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 飛行戦艦「大和」出撃!3 ホワイトハウス直撃

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 2001年9月15日、経済界、リュウブックスより発売→あとがきを読む

飛行戦艦「大和」出撃3〜ホワイトハウス直撃
『飛行戦艦大和3 ホワイトハウス直撃』

 轟々たる大編隊が大和の頭上を通過する。
 いずれも群青の翼に星のマークをつけたアメリカ海軍機。
 太平洋の連合艦隊を攻撃するためにハルゼーが放った攻撃隊である。戦闘機、急降下爆撃機、雷爆撃機、あわせて二〇〇を越えるだろうが、ただの一機も大和にはむかって来ない。
「なぜ、こちらに来ないのでしょう?」
 戦艦大和、飛行担当士官布施勇少尉は素直に疑問を口にした。
「空母を主力視しているか、あるいは大和を嘗めているか、多分両方だろう」
 大和、操舵室の艦長席に身を置いた艦長、片桐泰山大佐が口惜しそうに肘掛けを握り締めた。
 一九四二年、六月のミッドウェイ海戦で大被害を受けた戦艦大和は軍令二部の決定により研究中であった「飛行戦艦」としての大改造を受ける。その年の暮れには改造未完のままながら大和は出撃、制限された飛行能力ながら新機能を最大限に発揮、真珠湾に飛びこんで全域を主砲発射圏内に収め、攻撃に難渋していた戦局を一気に挽回した。
 さらにはサンフランシスコの攻撃に参加、追撃に現われた新型エセックス級航空母艦を二隻葬ると言う斯斯とした大戦果を挙げていた。
 だが「アメリカの工業中心は東海岸である」との、片桐艦長の言葉通り西海岸にいかにダメージを与えようとも、アメリカの戦力は一かけらも堪えた様子はなかった。
 そして、いよいよ、太平洋と大西洋を結ぶ大動脈、パナマ運河を断ち切る大作戦が発動されたのである。
 連合艦隊はパナマ沖に戦艦群、機動部隊を集結させ、ハワイで鹵獲した戦艦を海岸に乗りあげ、なおかつその砲で上陸援護を行う大胆な行動に出た。旧式とはいえ戦艦砲は地上の陣地を軽々と吹き飛ばした。
 だが、パナマの拠点は運河と、船を運河上に引き上げる閘門(ルビ ロック)、つまり二重開閉式の水門である。これらを死守するためアメリカ軍は内陸に篭って持久戦をとる構えだったが、大和がこの野望を打ち砕いた。
 太平洋側からパナマ運河中枢のガトゥーン湖に飛翔。
 一瞬にしてペドロ・ミゲル閘門(ルビ ロック)、ミラ・フロレス閘門(ルビ ロック)の太平洋側二閘門を挟撃する態勢を整えてしまった。アメリカ軍守備隊が期待を抱いていた太平洋艦隊はすぐそこまで来ているのに、渡って来れないか、これたとしてもかなりの時間がかかる。少なくとも守備隊が全滅するほどの。
 ペドロ・ミゲル、ミラ・フロレスの両ロックに白旗が翻った。
 河岸にはいまだ散発的な抵抗を続けるアメリカ軍兵士があったが、日本軍はパナマ運河の完全占領を目指して、巡洋艦に護衛された輸送船を遡上させ始めた。
 この頃、同時にハルゼーの機動部隊がパナマ運河大西洋岸コロン沖に到着、連合艦隊へ向けての攻撃隊を放ったのである。

