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梅原氏からの手紙12月10日

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 青山 智樹 様
1999・12・10

 前略

 まず、訂正事項からです。
 「カムナビ」は現在、上巻が3万5000部、下巻が2万9000部。
 合計6万4000部でした。
 これは、私が累計計算をまちがえていたのです。もっとも、5000部ほどの違いにすぎませんが。

 Q&Aをやりましょう。
・「(大倉貴之氏のような)ああいった***連中の言葉に耳を傾けるのはやめましょう。時間の無駄ではないですか?」

A「私の本音は、SF評論家と議論することではないのです。
 本音は、作家予備軍の青少年たちへの教育です! こちらが本当の目的なのです! この点を説明しましょう。

 かっては私も、SFマガジンに載っているSF評論家たちの評価基準を信じてしまったことがあるのです。今、思い出しても痛恨の極みです。
 ですから、今度こそは私が「プロフェッショナル作家の在り方」について、青少年たちに教えてやらねばならないのです。先輩になってしまった者の義務感を重く重く感じているところです。

 そのためにはSF評論家の言い分と、サイファイ作家の言い分とを両論併記することです。
 この両方を、作家予備軍の青少年たちに読ませたいのです。どう判断するかは青少年たちに任せます。
 もちろん賢明な青少年なら、サイファイ作家の言い分を選ぶでしょう。

 ゆえに今後も、SF関係者たちが梅原に対して納得のいかない主張をした時は、私は必ず反論します!
 次世代の青少年たちのためです!

 改めて、大倉貴之氏に言いましょう。
 「カムナビ」の現物を手に取って、よく観察してください。
 どこに「SF」と銘打ってあるのですか? ありませんよ!
 角川書店が紙帯に付けたコピーは「ハイパー・ホラー小説」でした。
 断じて「SF」ではありません!
 ですから、「カムナビ」が、SFとしてはアンフェアーな方向性を取ったからと言って、何ら非難される理由はないのです。
 繰り返しますが、「カムナビ」は「SF」ではないのです!
 「ハイパー・ホラー小説」であり、「サイファイ」です!
 したがって「SF」という基準は当てはまらないのです!

 私は作家予備軍の青少年たちに、こう言います。
 「SFとしてはアンフェアーな方向性を取っても構わないのだ! いや、むしろ、その方向性を取ることで大ヒットを狙える時は、積極的に狙うべきだ! SFという定義基準は、とっくの昔に死に絶えたのだから、そんなものを気にかける必要はない!」

 次いで、私は作家予備軍の青少年たちに、こうも言います。
 「SF評論家を信用するな! あいつらはオウム真理教だ! ライフ・スペースだ! 法の華だ! 君たちを貧乏地獄に引きずり込む悪魔だ!
 私は一度、被害に遭っているから、よく知っているのだ! だから、私はSF評論家たちのイデア主義的な発言を、断じて許すわけにはいかないのだ! あいつらこそ青少年を惑わす亡国の逆賊だ!」

 そしてSF評論家たちに、こう宣言しておきます。
 「SF評論家たちは梅原克文に文句があるのなら、名誉毀損で訴訟を起こしたら、どうだ? こっちは、いつでも受けて立つぞ!」

 実際、SF評論家たちというのは、本当に思い上がった奴らだ、と私は思います。
 彼らは「プロ作家たちを一方的に批評し、批判できる権利が自分たちにはある」と勝手に思いこんでいたようです。
 実際にはSF評論家であれ、誰であれ、世間の常識と噛み合わない発言を繰り返していたら、今度は自分たちが批判の対象にされるのです。

 また、以下の予言も追加しておきます。
 今後、大倉氏に対して評論文の依頼が増えることはありますまい。
 これは、私が裏から各出版社に手を回しているわけではありませんよ。
 すでに「SF」という定義基準が信用されていないからです。当然、「SF評論家」を看板とする大倉氏も信用されないのです。
 出版業界全体の経営方針から見れば、こういう「金儲けに結びつかないSFイデア主義者」こそがリストラの対象なのです。そのことを大倉氏は思い知ることになるでしょう。
 いつまでも旧SF関係者の貧乏暮らしが続くだけの、永遠に終わりのない「活字SF氷河期」。
 これこそが「SFイデア主義者」に与えられた自業自得なのです。

 もう一度、書きますが、両論併記こそが最もやらなければならない課題だったのです!
 次世代の青少年たちのためです!
 作家予備軍の青少年たちは、大倉氏の言い分と、梅原の言い分の両方を熟読してください!

・「梅原と大倉貴之氏との論争は、SFマガジン誌上では実現しないでしょう」

A「最初から、実現するなんて期待していません。一応、挑発してみただけです。
 どうせ、いくら挑発してやっても、梅原から逃げ回っているような奴らばかりですからね」

・「SF関係者たちはインターネット上で、『カムナビ』に否定的な態度を取っている」

A「気にしてません。
 なぜなら、サイファイ作家とは、『大衆読者に奉仕する職業』だからです。
 ゆえにサイファイ作家は、旧SF関係者たちと仲良くするつもりは、まったくないのです。
 何しろ旧SF関係者たちときたら、『大衆読者に奉仕する』という発想そのものがありません。

 本来ならば『大衆娯楽サイファイ派』と『SFイデア主義者』とは、とっくの昔に大戦争をやってしまい、離婚していなければならなかったのです。どうせ『水と油』であり、混じり合わない者同士ですからね。
 つまり、今のような敵対関係こそが本来あるべき状態だったのです!
 そして、この敵対関係は永久に解消しないでしょう。解消する時があるとすれば、それは『SFイデア主義者』が全滅した時です。そのぐらい『水と油』なのです」

 お話代わって。
 朝日新聞の夕刊(だったと思います)では、大原まり子氏が「カムナビ」を好意的に評価していました。
 日本経済新聞では、小谷真理氏が「カムナビ」を好意的に評価していました。
 しかし、彼女たちは、以下の問題点に明言していません。
1.SFもどき娯楽作品もデファクトスタンダード(事実上の業界標準)だと認識して、位置づけを考え直すこと。
2.超メタ言語的な小説を「現代SF」と称してしまい、その結果、大衆はSF嫌いになった。この責任を、どう取るのか? 何らかの形で、けじめをつけよ。

 この二点に答えないまま、私の作品を好意的に評価されても、納得がいきません。
 たぶん彼女たちは、私におべっかを使うことで、抜本的な解決を何もやらずに、表面だけ穏便に済ませようとしているのでしょう。ですから、こちらの方こそ私は一切、相手にしません。
 私から好意的な対応を引き出したいのなら、けじめをつけることです。

 ちなみに、「男と女は反応が違うな」と今、私は思っているところです(笑)。やはり、男の方が戦闘的ですね。

 また、お話代わって。
 山村正夫先生を偲ぶ会について、お知らせをいただきました。
 ですが、私が出席するべきか否かは、ちょっと迷っています。何しろ私は、ご本人とは一回ご挨拶しただけで、山村先生の周辺の方々とのおつき合いもまったくない人間です。せっかく偲ぶ会に出席しても、私一人だけ話し相手もいない状態になりそうですね。
 すでに、ご遺族の方々には手紙を送り、現金書留で香典を包ませていただきました。これで私なりに弔意をお伝えした、と思っています。
 というわけで、偲ぶ会への出席については、まだ迷っているところです。

 私のスケジュールですが、アスキー社から出るアンソロジーに短編を一つ書きました。2000年2月頃に出版だそうです。
 その次は、集英社「小説すばる」を中心に短編ばかり書いて、短編集の刊行を目指します。

 では、また。
            草々

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