パッ!パパッ!!

レイは 手にした コショウビンを 自分の 鼻の場所で 豪快に 振った!!

鼻に むずむずと・・・・

「 は・・・は・・・は・・・・・くしゅん!!」

 

「え?・・」

すぐ背中のそばで 聞こえた 誰かのクシャミに シンジは驚いて振り返った。

そこには ぐしぐしと コショウのビンを持った手で 鼻をこする レイの姿が・・

「あ・・あやなみ?・・・な!ななな!!体が!」

ぎゅっ!

「いかりくん・・・(#^_^#)ポッ

当然、 マイクロマシンの力で レイを熱烈に抱きしめてしまう シンジ。

「わ・・・わわ!!綾波!これは!!違うんだ 体が勝手に!!」

自分の腕のなかで 至福の表情を浮かべてる 彼女に、 シンジは上ずった声で必死に弁解した。

(ど・・どうなってるんだ!・・・思いっきり力を入れても 腕がうごかない!いや・・体がまったく言うことをきかない!!)

「ごめん!とにかく ごめん! 綾波!!」

「・・・・・いいの・・・・いかりくんなら・・・」

「へ?・・・」

と、 いきなり、 シンジの体に 自由が戻った。

(あ・・動けるぞ!!)

がばっ!

いそいで シンジは レイを放し 3歩ほど 飛びのいた。

 

「ふぅ・・・・」

やっと 落ち着いて 一息つく

すると、 急に シンジは 今の自分の行動の ものすごさ を意識し、あっというまに 顔が 真っ赤になった。

そして あわてて 弁解をはじめる。

「あ・・・あやなみ、 今のは ・・・僕にもよくわからないんだけど、体が勝手に・・」

そんな シンジを レイは どこか 楽しそうな顔で見ている。

(そう・・・ ずっと 効力が持続するわけじゃ ないみたいね・・・・でも・・・)

もう おわかりだろうが、彼女 はこのマイクロマシンの正体を完全に 理解しているのだ。

さすがは レイ、赤木リツコの行動などお見通しなようである。

(いかりくん・・・・もう あなたは 私のものよ・・・ふふ・・・)

どうやら リツコとは 思考も似ているようである・・(^_^;)

「ほんとに 御免ね・・・変なことしちゃって・・・・もう、絶対しないから・・・ホントに御免!」

(・・・ふふ・・・駄目よ・・・)

パパッ!!

「あやなみ!そのコショウ・・いったい 何を!!」

「ふぁ・・・ふぁ・・・・クション!」

「・・・・・・あ・・・・あああ!わああああああ!!」

ぎゅっ!

「いかりくん・・・(#^_^#)ポッ

「あああ!!ごめん!また 体が勝手にいいいい!!」

「いいのよ・・・いかりくんの 気持ち・・・ 受け取ったから・・・」

「い・・・・いや・・・ 綾波・・・・違うんだけど・・・・」

( ふふ・・・・・・・最高だわ・・・・・・ この際、これを利用して 碇君を 完全に私のものに しよう・・

二号機パイロットから 奪い取ってみせるわ・・・ああ・・・でも 本当に いい気持ち・・・)

「ぐ・・ぐぐ・・・だめだ!やっぱり 動かない!・・・」

「・・・・・・・・」(うっとり)

「いったい どうなってるんだ・・僕の体は!」

「・・・・・・・・」(うっとり)

「ぐぐ・・ぐぎぎぎ・・・・あ・・・お! 動きそうだ! 少し時間が経つと 動けるように・・・っと・・・」

「・・・・・」(うっとり)

ガバッ!

やっと 体の自由を取り戻した シンジは 慌てて 二度 レイから体を離した。

どうやら このマイクロマシンの 効果は 一回につき、10〜20秒ほどの ようである。

「 綾波! ほんとにごめん!二回もこんなことしちゃって・・・ 今日は なんか 僕、おかしいみたいだ」

「・・・・・」(うっとり)

「ほんとに ごめんね!!」

ダッ!