 朝まだき。
 ホワイトハウスの朝は爽やかであった。広い庭には緑の芝生に春の花が咲き乱れ、木々は新緑で覆われ、朝露が輝いていた。
 特に早朝、叩き起こされて薄暗いマップルームから上がって来た目にはいっそう鮮やかであった。
 ホワイトハウス二階、大統領とその家族のためのファミリーダイニングルーム。
「そう、卵は半熟にして。一個で良い。年を取ると食が細るものでね。ベーコンはあまりクリスピーにしないでくれよ。トーストはブルー、あと少しサラダも欲しいな」
 アメリカ合衆国大統領フランクリン・D・ルーズベルトはホワイトハウスの素晴らしい庭を見下ろすダイニングでコックに命じると自分は車椅子を操って白いクロスのかかったテーブルに向かった。
「いい朝だね、エリー」
「そうですわね、この静けさが世界中に広がると素晴らしいのですけれどね」
 話し掛けられた言葉に大統領夫人(ルビ ファーストレディ)、エレノア・ルーズベルトは深く肯いた。大統領夫人としての立場からエレノアもまた、前線志気鼓舞のためオーストラリアへ出向き、帰って来たばかりだった。長い間、夫と暮らす間にエレノアはルーズベルトの積極性をみずからも身に着けていた。オーストラリアで、エレノアはさらに危険な戦場であるニューギニアへ出向くと主張したがさすがに前線指揮官に押しとどめられていた。もっとも、大統領夫人までもが最前線に向かおうとした、という事実だけで苦吟するアメリカ軍将兵にとって大きな励みとなっていた。
 テーブルにはすでにフロリダ産のオレンジジュースが置かれ、薄めのコーヒーが湯気を立てている。ニューギニアでは得られようもない食事だ。
 やがてトーストとグリーンサラダ。エッグスタンドに立てられた茹で卵が運ばれて来た。
 ルーズベルトは卵の上端をテーブルナイフで切り取り、小振りのスプーンで中身をすくい上げ口に運ぼうとした瞬間、ファミリーダイニングのドアをノックする音がした。
「入りたまえ」
 答えると大統領付きのポーターが一通の封筒を差出した。
「リーヒー提督から、大統領に緊急のご伝言です」
 大統領はあからさまに不愉快な表情を浮かべた。
「なにかね? リーヒーは私の朝食の時間を割くほどに重大な事態に直面しているのかね?」
 ルーズベルト大統領の職務は多岐に渡る。国内の政情の安定、雇用の問題解決、つまりニューディール政策の総仕上、議会との関係、加えて太平洋、ヨーロッパでの二つの戦線に関する事態収拾も含まれる。大統領は多くの問題に対処するために多数のスタッフを擁し、大統領の元にまでやってくる決裁は最小限に抑えられている。にもかかわらず、世界は複雑にすぎ、ルーズベルトが直面しなければならない問題は膨大であった。解決するために深夜遅くまで働き、食事も多くの場合、スタッフとの会合を兼ねていた。
 ウィリアム・リーヒー提督は大統領直属の軍事顧問であり、陸海軍統合幕僚会議の議長である。大統領は全軍の最高司令官であるとされていたが、実際に指揮をとるわけではない、つまり、リーヒーは合衆国の全軍を代表する大統領の分身なのである。
 もっとも、大統領がいかにポーターにあてつけて見ても、ただの伝書使に過ぎない。ただ、正直に応えただけである。
「私には何とも。ただ、提督は電文を受取って、メモの入った封筒を私に渡されただけです」
「リーヒーは今どこにいる?」
「キャビネットでお待ちです」
「キャビネットで? マップルームではないのか」
 通常、閣僚たちとの会合に使用される部屋である。軍事顧問たるリーヒーがなんらかの相談を持ち掛けて来るとしたら、それは大統領のための司令部であるマップルームのはずです。
「現在、マップルームの扉には鍵が掛けられ、誰も出入りできないようになっています」
 ますます妙だ。最初、ルーズベルトは食事を終えてから封を切ろうと考えていた。たまにはゆっくり取ろうとしていた食事時間を削れば済むことだ。だが、情況が奇妙にすぎた。
 ルーズベルトが封を切るとただ一枚の走り書きが舞い落ちて来た。
 書かれていた文字に目を落して、ルーズベルトの顔色が変わった。
『バルボア及び、ミラ・フロレスのペドロ・ミゲルの両ロックが日本軍に降伏した』
「なんたる、何たる事だ」
 大統領は一声叫び、ポーターに命じた。
「すぐに私をキャビネットへ。急げ」
 ホワイトハウスは大統領の公邸でもあり、行政の中心であった。寝起きするスタッフもいたが大抵は外から通勤して来る。早朝でもあり、出勤しているものがあればポーターが大統領の車椅子を押してホワイトハウスの廊下を走ると言うかつてない光景を目にしただろう。

 攻撃隊が通過しようとする時、大和に弾かれたような衝撃が走った。
「被弾。コロン側の砲台のごとし」
 パナマ運河と一口で括られるが、おおむね二つのパートに分けられる。太平洋側ミラ・フロレス・ロックからペドロ・ミゲル・ロックに続くそれこそ川のような細長い部分。ここまでで運河の半分である。
 残りの半分が広大な面積を持つガトゥーン湖である。ガトゥーン湖と大西洋を隔てるガトゥーン・ロックが日本軍の次の攻略ポイントであり、アメリカ軍にとっても何としても守り切らなければならない場所であった。
「沿岸には気骨のある敵兵が残っておる。こやつらを懲らしめる必要があろう」
 片桐艦長は立ち上がった。

