02−
NOVEL02

世界作成大考

制作日時:1999/2/中旬※後、追補など有り

ここに書くことは自分的小説の書き方であり、このNOVEL・EDUCATIONの指針となることであり、
また、自分個人として信念のように思っていることだったりします。

よって、こから先に書かれることが自分のいる領域(一般市場のあるゲームや小説)の”平均意見”ではないことに注意して下さい。
これは自分の意見であり、
それを読んだ方がどう思おうと勝手です。
そして、読んだ方の意見に対して自分がどう思うかもまた勝手です。
意見として世に流れたモノは、受け取った側に消化され、作った側はもはや制御できない。
この、一般的にクリエイターが持つべき理念でここから先もずっと綴るので、以後、宜しく、と。


■世界の作り方
前回、
世界観などの作り方について少々書いてみたりしました。
で、
あのあとすぐに、
一つの質問を受けました。
「小説に必要な情報としての世界観は解ってみたりしました。
 ですが、
 それを作ってみたりする基礎となったりする思考法はあったりしちゃったりませんか?
 教えて下さいってか教えろサル」

つまりは世界がどういうものかという、
「世界観のイメージを規定しちゃったりする思考法」
ではなく、
世界自体はどのようにしてできていたりするのかという、
「世界の進化を規定してみたりする思考法」
ですね。
前回でいうなれば、
ジョバンニが先生から見せてもらったりした歴史書が世界観、
先生の言う時代の流れが世界そのものの流れ。
では、その後者の流れとはどういうものなのかを教えて欲しかったりしちゃったりする、
とのことで。

■■
とはいえ世界観作製のの思考法かー。
何分これは雑学的なものであり小説にとっては必ずしも全て必要とは限らないです。
こういう世界進化が完全に必要ではない小説もあるのだとご注意。
たとえば、
「現実の現代を舞台にした小説」
を書くときに世界がどうやって現代のようになったかなどを知る必要はほとんど無いです。
(世界情勢をネタに含んだ話を書くならば別です)
「夢の世界を舞台にした小説」
でも同様だし、
「完全にいい加減だと割り切ったことをウリにしたい小説」
ならば言うもがな。
現存において市場に出回っている小説の大半はこれらだということを忘れてはならないかと。


■■■
だから、
この技術は、
小説を書くために”全てが”絶対必要な定義ではないと、
ここでは改めてそう規定します。

ここから先を”全て読むべき人”は以下のテクストの質をもった物を作る人である。
1:「架空の世界」
2:「大人の存在感」
3:「日常の存在力」
4:「戦闘(戦争)の説得性」

ということ。
そうでない人は、
「自分に必要な一部を読みとって身につけること」

これらについては、
前回を読み、
自分が書きたい話というものが解っている人ならば理解できるだろうと思います。
それでいいですやね。
なお、
雑学的要素も含むので、
「ヒマ」
ならば全部テキトーに読んでもいいかも
しれない。
情報の取捨選択に関しては読んだ側で行って欲しい。
やってはいけないことは読んだ瞬間に、
「そうかなるほど」
と言ってしまうことです。

そうではなく、
自分に必要なものを自分で考えて吸収して下さい。

■■■■
まず初めに言うべきコトは、
「ここから先にまとめて並べ上げることは大学レベルの知識」
ということです。
高校までの歴史や経済論というのは、
「その流れと存在」
は教えるが、
「なぜそれが発生して進化したか」
などは教えてくれないのがほとんどです。
(逆に言えば高校までの基礎があるから大学レベルの応用が解るのかもしれない)
んじゃ、
はりきって行ってみましょー。


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簡単に言えば、世界は以下の要素で構成されています。

・土地
・動物
・文明

む、
終わってしまいました。
うーむ。
でもホント言えばこれだけだったりします。
これだけでは流石にきついからどういうものかイメージ的に伝えてみます。

・土地−気候
      −地形
      −生産物
      −周囲の土地との関係
・動物−人間種族
      −現実動物の分布
      −絶滅動物の分布
      −架空動物の分布
      −作者想像動物の分布
・文明−歴史
      −宗教
      −言語体系
      −政治経済
      −情報力
      −機械進化
      −非機械進化

※文化は文明の支えによって生まれているという考えです。

解りやすいイメージで言うとこのようなものかなー。
前回も似たようなことを言った気がしてたり。
これらの要素が固まって世界は存在する(他にもあるかも知れないけどそれはそっちで考えて下さい)わけですが、
世界は要素で出来ている。
そのことをまず考えよう、と。
「ああ、
そうだね」
と形だけの理解ではなく、
「これはどういうことだろう?」
と疑問に思いましょう。

