俺がこの町に移り住んでから、半年が経とうとしていた。
親の仕事の都合で引っ越し、転校をしたわけだ。
何人か気の合う友人もできた。妹の君子もなんとかやってるみたいだ。
引っ越した当時は、どうもこの町に馴染めなかったが、今では結構気に入っている。
「住めば都」というやつだ。
でも、やっぱりあの町にはかなわない、、、、。
俺が17年間生きてきた町。沢山の思い出が詰まっている町。
沢山の友人がいる町。そして、、、、
そして、一番大切な人がいる町。
「、、、、香坂さん、、、、、。」
俺が青葉台高校を去る前日、お互いの気持ちを確かめあい、俺を受け入れてくれた人。
歳は1つ上だけど、おっとりし過ぎてる所為かとても可愛くみえる。
と、言うよりも実際可愛い。しかも綺麗。誰にでも自慢できる彼女だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
(いけね!頭が香坂さんで一杯になっちまった。)
ふと気が付くと、後ろで女子生徒が俺を見てクスクスと笑ってた。
かなり間抜けな顔をしてたらしい
。 (やっちった、、、。あー早く日曜にならねーかなー。)
そうなのだ。来週の日曜日に彼女がこの町に来ると言ってきたのだ。
先日、届いた手紙にはこう書かれていた。


「おひさしぶり。元気してますか?私は元気よ。
         (中略)
それでね、来週の日曜日そちらに行こうと思うの。
あなたに逢いたくて、、、、。だめかしら?
お返事待ってます。
             麻衣子より。」


その後、すぐに彼女に電話してOKしたのは言うまでもない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
(いかん!またやっちまった。もう帰ろう、、、。)
ふと我に返り、上履きから革靴に履き替えようとした時、カサっという乾いた音と共に、
一通の手紙が足下に落ちてきた。
「なんだ?」俺はその手紙を拾い上げ、誰からかと思い後側を見てみた。
「北野 あゆみ?、、、、、ああっ!最近よく話してくるあの子か、、、。」
北野あゆみ、、、。容姿端麗で成績優秀。おまけにその人望からか生徒会長までやっている。
全校生徒の憧れの女性らしい。俺には関係ないが。
最近何故か仲良くなったのだが、それまではほとんど話した事もない。
ここ数週間まえから、急に話しかけてきたのだ。


何事と思い、封を開けて中を読んでみると、そこにはたった一言。


「屋上で待ってます。」


「?????。何でまた、屋じょ、、、!」
まさか、こ、告白?、、、、、、、んな訳ないか。あいつに限ってなー。
ま、なんか悩み事でもあるんだろう。とにかくいってみるか。」
俺は深くも考えず、かなり自分勝手な解釈をして屋上へと向かった。




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