気恥ずかしさと 混乱とで、 動揺しきっていたシンジは その場から 走って逃げてしまった。

 

「・・・・・・」(うっとり)

 

「・・・・うっとり・・・・・・・

は!・・・・いかりくん?・・・・

いない・・・・・逃げたの?・・・・

・・・・・・・・

・・・そう・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・でもだめよ・・・・・

逃がさないから・・・」

 

底冷えのするような 微笑を浮かべた レイは ギュツとコショウを握り締め、 彼の後を追って、

ネルフを 後にした。

 

 

抱きしめずにはいられない :後編


 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・ 」

マンションの エレベータに 乗り込んで、 シンジは やっと 立ち止まり、 荒い息をついた。

ネルフから ずっと 走って家まで帰って来たのだ。

「はぁ・・・・はぁ・・・・いったい どうなってるんだ・・・・僕の体は・・・」

シンジが 呟くと 同時に 目的の階に到着したことを知らせる ベルが鳴った。

チーン!

 

(とにかく・・家に帰って ゆっくり したい・・・喉がカラカラだ・・)

 

プシューっ・・・ガラララ

 

「ただいまぁー・・・」

力無い声で言いながら、 シンジは玄関を上がり リビングへと進んだ・・すると、

「おそい!!おそいおそいおそいー!!」

「あ・・アスカ・・・」

「あ・・アスカ・・・じゃないわよ!ただのシンクロテストに 何時間かかってんのよ!」

別に いつもより それほど遅いわけではないのだが、風邪で家にひとりきりだった アスカは

つまんなくて さみしくて いまかいまかと シンジの帰りを待っていたのである。

彼女にとっては 1分が 1時間だ。

「遅いって・・・・いつもより 10分くらい 遅いだけじゃないか・・・」

つぶやく シンジの脳裏に 先ほどの レイとの一件が 浮んだ。

思わず シンジの頬が赤く染まる。

「あ・・・ああ!!なに 赤くなってんのよ!さては ファーストとなにかしてたのね!!」

「しっ、してないよ!!なんにも!」

「いま どもった!!やっぱり なんかしてたのね!!」

「してないってば・・・それより、アスカ 風邪なんだから おとなしく寝てないとだめじゃなか。」

「話しをそらしたわね・・・ ふっ・・このアスカ様が 風邪ごときに負けるわけ無いじゃない?大丈夫よ」

「確かに 熱はさがってたけど。 風邪は治りがけが 肝心なんだから、」

「はいはい!ったく いちいちホントにうるさいおとこねぇ・・ふぁ・・・ふぁ・・ふぁ・・・ふあっくしょん!」

「ほら、 まだ 寝てないと・・・と・・・とおお!! あああああ!!また 体が勝手に!」

 

・・ぎゅっ!・・

 

「あ・・やっぱり・・」

「?・・・・へ・・・・・え・・・?・・・何?・・・」

 

「あ・・あのね アスカ・・・これはね、」

「え・・・え・・・・ええええ!!あ、ああああんた!!なに抱きしめてんのよ!!」

ドカッ!!

叫びと同時に 炸裂する アスカの コズミッククラッシャー!!

 

「ぶっ!!」

もはや マイクロマシンの制御など 問題ではなく、 シンジはふっとんで リビングを横断した。

「あ・・ああああ・あんた!な ・・なななな・・・なんてことを!!」

「・・・・・・・・・」

もちろん シンジは今、 三途の河の向こう岸で手を振る ユイの方へ ふらふらと 歩き出しているところだ

「も・・ものには 順序ってもんがあるでしょう!・・そ・・その いきなりじゃなくって、まず そういう雰囲気になって・・」

赤い顔で なにやら ぶつぶつと 続けるアスカは いまだ シンジの容体に 気がついていない。

そのころ、 葛城家の 玄関に 黒い影が!

 

 

「・・・・いかりくん・・・・見つけた・・・・」

 

 

「まず、 お互いの気持ちをはっきりとさせて・・・・って・・・シンジ? 聞いてるの?シンジ!?ちょっと!シンジ!!」

ゆさゆさ・・

「・・・・・・」

「シンジ! ちょっと!大丈夫!?」

「・・・う・・・・・あ・・・・アスカ・・・ここは?・・・」

「しっかりしてよ、シンジ!」

「あ・・ごめん、 気を失ってたみたいだ・・・」

「ごめんね・・大丈夫?・・・だって いきなり あんたが あんなこと するから・・」

「あ・・、ご・・ごめん!ホントに・・・」

「い・・いいいったい!どういうつもりなのよ、なんで あんな・・な・・・な・・・はくしょん!」

「まただああぁああぁ!! うおおおお!!」

 

ぎゅっ!

