人生最後のやり直しをボクシングに賭ける30絡みのウェイトレスをハードなトレーニングで作った鋼の肉体で演じ切る。「ボーイズ・ドント・クライ」以来のノミネートでV2なるか。GG、BFCA、SAG受賞。

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Imelda StauntonImelda Staunton(Vera Drake)
イメルダ・スタウントン(ベラ・ドレイク)
恵まれない人々のために、当時違法だった堕胎手術を密かに施していた人物を静かに力強く演じてベネチア映画祭、BAFTA、NY批、LA批の映画賞を次々受賞。初ノミネート。

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Kate WinsletKate Winslet(Eternal Sunshine of The Spotless Mind)
ケイト・ウィンスレット(エターナル・サンシャイン)
倦怠期の関係をリセットするため、恋人の記憶を消し去る決意をした女性。少しずつ消えていく幸せだった日々の向こうにあるものは…。若手演技派の面目躍如の助演賞を合わせて通算4度めのノミネート。

x5

Catalina Sandeno Moreno (Maria Full of Grace)
カタリナ・サンディノ・モレノ(そして、ひと粒のひかり)
お腹の子供のためにとコロンビアの麻薬組織の運び屋として働くようになった17歳の少女。想像以上の危険な世界に身を投じてしまった彼女の運命は…。母は強し。眼光で意思の強さを表現する演技力が絶賛されて、映画初出演でのノミネートの快挙。

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批評家の支持が厚いスタウントン、ゴールデン・グローブ受賞のベニングとスワンクの巴戦。ベニングは本命と目された「アメリカン・ビューティー」で、オスカーをスワンク(ボーイズ・ドント・クライ)に譲ったリベンジなるか。作品唯一のノミネートでの受賞なら、昨年のシャーリーズ・セロンに続いて2年連続。

エミー・ロッサム(オペラ座の怪人)、ユマ・サーマン(キル・ビル Vol.2)、ルネ・ゼルウィガー(ブリジット・ジョーンズの日記2 きれそうなわたしの12か月)、ジュリー・デルピー(Before Sunset)、ローラ・ダーン(We Don't Live Here Anymore)、スカーレット・ヨハンソン(A Love Song for Bobby Long)などが残念賞。


主演男優賞

Don Cheadle (Hotel Rwanda)
ドン・チードル(ホテル・ルワンダ)
ルワンダ内紛で大量虐殺が人々を恐怖に陥れていた頃、敵対する民族の別なく1,000人を超える人々を国外に逃して命を救った実在のホテルのマネージャーを力強く演じる。自身も社会的活動に熱心な彼としては嬉しい初ノミネート。

x6

BenJohnny Depp (Finding Neverland)
ジョニー・デップ(ネバーランド)
夢を失った少年にイマジネーションを持つことの大切さを教える若き劇作家。劇画調のオーバーアクションの海賊から一転、内面から滲み出る優しさをあざとくなく見せる表現力はさすが。去年に続いて2回目のノミネート。

x5

Leonardo DiCaprio (The Aviator)
レオナルド・ディカプリオ(アビエイター)
大富豪にして映画制作者、今をときめく売れっ子女優と浮名を流し、まさしく時代と大空を駆け抜けていった飛行家の栄光と孤独。華と影の両面を演じ切って、キャリア最高の演技との評判。「ギルバート・グレープ」以来、実に11年ぶり2回目(主演賞は初)のノミネート。

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Clint Eastwood (Million Dollar Baby)
クリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)
かつて腕利きだったボクシング・トレーナー。ある女性ボクサーの専属トレーナーを志願され、一旦は断るが彼女の決意の固さに自らも挑戦の日々を戦う心を決める。俳優としては「許されざる者」以来12年ぶり2回目、監督・作品を含めると8度目のノミネート。

x4

Jamie Foxx (Ray)
ジェイミー・フォックス(Ray/レイ)
幼くして光を失った少年チャールズ。ドラッグなどで何度も挫折しかけながらも、後に世界中の人々を彼の音楽に陶酔させた天才ミュージシャン、レイ・チャールズの生涯を体当たりで演じて、助演賞と合わせて初ノミネート。GG、NBR、BFCA、SAG各賞受賞の今年の一番の注目の的。

x2

例年にもまして実在の人物を取り上げた作品多し。キャリア最高の演技と評判のデカプーくんと、ジェイミー・フォックスのゴルデン・グローブ賞コンビの一騎打ちの様相。ベテラン、イーストウッドが追いかける。デップ、チードルは苦しい戦い。フォックスには助演と合わせて史上初のダブル受賞の期待もかかる。

NY批評家会賞のポール・ジアマッティ(サイドウェイ)、LA批評家会賞のリーアム・ニーソン(キンゼイ)が選に漏れる。「ビヨンドtheシー 夢見るように歌えば」で見事な喉を披露したケビン・スペイシー、「五線譜のラブレター De-Lovely」のケビン・クラインのミュージカル勢も及ばず。ハビエル・バルデム(海を飛ぶ夢)、ガエル・ガルシア・ベルナル(モーターサイクル・ダイアリーズ)の実在の人物を演じたスペイン語勢も残念賞。オスカーにはとんと縁が無いジム・キャリー(エターナル・サンシャイン)はまたもや落選。 ジム・カビーゼル(パッション)も及ばず。初の悪役がキャッチフレーズだったトム・クルーズ(コラテラル)は助演のフォックスに食われたか涙を飲む。


