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メジャーを震撼させ続ける安打製造機イチロー


[安打製造機
]

最近の俺はもうイチローのヒットに夢中。もうすごいの一言。いやすごすぎる。いよいよジョージ・シスラーの持つメジャーリーグシーズン最多安打記録257安打の更新が目前に迫ってきた。84年の時を超え、日本から海を渡った一人の神才が新たな歴史を切り開く瞬間が。現在153試合消化時点で249安打。これまでのペースから考えれば残り9試合で9安打はほぼ確実に達成されると見て良いだろう。正に安打製造機。まさか日本人がメジャーリーグの歴史の頂点に迫る日が来ようとは。

かつてイチローが海を渡ったとき、メディアに映る野球評論家さん達は口をそろえて「3割打てれば大したもの」と言っていた。そんな中で俺だけがテレビの前で「いやイチローは3割5分打つよ」と反論していたもののそれを野球評論家さん達に完全に無視された日々を思い出す。実際イチローが3割5分を打った時も野球評論家さん達は俺の予想には一言も触れずに「いやあイチローはすごいですねえ」とあくまでイチローの賛美に口を留めたがそれでも俺は満足だった。そして今となってはそれも懐かしい思い出。

そんな話はさておきイチローの打撃の特徴はなんといっても内野安打の多さだ。その数実に4本に1本が内野安打。内野安打はクリティカルなミートを必要としないため年を通じて好不調の波に左右されにくい。つまりイチローにはシーズンが始まった時点で少なくとも50本の内野安打が確約されているようなものなのである。これは投手にとって本当に怖ろしいことだ。なにしろ投手は打者のバットの芯を外す=アウトになると言う前提の下で投げているのにイチローに関してはバットに当てられることすら許されないような恐怖に襲われるのだから。メジャーNo.1のバットコントロールを持つと称される打者に対してこれではたまったものではない。

そんな彼の打撃スタイルに関して正統ではないと非難の声をあげる者もいる。しかしそれは大きな間違いだ。何しろイチローの内野安打がたまたまの産物ならまだしも彼は狙ってそれを打っているからだ。分かりやすく言えば甘いボールはクリティカルにヒットし、厳しいボールは内野安打へと照準を変え、尚且つクリティカルにヒットし損ねたボールも内野安打になる確率が高まるよう計算し打っている。そんな打撃を彼以上の確率で実行出来る選手はいない。つまり彼は野球のルールの範疇で世界で一番ヒットを量産する技術と能力を持った選手ということに他ならないのだ。それでも彼の内野安打のすごさに納得がいかないのならばいっそ内野に転がった打球は全てアウトとルールを改正すればどうだろう。恐らく野球がものすごくつまらなくなるが。それにどちらかと言えば投手のほうこそボール球で勝負したり打者のタイミングが合わないよう投げたりいかにもフェアで無い気がするのだが…。

そもそも野球なんて一人の打者が8人の野手を引き連れた投手と勝負する1対9のゲーム。イチローにしてみればそんなゲームの中で「アイツの内野安打はズルイ!」なんて文句が出ること自体打者冥利に尽きるだろう。今後も肩口に乗せた魔法の杖でとめどなくヒットを生み出すイチローを俺はわくわくしながら見続けたい。

'04/09/25


 

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