 

「い・・・いったい どうなってるんだ・・これは・・」

「だ・・抱き着いておきながら・・どうなってるんだ・・・じゃ なーーい!!」

ドカッ!!

叫びと 同時にアスカのコズミッ(以下略)

 

「あ、ああんたね!あたしのこと好きなら まず、ちゃんとそう言ってから そんで・・・」

再びなにやら 言い始めた アスカの横から、 ぬっ っと何やら 人影が現れた。

「・・・! フッ・・ファースト!!」

アスカに 目もくれず、 レイは 再び 手に持ったコショウを 豪快に振った!

パパッ!

「は・・は・・・くしゅん!」

 

「う・・・アスカ・・ 痛いなぁ・・・ボカボカなぐらないでよ・・・あ・・・あああああ!!うわああああ」

ぎゅっ!

「いかりくん・・・(#^_^#)ポッ 」

「あ・・あやなみ・・・なんで ここに・・」

 

「 こらああ!バカシンジイィ!なにやってんのよっ!」

ドカッ!!

叫びと同時に アスカのコズ(以下略)

「痛いよ!アスカ 殴らないでよ!」

「やかましい!ファーストを抱っこするなあ!」

「違うんだよ!したくて こんなこと してるわけじゃないんだ!信じてよ!」

「じ・・じゃあ なんでファーストを抱きしめたのよ!」

「いや・・ぼくにも よくわからないんだけど、 体が勝手に動いちゃうんだよ、突然に!」

パパッ!・・・コショウふりふり・・

「クシュン!!」

ぎゅっ!

「いかりくん・・・(#^_^#)ポッ 」

「・・・あやなみ・・・ごめん・・」

「そんな話しが 信じられるかぁああああああ!」

ドカッ!!

叫びと同時に アスカのコ(以下略)

「一度ならず 二度までも!この浮気者!」

その時!! 般若のような顔で 赤いオーラを立ち上らせているアスカの前で。

流れる鼻血を押さえながら、 突然シンジが叫んだ!

「そうか!!わかったぞ!」

「・・・は?・・・」

「くしゃみだ!くしゃみ!くしゃみをした人を抱きしめちゃうんだ!!わかったぞ!」

「・・・・ちっ・・・」

残念そうに 舌打ちをする レイ・・

「・・・あやなみ?・・・」

「どーゆことよ!シンジ!」

「いや・・・さっきから、 誰かがクシャミすると 体が勝手に動いて クシャミした人を抱きしめちゃうんだ・・」

「・・・・・本気でいってんの?あんた・・」

「本気だよ、 思い返してみると クシャミがきっかけなんだ!間違いなく!」

「くしゃみねぇ・・・にわかには 信じられな・・・・・は! ファースト!!あんたそれを知ってて さっきからコショウを!」

「・・・・・・・にゃり・・・・・・」

「やっぱりそうなのね!シンジの体になにしたのよ!!」

「綾波!教えてよ!!」

冷たい笑みを浮かべる レイは 質問には答えずに、 ゆっくりと コショウを顔の前で構えた。

「や・・やめてよ!!わああああ !」

その姿に たまらず シンジは リビングを飛び出した!

「シンジ!!」

「 ふふ・・だめよ・・・いかりくん・・・」

パパッ!

「クション!」

レイのクシャミと 同時に 玄関口のほうから シンジの悲鳴が聞こえた。

「うわあああああ まただあああ いやだああ!」

泣きながら レイのもとへと 走ってくる シンジ!

「アスカ!助けて!」

その声に、 弾かれたように アスカは シンジの進路に飛び込むと

彼の突進をとめようと、シンジにタックルをかました!

「 ぐ!・・・と、とまりなさい!!」

「ア・・アスカ・・・」

「・・・くっ・・・無駄なことを・・」

まるっきり 悪役な セリフを言いながら レイは 追い討ちをかけるように 立て続けに コショウをふる!

