「さ、寒い!やっぱりスカートなんてはき慣れない物、着てこなければよかったー。」
そういいながら辺りを見回すと、気温はとっても低いのになぜか周りを取り囲む空気は暖かい。
そう!今日は年末の一大イベント、恋人達の季節!クリスマスなのだ!
町自体がクリスマス用のイルミネーションに彩られ、恋人達は皆、幸せそうな顔を一様に見せ歩いている。
そんな中、一人の少女がさっきからスカートの裾を気にしながら立っている。
「みんな、よくこんなふりふりした物はけるよなー。」
笑いながらもやっぱり裾を気にしている。
文句は言っているものの、その顔にはどこか嬉しそうな表情も窺える。
時計をちらりと見ると針は夕方の6時を指していた。
「そろそろ時間かー。やっとあいつに逢えるんだ。
一学期の終わりに、親の仕事の都合で引っ越していってしまったあいつと。
あれ以来、手紙と電話でしか連絡取ってないからなー。早く逢いたいよ。
ふふっ、あいつどんな顔するかなー。慣れない私のスカート見て・・・・・・。」

そう言いながら彼の反応を思い浮かべてみる。
「きっと「どうしたんだ!熱でもあるんじゃないか!!」なーんていうんだから」
そんな事を考えていると、不意におでこにヒンヤリとした物が当てられているのに気が付く。
はっとなって顔をあげると、心配そうな顔をしておでこに手を当てている男の子の顔が目に入ってきた。
「大丈夫か?うーん熱はないみたいだな。へへっ、波多野がスカートをはいてるもんだから
最初は別人かと思っちまったよ。でも・・・・?・・・・波多野?・・・」
はっとなってこっちを見るあいつ、何?どうしたの?私の顔になにかついてる?
「ど、どうしたの?あっ、やっぱりこの服似合わない?」
「い、いや、波多野・・・・。これ。」
そういってハンカチを差し出す彼。なんでハンカチを?
訳がわからないと思っていたが次の瞬間ハンカチを貸してくれた意味を理解した。
私の頬につーっと一筋の涙が流れた。私、知らない間に泣いていたんだ。
「あれ?なんだ、私ないて・・・る・・・。あれ?な・・ん・・で・・・。うっ、うわ、
うわーーーーーーーーーーーーーーん。あ、逢えた・・・・やっと・・あ・・えた・・よ。
うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

気が付けば、私は彼の胸で泣いていた。しかも思いっきり。周りの人達は何事かとこちらを
振り返るがそんなことは気にならなかった。今の私の頭の中はあいつと逢えた喜びと安心感で一杯だった。
「波多野、久しぶり。ごめんな、いままで戻ってこれなくて。」
そう言いながらあいつは私の髪を優しく撫でてくれる。
私は暫くそのまま泣き続けていた。



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