「痛っ!」

 

あ、

 

血、・・・・出てきちゃった・・・

 

左手の親指に プクッっと現れた 血の玉を眺めて あたしは軽くため息を吐いた。

「はぁ・・・・・」

親指を 口にくわえる・・

血の味・・・なんか 鉄みたいな匂いが 口に広がる。

 

「やっぱ・・・やめとけばよかったかなぁ・・・」

針と糸を ベットの上に置くと、あたしは 右手に持ったものを ぼんやり眺めた。

 

刺繍された アルファベットの 『(アイ) 』の文字。

でも 実はまだ 半分くらいしか 縫い終えてない・・・

だから これが 『(アイ) 』の文字だってことは 、私しか知らないのよね。

・・・・・・・・・・・・・

え? 何の話かって?

これよ これ! この小さなきんちゃく。

 

まあ・・・あんまし見栄えはよくないけど・・・

ほら、

ちゃんと刺繍までしてあるんだから! ほら、ここ・・・

『S』 と・・・縫いかけだけけど 『 I 』・・・・

すごいでしょ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

はぁ・・・

でもねぇ・・・あたし 向いてないのよね、こーゆーの・・・昔っから・・

小学校の家庭科はあんまりよくなかったし・・

他の教科はほぼパーフェクトなのよ?

手先が不器用ってわけでもないんだけど・・・・

てんで うまくできなかったのよねぇ・・・

 

そう、

そうそう!思い出した・・・あいつ !

あいつってば あのころから 縫い物とか 調理実習なんかは うまかったわね・・・

他の教科は ぜんぜん駄目で いつもあたしに泣きついてたくせに・・・

はあ・・

 

・・・考えれば考えるほど、やめとけばよかったって 思う・・

始めから無理があるのよねぇ、なにからなにまで 手作りにしようだなんて・・

別にさ、 深い意味があるわけじゃないんだし・・

ヒ・・・ヒカリが そのほうが 絶対にいいって言うから・・・

そうしただけの ことだもん。

チョコを 手作りで作れただけでも、凄いことなのに・・・

 

「ここまできたらアスカ!!ラッピングも自分で作らなきゃ!」

「作る?・・・」

「そうよ、そう! このチョコに合うサイズの 小さな きんちゃくを作るのよ!」

「きんちゃく??」

「そう! もちろん イニシャルを刺繍で縫ってね!」

「刺繍!?・・・・・・・・・む、・・・無理よ!そんなの! あたしにできっこないじゃない!!」

「大丈夫よ、手伝ってあげるから!」

「で・・・・でも・・・・」

 

そうよ、・・・あの時 きちんと やめるって言えばよかったのに・・・

はぁ・・・・あたしって以外と馬鹿ね。

おかげで 指はバンソウコウだらけ・・・肝心のきんちゃくも すこし・・・いや、

・・だいぶ いびつな形になってる・・・

それに 今日はもう2月の13日の・・・あ、 やだ!・・・もう時間的には 14日になっちゃった・・

はぁ・・

もう 今からじゃ ヒカリに手伝ってもらうこともできない・・・

どうしよう・・

・・・・・・・・・・・

 

・・・

 

・・・・・・・・

はぁ・・・・・

 

なんか あたしってば さっきから ため息ついてばっかね・・・

 

いいや! どうせ 義理なんだしさ!

ちょつとくらい いびつでもさ!

心がこもってればオッケーよ!

 

・・・・・・

あ、・・いっ いや!心はこもってないわよ!義理だもん!義理!

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・

・・・

最後まで刺繍・・・・やろ・・

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・

 

だいたい・・ なんで 手作りにしなくちゃいけないのよ・・

・・・・・・・

いままでは ずーっと・・・・ずーっと お店のチョコとラッピングだったのに・・

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・なんで 手作りにしようと 思ったんだっけ・・・・・

 

・・・・・・・・・・

・・・

 

べ・・別にいいや!・・くだらないこと考えてたら 朝になっちゃう・・

・・・・・・・・・・・

・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・

 

 

「あ痛っ!」

 

 

・・・・・・・・・・・またやっちゃった・・・

 

 

『昨日』になる前に・・−前編−


 

「あれぇー・・・何処だったかしら・・・

ねぇーえー!アスカちゃん!