パパパパパパパッ!!

「くしょん! くしょん!はっくしょーーーん!!!」

「があああ!!ダメダああ!!」

「ぐ・・ぐぐ・・・なんて力なのよ!!」

必死に 足をふんばる アスカだが、 あまりの力に ふんばった 足ごと、レイの方へと ずる・・ずる・・と 動いてしまっている!

「こ・・このままじゃ だめだわ!!何とかしないと!!」

「アスカ!あれだ!綾波の持ってる コショウを!」

「 そうね!わかった!!」

答えたアスカは シンジの突進を止めながら レイの方へと 手を伸ばした。

その 手が ガシッ! とレイのコショウを持った 手首を掴んだ!!

「 ファースト! この コショウを わたしなさい!」

「ぐ・・! は・・放して!・」

「は、な、し、な、さ〜〜い!!」

「ぐぐ・・嫌よ!!」

「放せええええ!」

「 放さないわああああ!!」

2人のコショウとりあいは 、くんずほぐれず状態に突入!

息詰まる 攻防が 開始された。

腕力では アスカが勝っているのだが、 いかんせん シンジを止めているので 思うように力が出せない。

レイも 自分の手首をつかまえている アスカの手を 放そうと 必死だ。

「ぐぐぐぐぐぐ!」

「ぬぬぬぬ!!」

2人の力はほぼ 互角だ!

と、 その時 一筋の 閃光が!!

「くきぇーーー!!!」

叫び声をあげながら、 宙を飛んだ ペンペンのくちばし が レイの手から コショウのビンを見事に奪い去った!

「ああ!私の コショウ!!」

「ないすよ!えらいわ!ペンペン!!」

「くき!くき!くきゅー!」

誉められて、 うれしい ペンペンは コショウを口にくわえたまま ぶんぶんと 顔を振った!

パパパパ!!

「くきゅ!く・・・く・・・く・・・くしょん!!」

「どわあああああ!!」

当然 シンジが ペンペンを 熱烈に 抱きしめた。

「ききゅーーーー!」

「ああ!ペンペン 違うんだ!つつかないでよ、痛い!痛い!」

「今だ!!」

ドカッ!!

そう叫んだ アスカは シンジを 殴り飛ばして ペンペンを開放すると

今だ コショウをくわえた ペンペンを つかまえて、 レイに それを 見せた。

「ファースト!コショウは ここよ!!」

「返して!!」

「取れるもんなら とってみなさい! おりゃあああああああああ!!」

ブン!

コショウを取り戻そうと つかみかかってきた レイの前で、

アスカは全力投球でコショウビンをペンペンごと放り投げた。

「くきいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・」

ドップラー効果を発揮するまもなく リビングを吹っ飛び、窓ガラスを 突き破り、 ペンペンは真昼の星になった。

「まてええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

案の定、 それを追って ATフィールド全開で レイは飛んでいってしまった。

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・ やったわ! 悪は去ったわ!!」

ピロロ・・・ピロロ・・・ピロロ・・

ガッツポーズなアスカの後ろで、 ちょうど 電話が鳴った。

「はい、 もしもし? 葛城ですけど、・・・あ、 なんだ ミサト・・・」

( 実はね、 アスカ・・・ちょっとネルフでゴタゴタがあって 今日帰るの遅くなりそうなのよー)

「ごたごた?・・・」

(そー、 ちょっと碇司令を 半殺し・・・いや・・・全殺しかしらあれは・・とにかく、 そんなこと やってて・・)

「あ、 私も やりたかったー」

(それでー 結局ね、いろいろ 全部 リツコが悪いってことが さっき 判明してね、今からリツコもしめる予定なのよ)

「へー・・・そーなの、リツコがなにかしたの?」

(いやね、 なんか わかんないんだけど、 くしゃみで抱きしめる 機械がなんとか言っててねー)

「へ?・・・」

(また、 リツコが作ったらしいんだけど、 そんなもの 見当たらないのよー 口からでまかせ だとは 思うんだけど、)

「ちょっ!ちょっとミサト!その話し 、もっとくわしく教えて!」

いまだに 床でのびている シンジを見ながら、 アスカは 受話器をにぎりしめた。

 