助演女優賞

Cate Blanchett (The Aviator)
ケイト・ブランシェット(アビエイター)
大富豪で映画界の風雲児ハワード・ヒューズと浮名を流した若き日の大女優キャサリン・ヘップバーンを気品高く演じて「エリザベス」の主演賞以来の2度目のノミネート。演技力には定評のあるところで受賞は時間の問題と思われるが、果たして今年がその時か。SAG、BAFTA受賞で追い上げる。

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Laura Linney (Kinsey)
ローラ・リニー(キンゼイ)
全米のみならず世界中の人々のセックス感(快感ことでなく…概念のことね)に影響を与えたキンゼイ博士の理解ある妻役を演じて「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」の主演賞候補以来の2度目のノミネート。NBR受賞でスタートダッシュしたものの、作品の勢いが失速して厳しい戦い。

x5

Virginia Madsen (Sideways)
バージニア・マドセン(サイドウェイ)
バツイチでワインおたくの中年旅行者にほのかに心を寄せるレストランのウェイトレスを演じて初ノミネート。主人公の心の変化のきっかけとなる重要な役でLA、NY、BFCAなど批評家の賞をほぼ独占。

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Sophie Okonedo (Hotel Rwanda)
ソフィー・オコネド(ホテル・ルワンダ)
ルワンダ大虐殺の危機の中、自らの命を危険にさらしながら千人を超える人々を救ったホテル支配人を支える妻を演じて初ノミネート。

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Natalie Portman (Closer)
ナタリー・ポートマン(クローサー)
ロンドンで交わる二組の男女のラブ・ゲーム。奔放で大胆かつ純粋なアリスの二面性を演じて初ノミネート。ゴールデン・グローブ賞受賞。

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誰が獲ってもおかしくない大激戦。往年の大女優を演じても貫禄充分の実力派のブランシェットだが、今回じゃなくても獲れるだろうと票が逃げる可能性もあり。新進若手に優しいカテゴリなので、ポートマン、マドセンが有利か。

有力と言われたケイト・ウィンスレット(ネバーランド)が落選。あるいはと期待されたベテラン、ジーナ・ローランズ(君に読む物語)も残念賞。悶絶の演技が頭から離れないダリル・ハンナ(キル・ビル Vol.2)も涙を飲む。目玉が無くても涙は出るのか。


助演男優賞

Alan AldaAlan Alda (The Aviator)
アラン・アルダ(アビエイター)
当時躍進途上の航空機業界の代弁者として政治の世界で暗躍する上院議員。大富豪ハワード・ヒューズの野望と議会の場で対決する。初ノミネートのベテラン名脇役。

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Thomas Haden Church (Sideways)
トーマス・ヘイデン・チャーチ(サイドウェイ)
結婚祝いのバチェラー・ツアーに誘ってくれたワイン通の親友と旅する女たらしの俳優。最後の火遊びを楽しもうと張り切る彼に起こるハプニングの数々で、思い出深い旅となった。初ノミネート。NBR、LA,BFCA受賞。

x2

Jamie Foxx (Collateral)
ジェイミー・フォックス(コラテラル)
拾った客が殺し屋だったというなんとも不運なLAのタクシー・ドライバー。果たして出口はあるのか。ぎりぎりの緊張感の中で状況から脱出することを諦めない彼の運命は。主演賞とのダブルノミネートで今年の話題の人。

x5

Morgan Freeman (Million Dollar Baby)
モーガン・フリーマン(ミリオンダラー・ベイビー)
親友のトレーナーに志願してきたウェイトレスの熱意を買って、乗り気でない親友をその気にさせる元ボクサーのスクラップ。クリント・イーストウッドとの掛け合いの妙もベテランならでは。4度目のノミネートで初栄冠を狙う。SAG受賞。

x4

Clive Owen (Closer)
クライブ・オーウェン(クローサー)
ロンドンの街角で心ならずも男女四角関係に翻弄されるイケメン医者。お医者様でも草津の湯でも恋の病は治しゃせぬ、がテーマの映画(たぶん違う)。POMちゃんによるとナニもでかいのだとか。GG、NY批、BAFTA受賞の有力候補。初ノミネート。

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前哨戦の勢いが持続すれば、オーウェンとヘイデン・チャーチの一騎打ち。SAG受賞の勢いでフリーマンが僅差で追う。ダブル・ノミネートのフォックスに票を入れるなら主演賞だろうから、こっちでのオスカーは無いとみた。

BAFTAノミネートだったデイビッド・キャラダイン(キル・ビル Vol.2)、多感な少年の繊細な心を眼力で演じたフレディ・ハイモア(ネバーランド)、「きみに読む物語」のジェームス・ガーナーのSAGノミネート組らが落選。「キンゼイ」のピーター・サースガード、「エターナル・サンシャイン」のトム・ウィルキンソンらは作品の勢いが今ひとつなのが祟ったか、残念ながらノミネートに届かず。



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