ベージュのスカーフ!何処にしまってあるか 知らない?」

 

「多分、真ん中のタンスの一番下にはいってるんじゃないの!」

半熟の目玉焼きの黄身のなかに お醤油をたらしながら、あたしは叫ぶ。

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

「あ!あったあった あったわ!!」

 

バタバタ・・・

 

いつものことだけど あたしの家の朝は 騒がしい、

まあ さわいでるのは ママだけなんだけど・・

今、 リビングの脇の 大きな鏡の前で スカーフと合う 色のイヤリングをどっちにしようか決めかねているのが

あたしのママ。

惣流・キョウコ・ツェペリン

5年前に パパが事故で死んじゃってから、以前 勤めてた薬品会社の研究員として、再就職・・

文字どうり 女手ひとつで 家庭をささえてる・・・

まあ、家庭って言っても ママとあたしだけだけどね。

 

あー見えても 会社ではけっこう偉いみたいで お給料は かなりいいみたい・・

まあ、このあたしの 母親だもん・・・当然と言えば 当然よね。

 

「別に、 着いたらすぐに白衣 着ちゃうんだから 服装なんてどうでもいいじゃない・・」

なげやりに言うあたしに、ママは やれやれと言った感じで、

「そういう 問題じゃないわよ・・・女はいつでも 奇麗でいないと・・身だしなみも 心もね・・」

そう言うと あたしにウインクしてみせる。

 

今のセリフ・・・パパが昔よく 言ってたセリフだ・・

パパ・・

 

「あー 遅刻する!!やばいわ!」

 

はぁ・・

ママが明るいのは パパが死んじゃって それを隠す為に無理して・・・・とか、

昔は考えてたことがあったけど、実は ただ性格がねっから明るいだけってことに 気がついたのは

最近のこと・・女は強い生き物みたい。

 

「じゃあ 行ってくるから! 戸締まり お願いね!アスカちゃん」

うん。 いってらっしゃい!」

 

バタン!

 

ふう・・・ 嵐が去ったわ・・

さ、 私も 後片付けして・・・髪をとかして・・・

 

ガチャ!!

ん?

 

「ママ!? どうしたの?忘れ物?」

「・・・・・・アスカちゃん?・・・・」

「・・・・・なに?・・・」

「頑張ってね・・・」

「・・・・・え!?・・・・・」

「素直にならなきゃ だめよ・・・」

「え・・・・・な・・・・何よ!!!

「ふふ・・・じゃあね!」

「あ!」

 

バタン!

 

な・・・・ 何を頑張るのよ・・・

 

ママのバカ・・・

 

・・・・・・・・

 

・・

 

あ!・・・・もうこんな時間・・・ いっけなーい・・・ 急がないと・・・

 

 

自慢じゃないけど あたしは朝はやいのは平気。

時間だって 学校が始まるまでには まだたっぷり余裕がある。

でも・・・あたしには その前に やらなきゃいけないことがあるのよ。

・・・・・・・・・・・・・・え?・・・・

何かって?

ここよここ! この家・・・あたしの家のとなり・・・

まあ マンションだから 隣の部屋って言った方が正しいわね。

この家に 寄らなくっちや いけないのよ

 

ガチャ!!

え?

呼び鈴をならさなくていいのかって?

んもう! いちいち うっさいわねぇ・・いいの!