( はるほど・・・これね・・・ )

のびてる シンジの首筋に しっかりと 付けられた マイクロマシンを見ながら、 アスカはうんうんとうなずいた。

( おおかた、これに気がついたファーストが シンジに取りつけたんだわ・・あの女・・あなどれないわねぇ・・)

「ん・・・ い・・痛たたた・・・あ・・アスカ・・・」

「目が覚めた? シンジ・・」

「ん・・・・あれ??・・・・綾波は?・・・」

「追い出したわよ・・・まったく とんでもない 奴だったわ・・」

「そう・・・はぁ・・・ 安心したよ・・・」

「・・・・・・・」

「でも・・ホントに僕のからだ・・どうなっちゃったんだろう・・」

「 それは・・・」

ちゃんと 説明し、マイクロマシンを外してあげようとした アスカは ふと、考えた。

別に・・すぐにとらなくても・・・いい・・・かな?・・

「アスカ?・・」

「あ・・いや!なんでも ないわよ!」

「そう・・・ はぁ・・とにかく 疲れちゃた・・・なんか 冷たいものでも飲もう・・」

「・・・・・・・・・」

「えーっと・・・ジュースは・・・・」

「・・・は・・はっ・・はっ・・・くしゅん!」

 

「わあああ!」

ぎゅっ!

「ごめん・・・ アスカ・・・・やっぱり だめだ・・」

「・・・・・・・・・」

「あ・・・あれ?・・・もう 殴らないの?・・・」

「・・・・・ し・・・しょうがないじゃない・・・・」

「・・え・・・」

「体がゆうこと きかないんでしょ?・・」

「え・・あ・・・う・・・うん・・」

「 じゃあ・・しょうがないじゃない・・」

「・・・・・・うん・・・・・・そうだね・・」

 

それから、 ミサトが帰宅するまで、 シンジの首筋の マイクロマシンが 外されることはなかった

結局 シンジは 20回は アスカを抱きしめることとなったらしい・・

 

「 風邪なんだから!! しょうがないでしよ、なんか文句あんの!?」

「・・・無いです・・・・・」

 

シンジは 後ろ手に コショウを隠し持っている 腕の中の 少女に やれやれと 微笑みかけた。

 

 

 

「 いたたた・・ ・・・ミサトってば 乱暴なんだから・・」

マイクロマシンの罰として、 コブラツイストをかけられていた リツコは 痛む関節に 文句を言いながら

自分の研究室に 戻ってきた。

「はぁ・・・・完璧な計画だったのに・・・やっぱり男と女の関係は ロジックじゃないのねぇ・・・」

そう いいながら、 部屋の電気の スイッチを入れた・・・

しかし・・

「ほんと・・ こりごり だわ・・ 機械でなんとかするのは もうやめよう・・・・あれ? 電気がつかない・・・」

蛍光燈が 切れたのかしら?と リツコは 困った顔を したのだが・・ふと、気配を感じで 闇の中に 目を凝らした。

「誰!!そこに いるのは!」

すると、 その 闇の中から、 ゆらりと なにかが 現れた・・

「ひっ! ひいいいいいいいいいい!!」

彼女が 悲鳴をあげるのも 無理はない。

片手に 泥だらけで 号泣している ペンギン

もう 片方の手 に 空になった コショウビンをにぎりしめた

水色の髪の 少女が 赤い目を光らせながら そこに 立っていたのだ!

「ばあさん・・・・」

「く・・くきゃーーー!(た・・助けてえー!)」

「いやあああ おばけええええ!!」

「ばあさん・・・今度は くしゃみすると キスする 機械を作りなさい・・」

「くくきいいいいーーーーー!(恐いよー!)」

「いかりくんと・・・キスする 機械を・・」

 

「いやーーーーーーーーーー!」

 

 

 

夜がふけるまで、 研究室からは 助けを求める女とペンギンの悲鳴と 少女の含み笑いが 聞こえていたが、

無論 だれも 寄り付かなかったそうな・・

 

 

 

 

 

 

『キスするマイクロマシンが作られたか?』 は 定かではない。

 

 

(おしまい)

 

 


 

後書きを読んでやろうかなー

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