それが考えると言うこと。

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自分達の日常生活でも似たようなことが言えます。
自分の家を世界と考えてみましょう」。
もし二階建ての家ならばそれは地形的に高く、
夏などは(二階の)風通しが良く過ごしやすいが、
冬は(二階が)一番寒くなる(気候)
しかし低所(一階)で市(食事)が開かれるために高所生活のみで生きることは不可能。
よって高所に住む人間は実質的に低所の政治観念(家のやり方)に支配される。
ついでに言えば高所(二階)に存在するという証拠(明かりなど)は非常に解りやすく、
外敵から発見されやすくまた空間的に逃げにくい。
よって定期的な生産物(君が学生ならばテスト結果か)を納めねばならず、
そのプレッシャーゆえに高所にいる人間は城塞(ドアを常に締めるとか)などを用意したり、
なるべく自分の存在を低所に知らせぬようにする。
なお、
低所と理解し合えない理由は自己の発生年代の格差というよりは、
宗教的(ゲームとか)の不理解の積み重ねによるものが大きい。
これは現実の世界においてもたやすくあてはまります。
なぜクルド人は漂白の民なのか。
朝鮮はああも好戦的なのか。
アメリカはどうして常に勢いを求めるのか。
それは宗教だけでもなく、
土地だけでもなく、
様々な要因がからまってそうなったのですな。


■■■■■■■
世界は初めから存在したのではなく、
必要に応じた結果が集合して生まれたのだ。


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ではまず頭を働かせて考えましょう。
いきなり無から世界観は生まれない。
何かモノを作りたかったならば、
キャラを動かしたかったならば、
それらにあった世界というモノが存在します。

そういうイメージは出来るだけ具体化しておくと便利です。
例えばキャラから世界を作りたいときは、
「服装」
「髪型」
「肌の色」

これがあれば文明レベルはほとんど露出できると思います。

 
ちょっと寄り道

 「服装などから作られる世界観」
 (これはかなり重要なので、
  この思考法を憶えておくこと)






  :伸縮素材と思われるもの(ストッキングなど)が使われていた場合、
   化学レベルはかなり高く、
   化学工場が存在する(十九世紀ロンドンとか、
   そういうレベル)
  :スカートの短さによって女性の地位というのが解る。
   短いほどに女性が歩き回り、
   時代に進出していったということ。
  :服を重ね着する場合、
   断熱材が発展していないと言うことである=金属材も発展していない。
  :量産品と思われるシャツなどを着ている場合は、
   蒸気機関などエンジン文明が背後に存在する。
   (自動紡績機の発生ゆえ)
  :髪型がハッキリしているならば、
  「上下水道」
  「化学薬品」
  「中流階級が平民の大部分」
  「浄水場の発達」
  「市政が現代レベルまで発展」
   ということになる。
   これは洗髪できるほどに上下水道が国中に完備され、
   水が安いと言うことだからだ。
  :肌の色によって、
  「風土」
  「気候」
   が限定される。
   南国に白人は(フォーリナー以外)ありえない。
  :靴の素材は現代においてほぼ化学加工品である。
   それ以前だと革のガポガポしたのになる。
   落差は激しい。
   ちなみに今の靴の基本が出来たのは戦後60年代後期である。
  :無論、
   ファッションがあるということはそれ以前に貨幣流通や文字の存在、
   市場が認められているということでもある。(ここらは貨幣経済論を参照)
  :ちなみにメガネなんてのは紀元前にできてたので時代を特定できない。
   染料や刺繍、
   金メッキなども同じ。


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では気分転換をした後で、
世界を作る指針を考えましょう。
前述した「土地・動物・文明」から作られる指針。
しかしハテ。
これらを個別に考えたら絶対にうまくいかない。
ならばこれらに何を混ぜて考えるかと言えば、
「社会学」
です。
よし、
妖怪とおにーさんが出てくる教育番組を見ましょう。
「はたらくおじさん(まだやってんでしょーか?)」
あのテの番組を見て考えることはやはり、
「社会はおにーさんや妖怪ばかりで動いてるわけではない」
という非常にシニカルな現実で、
社会教育番組の主人公はどーみてもおにーさんや妖怪ではなく、
彼らに解説される会社やおじさんやおばさんや自分のオヤジやオフクロその多大勢なのですな実際。
つまり社会を動かしているのは、
「自分達が意識せねば見ることのできない人達」
です。
では、
どのよーに彼らと指針を関連づけるか。
答は簡単。
「メシの出所はどこかね?」