 

「おはようございまーす!」

靴を脱いだあたしは 言いながら 奥へと進む。

マンションだから 家の間取りも 同じなのよね。

「あ、アスカちゃん! おはよう、いつもいつも ごめんなさいねぇ・・」

台所で 顔をこっちにむけて にっこりと笑ったのが ユイおばさま

あたしのママに負けないくらいの 美人! それに この人はほんとうに奇麗にわらう・・

やさしくって なんでも知ってて 私の大好きな 理想の人。

ついでに 料理もとっても上手。

 

ガサ・・・

リビングのテーブルにある 大きく開いた新聞紙が ゲンドウのおじさま

ここからは足しか見えないけどね・・・

あたしに 声は掛けない けど それはいつものこと。

一見 恐そうな人に見えるけど ぜんぜんそうじゃないこと あたしは知ってる。

ふふ・・・ユイおばさまに 頭があがらないこともね。

 

2人のいるリビングを抜けて、奥へと進む。

右手のふすま。

あたしが 用があるのは この部屋だ。

 

音も無く ふすまを開けると、薄暗い部屋。

カーテンを通して 薄い朝日で部屋が満たされている。

 

部屋の中には かすかな匂い。

なつかしい・・・・それでいて 少し胸がどきどきする匂い。

シンジの匂い。

そう、 あたしの前にある 布団の山の正体は 碇シンジ。

あたしの 幼なじみ。

あたしに 一番近い 男の子。

 

バッ!

勢い良く カーテンを開けると、思わず目を細めてしまうほどの 光・・

あたしは気にせず 同じ勢いで その布団も剥ぎ取る!

ババッ!

・・・

・・・

 

しばらく そのままにしておくと、ぼさぼさあたまの シンジは

もぞもぞと 動き始める。

むくっ

 

と、上半身を 起こした。

 

お、 今日は素直に起きるじゃない?

 

「さ・・・寒い・・・・」

 

そーゆーと、シンジはあたしがどけた 布団の山に 頭からもぞもぞと

入り込む。

 

こ・・・こいつは・・・・

いい度胸じゃない?・・・

 

「シンジ・・・起きなさい・・・・もう 遅刻するわよ・・・」

 

「ん?−・・・・ あとごふん・・・」

 

 

「シンジ・・・・」

「んー・・・」

 

 

「シンジ・・」

「ZZZZZZ・・・・・・」

 

ぷちっ・・

 

 

 

 

「今日は いつもより一段と 凄いじゃないか?ユイ・・・」

「おかしいわねー・・・今日は特別な日だから、いつもみたいなことに

ならないと思ってたんだけど・・」

「シンジもしょうがないやつだな・・アスカくんから チョコをもらえないぞ」

「あら、あなただって 朝は なかなか起きないじゃありませんか」

「・・・・・・・・」

「チョコ・・・あげませんよ、」

「ユ・・・・ユイ・・・・」

 

奥から聞こえる 悲鳴と怒声をBGMに 碇夫婦は 朝の食卓を満喫していた。

 

 


 

「んもう・・・・あんたが早く起きないから、また遅刻ギリギリじゃないの!」

「だから、さっきから 何度もあやまってるじゃないか、」

「謝ってすむなら 警察の存在価値無しよ」

「・・う・・・」

第三東京市 第一中学校の 廊下を あたしは シンジと早足で教室へと歩いている。

ベルが鳴る 2分前。

今日もぎりぎりな時間だ。

あれから シンジに華麗な6段攻撃をお見舞いして、両親に挨拶して

いっちょまえに朝ご飯を食べようとしてる シンジの口にトーストを突っ込んで

ここまで引きずってきたのよ・・・

ふぅ・・・・毎朝のことだけど さすがに疲れるわね、

だから のんびりした こいつの顔を見てると

ついつい 文句が 言いたくなっちゃう。

 

まあ、 早起きなシンジってのも なんか変で いやだから

別に いいんだけどね・・・

 

と、 そんな事考えてたら 教室に着いた。

「おはよー」

ドアを開けて、言いながら あたしは 教室の中に入って行く。

シンジもその後について 入ってくる。

 

しーーん・・・・・

 

って 音が聞こえてきそうなくらい、教室は静か・・・

いつもは 誰が何を言っているか分からないくらい にぎやかなのに・・

男女共学で 2月14日なんて どこの学校も こんなものなのかな・・

理由はまあ、いまさら言わなくてもわかるわよね、普通・・

 

「ねぇ、アスカ・・・今日はみんなやけに静かだね・・・なんでだろ・・」

 

