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バリー・ボンズ


[野球を見て死ね]

松井秀喜とバリー・ボンズのホームラン競争は最高だった。松井の今シーズンの成績:打率.334本塁打50打点107。全てにおいて文句のつけようのない成績。そして成績以上に、プロ野球の長い歴史の中で数多くの強打者はいたが、松井が日本人史上最強のパワーヒッターであることは疑う余地も無い。その松井が、メジャーリーグの最強打者ボンズの前に手も足も出ない。緊張する松井に、ボンズは微笑みながらリラックスを促した。まるで大人と子供ほどの格の差がそこには存在した。松井のボンズを見つめる瞳は、幼い野球少年が憧れのプロ野球選手を見つめるそれだった。そのときその対決は、既に勝負と呼べるものではなくなっていたけれども、日本の野球ファンにメジャーリーグの力と魅力を存分に見せつけてくれた。なぜ松井が日本での地位を捨ててまでメジャーリーグを目指すのか、その答えは、彼の表情がどんな言葉よりも分かり易く物語っていた。このホームラン競争の結果は敢えて記さない。それは全く重要な事ではないし、むしろこの対決の素晴らしさをぼやけさせてしまう気がするから。I LOVE BASEBALL。限りある人生の中で、野球に出会えてよかったと感じさせてくれる瞬間だった。


'02/11/15

 

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