メシの発生。
そうなると歴史から考えないといけません
「人が住居と服、
 鉄器と言葉(文字ではないよ)を手にした」
とまあ、
このくらいまで歴史を掘り下げましょう。
そこであとは「経済発生理論」を当てはめて処理して行くだけ。

 経済発生基本要素
 (1から順に流れる)

1 :「家畜、
   それに準ずる機械や術がいると生産性が上がる」
   (牛一頭で十人分は働く)
2 :「生産性が上がると備蓄が増える」
3 :「備蓄を蓄え続けるために(食料は腐るから蓄積不能=鉱石業などならばこの行はパス)貨幣が生まれる」
4 :「貨幣(もしくは備蓄かも)がたまると貧富の差が生まれる」
5 :「貧富の差から農奴制が生まれ働くモノと護る(雇う)モノの関係が生まれる」
6 :「備蓄の交換によって市場が生まれる」
7 :「市場を活発化するために言語・文字・運搬技術が発達する」
8 :「技術が革新されて農奴も金持ち化していく」
9 :「農奴が土地を買い始めて、土地問題で戦争が発生する」
10:「戦争で身分格差が壊れだし、農奴が解放を望む」
11:「今まであり得なかった新技術の発展により市場が活発化=平民の台頭」
 ※ちなみに人間の歴史ってコレだけで、
   ついでに言うとコレの繰り返しですなホント。

この基本理論に何を加え、
「何がどのように基本から違う方向に発展するのか考える」
ことが必要。
7の、
「運搬技術の発展」
で言えば古代エジプトには車輪の概念がなかった(ピラミッド建造の絵とかを見ると、
石の下には丸太がコロかってるだけでカートに載せてない)
だが、
車輪の概念よりも先に、
「PK的超能力」
が皆にあったならばとんでもないことになります。
歯車は生まれないかも知れない=時計とかギアとか生まれない=ピストンとリム重視の世界観ウヒョー。
これは1の、
「生産性を上げる方法」
にもいえること
で、
牛がいるのと機械が生まれるのとでは大違い。
この変化を予測して歴史の流れを頭の中で作っていきます。
「その際、
 絶対に結論から先に作ること」
自分のやりたいネタのために世界を作るのだから、
ネタが発生するにはどういう流れが必要だったのかを考えねばなりません。



足りない技術は別の国の文化交流や戦争で得られます。
(その場合は征服国家のモノは「ムダでも」採用されることに注目。
時代が常にいいものを選ぶとは限らない)
ここでもう一度、
要素を見てみましょー。
・土地−気候
      −地形
      −生産物
      −周囲の土地との関係
・動物−人間種族
      −現実動物の分布
      −絶滅動物の分布
      −架空動物の分布
      −作者想像動物の分布
・文明−歴史
      −宗教
      −言語体系
      −政治経済
      −情報力
      −機械進化
      −非機械進化
先ほどの経済発生理論に合わせて考えると、
気候とか立地とか、
どういうことを言ってるのか解るでしょうか?
「人は住みやすいところ、
 経済の発達するところに集まる」

いずれは自分達のほとんどが家庭を持って低所に住むように。


■■
上記の理論を何度も何度も繰り返して歴史を作り、
(慣れてきたら途中までフローを作るのが便利。
 スチパン世界基礎フローとか)
キャラ達が存在して良い年代まで引き上げることが肝要。
まず自分のやりたいことを考え、
そのためには世界がどのように進化したのかを考えます。
それができあがったとき、
キャラの立脚する地盤は揺るぎ無いものになる、筈。
そういう意味で言うと、
いきなりガッチリした世界観を作れる人間ってーのはいません。
世界のイメージやキャラがいてこそ作れるのだと思っています。

■■■
どんなもんでしょう?
何やら小難しい話ではありますが、
「リアルな世界を作ろうとしたらリアルな世界を知らねばならない」
のですよね。
「神話がー、
 王がー」
とか言って足踏みしてる時点でアウト。

「世界は民衆や権力者が動かすのではなく、
世界自体を含める全構成物が相互作用して、
その盤上で最も動く生物が繁栄するために進化する」

こういうことです。
視点は広く持とう。
実際、
自分もこのあたりを極めたことはないです。
がっちりと作り上げたつもりでも、
しばらくしてみると穴がある。
次こそはと思ってその反省を活かして次を作り、今度は足りないものがあると気づく。
そうやって完璧を求めて作り続けていく内に自分のレベルは上がり、揺るぎ無いものができていくのだと思います。




■■■■
 自分の位置を確認し、
 さらには上空から見てみよう。
そうして見ればもはや自分だけではなく
他者だけでもなく
全てのものが見えるだろう。


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