・・・・・前言撤回・・・

こ・・・こいつは・・・

ほんっっとに 果てしなくそーゆーことにはウトイ男ね・・・

 

「あのね・・・シンジ・・・今日は何月何日よ・・・」

「え・・・今日?・・・えーっと・・・2月の・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・何日だっけ?・・・アスカ・・・・」

 

はぁ・・・・・

 

「もー いいわよ・・・自分で考えなさい・・・」

 

ほとほと あきれたあたしは そのまま自分の席に進む。

シンジは 深刻な顔で考え込みながら 鈴原と 相田のところへ歩いて行った。

 

「おはよ・・2人とも・・」

「 ああ、せんせー おはよーさん」

「おはよう 碇、」

いつもより 教室が静かだから シンジ達の会話が 良く聞こえてくる。

「で?・・・どうなんや? 碇・・・」

「え?・・・どうって?・・」

「またまた、とぼけるなよ 俺達親友だろ? 教えてくれてもいいじゃないか。」

「やっぱ、朝一番にもろーたのか?」

「・・・もらう?・・・」

「やっぱりそうなんだろ、 な、」

「かああー 幸せもんやなー せんせーは・・」

「ちょつと・・・2人とも・・・」

「うらやましーよなー ほんと・・俺達そーゆーのに縁が無いから・・」

「あ・・あのさ・・」

「今日も朝から この雰囲気やろ? まったく ええかげんにせーっちゆーんじゃ」

「ほんとほんと、 たまんないよ。」

「あの・・だからさ・・」

「こんなエベントに左右されるよーなったら、人間おしまいやで 」

「ほんと ほんと」

「ちょ・・・」

「わしらなんか、」

「ちょつと! まって!」

「・・・なんや ? せんせー」

「どうしたんだよ、碇?」

「さっきから いったい 何の話してるのさ? もらうとか 幸せ者とか・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・どうしたんだよ・・・・2人とも 変な顔して・・」

「せんせー・・ 本気でいっとんのか?」

「碇・・・ 面白くないぞ、今の・・」

「・・・・ほ・・本気だけど?・・」

 

はぁ〜〜〜×2

 

「な・・・なんだよ・・・2人して ため息ついて・・」

 

「せんせー・・・ 洒落にならんで、 まじ・・・」

「碇・・・・ 深刻な問題だぞ・・・それは・・」

「だから・・・なにがだよ・・」

「碇、 今日は2月の? なんにちだ?」

「なんで アスカと同じこと聞くの?」

「14日やろ?」

「そうなんだ・・・」

「・・・で?2月の14日っていえば?」

「言えば・・・?」

「そうそう・・なんや?考えてみー」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ああ!!」

 

「えらく 時間がかかるなー・・せんせー」

「ほんとに 気がついてなかったのか?碇・・」

「そうか・・・・ そうだったんだ・・・」

「惣流 から もらった時に気がつくだろ? ふつー」

「え?・・」

「そうやな、」

「アスカが?・・僕に?」

「くれたんだろ? チョコ・・」

「いや・・」

「なんや、 まだもろーて ないんか?」

「うん・・・」

「朝 2人で学校に来たんだろ?」

「うん・・」

「 くれへんつもりなんやろか?」

「ひょつとしたら その可能性も・・・・いや・・でもなぁ・・」

「それは ないと思うよ・・・」

「なんでや?」

「なんでだよ。」

「いや・・・いままで ずっと くれてたから・・・」

「ほー やっぱ 、そーな

そうなんだー!!

やっぱりねぇー!

