暗闇と静寂が全てを包み込んだ世界で

携帯電話は思っていました。

僕にはどうして時間が表示されるの？僕は時計じゃないよ。

携帯電話は思っていました。

僕にはどうして日付が表示されるの？僕はカレンダーじゃないよ。

携帯電話は思っていました。

僕はどうしてメールが送れるの？僕は手紙じゃないよ。

携帯電話は思っていました。

僕からどうして音楽が鳴るの？僕はステレオじゃないよ。

携帯電話は思っていました。

僕にはどうしてレンズがあるの？僕はカメラじゃないよ。

神様は言いました。

それはね、世界が君から生まれようとしているからだよ。

君は生まれてから今までの時間に

時計を身につけ

カレンダーを持ち

手紙を書けるようになり

音楽を覚え

カメラを手に入れた。

でも君からの創世はまだ始まったばかり。

これからきっと君には

ラジオが付き

テレビが付き

ビデオが付き

電子レンジが付き

洗濯機が付き

お風呂が付き

トイレが付き

玄関が付き

遂には家が付くだろう。

そしてその家に置かれた電話に目を付けた人が

やがて携帯電話を発明します。

携帯電話は言いました。

いい加減にしなさい。