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日本記録の55本塁打を放ったタフィ・ローズ


[日米のホームラン王]

2001年はホームラン記録のラッシュイヤーとなった。
まずメジャーリーグの話題から。サンフランシスコジャイアンツのバリー・ボンズが年間70本塁打の大リーグ記録を塗り替えた。70本塁といえば1998年セントルイスカージナルスのマーク・マグワイアがうち立てた記録で、当時、この記録は永久に破られることは無いだろうと言われた。僕もそう思った。なにしろそれまでの大リーグ記録がロジャー・マリスの61本塁(1961年)であり、それを一気に7本も更新してしまったのだから。しかしなんとそれを、ボンズはわずか3年で更新してしまったのだ。これにはマグワイアもがっかりだろう。

ボンズといえばクールな選手というイメージが強い。ボンズは外野手なのだが、自分のところに外野フライが飛んで来た時、捕球が容易な打球に対しては胸の前で十字を切るのだ。これがとってもかっこいい。ただ相手からしてみたら嫌味以外のなにものでもないので、他球団のファンにはすごく嫌われている。彼のスイングは非常にコンパクトだ。自分のホームランゾーンに来たボールは確実にコンタクトする。ホームランバッターは大振りというイメージは彼には無い。それは近鉄のローズに対しても言えることなのだが。ボンズはジャイアンツのユニフォームがめちゃめちゃ似合うと思うのは僕だけだろうか。今年あと2試合を残して既に72本塁打。もう1本くらい打つかもしれない。期待しよう。

次は日本の野球。話題はもちろん近鉄バッファローズのタフィ・ローズだ。ローズの2001年のホームラン数は結局55本、王さんの記録に並んだものの、超えることは出来なかった。 129試合目時点で54本の本塁打を放っていたのだが、残りの11試合でわずか1本塁打に終わったのが痛かった。ちなみに129試合で54本塁打というペースは、大リーグの 162試合に換算すると約70本塁打を放つペースとなり、それまでのローズのペースはボンズやマグワイアに勝るとも劣らないものだっと言える。そして140試合で55本塁打というペースは162試合に換算すると63本塁打であり、3年前までの大リーグ記録とほぼ同レベルのものである。大リーグで永きに渡って君臨し続けた61本塁打という記録が破られた昨今、日本でもそろそろ本塁打記録を更新する選手が出てきて欲しい気がする。その選手がローズという外国人選手であること、大いに結構である。外国人選手に記録を更新されて困るのなら最初から外国人選手雇用枠など用意すべきではない。鎖国でもしていればいい。そうでないならスポーツマンとして、間違っても記録更新を阻むことのみを目的とした行為など取るべきではない。記録をさらわれるのが悔しいならば、それを更に抜き返してみせればいいじゃないか。近鉄の優勝が決まった後の消化試合、ローズにとっては悔やんでも悔やみきれないものとなった。ダイエー戦では全試合、執拗なほどに四球攻めを食らった。これがまだダイエーが優勝争いをしていたり、チーム内に本塁打王争いをしている選手がいるのならば話はわかるが、理由は37年前の王貞治のためであった。そして試合後、某ダイエーバッテリーコーチは語った。

「王、長嶋は日本野球のシンボルなんです。王さんの記録を外国人選手には抜いてほしくない。」

まさかこんな意見がプロ野球の現場から臆面もなく噴き出すとは。正直がっかりさせられた。王さんを本当に素晴らしい選手だと思っているのなら、それだけは言うべきではなかっただろう。この四球攻めに関してダイエーの王監督は全く関与していないと語っている。それだけは信じたい。

王貞治が55本塁打を放った時代と、今は球場の広さも全く違う。今の球場ならば、おそらく王は最低10本は本塁打が減るだろう。そんな更なる厳しい条件の中で、正々堂々記録を抜かんとする者に対し、過去の記録を神象化し、打者にチャンスを与えないという最も卑劣な行為で記録更新を妨げようとする人物が現場にいること、これはプロ野球界にとって百害あって一利なしだ。こんな人物は現場に置いておくべきではない。来年同じ悲劇が繰り返されないとも限らないのだ。というわけで、該当すると思う人は速攻プロ野球界を去って下さい。


'01/10/1
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