■あとがき
 はい。終わりました。「飛行戦艦「大和」出撃」全巻のお終いです。
 あははは。やるだけやっちゃいました。
 「ホワイトハウス直撃」ったって、まさかここまでやるとは思わなかったでしょう?
 これで青山の素性がばれてしまいます。もはやバレバレかもしれませんが。「と」を「と」おりこしてます。すでに「ろ」です。「ろくでなし」の「ろ」です。
 書き始めて自分でも「バカな話書いているなぁ」と感じていましたが、書きあがってここまでバカバカしくできるとは思いませんでした。
 で「と」な兵器というと、やはり本場はドイツ。実用化したものは少ないんですが、やっちゃったのの筆頭がコメート。いや、こういう話考えていてもやはりそれなりの整合性は欲しいんで、つまりB29が出て来て対艦攻撃能力持っちゃうと、もう艦載機ではどうしようもないんですね。
 烈風とか、震電乗っければどうにかできるかもしれないけれど、やはりいくらなんでも無理がある。
 で、秋風です。ミヤビな名前ですね。
 とてもあの野蛮なロケット戦闘機とは思えません。ですが、もちろん理由があって付けています。現実に「秋草」なんて滑空練習機がありましたし、本文に説明が入ってますのでこれ以上は割愛しますけれど……チャンと理屈は通ってます。
 ところで、このコメート。海面上で一〇〇〇キロ突破の記録、高度一万メートルまで三分ちょいという目茶苦茶な性能の割に実戦での戦果はほとんど上がってません。敵機との速度差がありすぎた上に、連合軍が対策を講じたからです。連合軍は基地のそばを避けて通るんだそうです。実に単純にして明快。効果的な回避方法ですね。
 ちなみに、秋水とコメートではどうも秋水の方が性能が良かったそうです。地上交信用の無線機と、装甲板、補助電力用の発電機を外したんだそうです。これだけ降ろせばそりゃ軽くなるでしょう。実に日本的な発想です。資材がなったからだ、という正論は受け付けません。世の中ってのは本当のことをいうから揉めごとが起きるのです。
 飛行機だけじゃなく、船にも命名法があって、空母の場合「〜鶴」とか「〜鳳」ってなっています(赤城、加賀は巡洋戦艦からの改造なので例外。あ、あと信濃も)。「〜龍」は中型の空母の名前です。水上機母艦はいろいろ有りますが、まあ、登場するのが特殊なモンですし、水上機母艦だし頭に「小」を付けました。これまた理屈が通ってます。深い意味は有りません。普通語(ルビ プートンファ)読みはしないでください。でも、これもう誰かやっているかもしれないですね。
 そうそう、真面目な話、日本は水上機はよかったようです。水上偵察機は然り、驚いた事に水上戦闘機を実用化し、なおかつ組織的に運用したのは日本だけだそうです。つまり、上陸作戦やってもすぐに飛行場が作れるわけじゃなく、設備が整うまでの間、繋ぎに滑走路無しで簡単に運用できる水上戦闘機を使ったわけです。
 グラマンもワイルドキャットにフロートを付けた機体を試作していますが、実用化していません。ま、アメリカ軍だったら水上機基地を造る期間にトラクターとブルドーザーで飛行場作っちゃうぜ、との正論はこれまた受け付けません。世の中ってのは……(以下、略)。
 おれ、もういいよ、って気もするんですが、別社でいささかくら〜い話やってたりすると、大和みたいなお気楽な話も気分転換に成るし、悪かないやって気もします。
 えーと(ちょっとネタばれ)、現実に太平洋戦争、日本が勝つためにはアメリカの東海岸押さえないとだめです。実際の旧海軍もせいぜいが伊四〇〇使う程度しか考えてませんでしたけれど、本気で抑えるにはこれぐらい「ろ」でないと持たないでしょう。
 というわけで、もう一つ、東海岸抑える手を考えて、これ、多分、別社で「ろ」な話になります。リュウブックスさんも次の話がありそうですし「ろ」だか「と」なお話やるかもしれません。ネタ切れだというのは事実で、でも、まあそこをなんとかしないとご飯食べていけません。
 ネタが浮んだらお会いしましょう。

 ま、そうでなくてもホームページの日記はぼちぼちやってます。こっちにはもう少し頻々と近況が載ってます。お暇でしたらのぞいて下さい。

 ネタが、浮ぶか浮ばないかは、それこそ天神様だか、弁天様に従うしかありませんです。
 ではでは。

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