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「ベーブ・ルースの建てた家」と呼ばれるYANKEE STADIUM


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日本最強打者の挑戦]

数々の伝説に彩られた“帝国”の首都、ヤンキー・スタジアムにまた新たな伝説が刻まれようとしている。日本プロ野球界最強の長距離砲、松井秀喜のメジャーリーグ挑戦だ。その松井秀喜ははたしてメジャーリーグで成功出来るのかどうか、僕なりに考察してみたいと思う。

まず松井がメジャーに通用するかどうかと言われれば、それは問題なくすると思う。ただその程度が、例えば打率.270本15だったとしたら、通用したとは言えても成功したとは誰も思わないだろう。松井の日本での実績を考慮すれば、打率.300本30あたりが皆の期待する成績の一つの基準となってくる。そしてそのうち最も関心が寄せられているのは、やはり日本の本塁打王がメジャーで何本ホームランを打てるのかという点だろう。

では日本とメジャーではどのくらい本塁打を打てる確率が違ってくるのかを、過去メジャーに移籍した日本人選手を例にあげて見てみよう。まずイチロー。日本ではおよそ20本前後の本塁打を打っていたイチローだが、メジャー2年間での本塁打数は'01年、'02年共に8本であった。イチローの場合マリナーズではトップバッターの役割に徹していたためあまり本塁打に重点を置いてはいなかっただろうが、それにしても10本塁打を割り込むというのはもし同じ打撃を日本で行ったとしてもちょっと考えにくい。次に新庄。メジャーに移籍する前年には自己最高の28本塁打を放っていたが、メジャー2年間の本塁打数は'01年10本、'02年9本。イチロー同様に激減している。以上のデータから考えると日本で40本前後の本塁打を放っていた松井はメジャーではせいぜい20本塁打ではないかとの推測が成り立つ。

なぜメジャーでは日本より本塁打が減るのかについては、もちろん投手のレベルの高さもあるのだが、ボール自体の質の違いも大きい。メジャーのボールは日本のそれよりも重く、数字にして5%くらいは飛距離が落ちると言われている。それに加えメジャーにはセリーグの神宮球場や広島球場ほど狭い球場が存在しないため、やはり松井においても本塁打の減少は避けられないだろう。

しかし松井にとって有利な条件もいくつかある。一つは松井の入団した球団がNY・ヤンキースであること。そしてもうひとつは松井が左打者であることだ。日本では考えられないことだが、メジャーには左右非対称の球場が多い。そしてその多くは左打者に有利な設計となっており、松井の本拠地となるヤンキー・スタジアムもホームからライトスタンドまでの距離がレフトスタンドまでのそれよりかなり短い設計になっている。またヤンキー・スタジアム自体メジャーの球場の中ではかなり狭い部類に入るので、左の長距離砲の松井にとっては相当有利に働くだろう。

その他にも日米のストライクゾーンの違い、松井の打撃スタイルの適応性など考慮しなければならない点は多々あるが、結局松井はどのくらい打てるのかと言われれば、僕は「打率.290本25」と予想している。先に述べた成功の基準に微妙に到達出来てはいないが、僕はこれでも十分素晴らしい成績だと思うし、願わくば僕の予想を裏切る活躍を期待している。ピンストライプのユニフォームに身を包み颯爽とベースを回る松井の姿が待ち遠しい。

'03/02/02


 

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