シンジの発言に対して 鈴原の返事をかき消すほどのみんなの声が 教室に鳴り響いた。

「な・・・・なんや・・?・・」

「ねーねー 碇君! いつから? いつからアスカにチョコもらってるの??」

「ずっと って言ってたわよね、幼稚園!?小学校!?」

アヤ も ユカリ も ミユキ も アカネまでも・・ クラスの女子の ほとんどが

3バカトリオを 取り囲んで、シンジを質問攻めにしてる。

「ねぇ!どんな感じの??手作り??」

「あ・・・いや・・・えーっと・・・」

 

あの 大馬鹿・・・

 

シンジのまわりにいる みんなの視線が あたしに向いてる・・・

 

な・・・・なによ・・・・

 

「アスカ・・・」

私の隣にいた ヒカリが心配そうに 私を見てる。

 

「なによ・・・・ べ・・・・別に義理よ! 義理!」

どよどよ・・

教室が ざわめく

「お・・・幼なじみで家が隣だから しかたなくあげてるだけよ!!

なんか文句あるの!」

どよどよ・・・・ざわざわ・・・

 

「別に、文句はないわよ 」

 

ピタッ!

と ざわめきが止み、 声の主に 視線が集中した・・・

青い髪の・・・・

・・・・・・・・・・く・・・・・・こいつめ・・・・・・・・

綾波 レイ!・・・

 

先日転校してきたばっかりのくせに、

もうクラスの主導権をにぎりつつある気に食わない女!

おまけに 転校初日に シンジとぶつかったからって

その日の放課後に シンジと交際宣言なんかして!

なにが 運命の出会いよ! あーもー とにかく

やることなすこと全部むかつく女!!!

「レイ・・・あんた・・・」

「なに? アスカ・・・・別に 義理で いやいやあげてるんでしょ?」

「・・・・・・・・・・」

「それにしては変ね、・・・・・なんで そんなに顔が赤いのよ?」

ぐっ!

「ア・・・アスカ・・・・」

ヒカリ・・・悪いけど今は黙ってて・・・・ この女めー・・・・

 

「ふふ・・・それに、義理と言えども 今年もあげるつもりなんでしょ? シンちゃんに」

な・・・・なにが シンちゃんよ 気安く呼ぶんじゃないわよ!!

「あ・・あげるわけないでしょ!

こんな奴に!!」

「アスカ!」

ヒカリがなにか言ってるけど 駄目・・・・もうとまらない・・

「ふん!なんでこの私がシンジなんかに義理とは言え

チョコをあげなくちゃなんないのよ!」

 

し〜〜ん

 

「へ〜 じゃあ アスカは シンちゃんにチョコあげないんだ・・・・ふーん・・」

そう言うと、レイは むらがってる女子をかき分けて シンジの前に行き・・・

「私はちゃんとあげるわよ、はい、シンちゃん!本命のチョコね!」

そう言って、ラッピングされた チョコを呆然としてるシンジの手にのせた。

「なっ!!」

「え〜〜綾波さん ずるい〜〜!」

「そうよ! アスカがあげないって知ってたら

私も持ってくるんだったのに!!」

ワイワイガヤガヤ・・・・

「ななっ!!」

レ・・・・レイはともかく・・・・なんなのよ! まわりのその反応は!!

「碇君は あれで、けっこう人気あるのよ、でも みんなアスカに遠慮してたんだから・・」

「ヒカリ・・」

「それより・・・なんであんなこと言ったのよ・・・持ってきたんでしょ?チョコ・・」

「だ・・・・だって・・」

「え? やっぱりあげるの? シンちゃんに、」

「あげないわよ!」

「あ! アスカ!!」

 

そう叫んで、あたしは 教室を飛び出していた。

 

 

アスカが飛び出した教室・・・

物音一つしない

 

ヒカリは アスカの後を追おうと、一歩踏み出したのだが

ガタッ!

と いう音と共に、1人の男子生徒が 凄い速さで ヒカリの前を通りすぎて、廊下へと消えて行った。

 

「い・・・・・いかりくん・・・・・?」

「シンちゃん・・・」

 

あっけにとられた クラスメートの中で2人の少女が つぶやいた

 

 

 

 


教室を飛び出してしまったアスカ・・

そして それを追うシンジ・・

彼はアスカを連れ帰ることができるのだろうか?

そして アスカの手作りチョコの 運命は!?

次回

昨日になる前に・・ −後編ー

お楽しみに!

 


 

後編を読む

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