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梅原氏からの手紙9月25日

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 青山 智樹 様
1999・9・25

 前略
 現状を報告しましょう。
 「カムナビ」は完成しました。9月中旬で、完全にケリがつきました。10月初めぐらいの発売でしょう。
 繰り返しになりますが、この「カムナビ」は「SF」ではありません。「サイファイ」です。
 そして、これは諸星大二郎氏の「暗黒神話」にオマージュ(敬意)を捧げた作品でもあります。同時に「和風XーFILES」も追求しました。
後は、評価と発行部数が出るのを待つしかないです。

 久しぶりに東京に出ます。
 FM東京のラジオ番組に出ることになったからです。9月29日か30日に収録です。この時、東京に二泊ぐらいするでしょう。
 もちろん生放送ではないので、実際の放送は後日でしょう。
 詳しいことがわかったら、電話で連絡を入れます。その時、青山氏が暇なら、都内で会えるかもしれません。

 また、その後も角川書店は、私のインタビュー記事などが、あちこちのマスコミ・メディアに載るよう画策するらしいので、10月も東京に行くことになるでしょう。

【仕事の話、一行削除】

 以下、項目別に書きましょう。

・「瀬名氏の主張は建設的か?」
 私は、「瀬名氏の手紙は、前半の主張と後半の主張が正反対になっている」と気づきました。よって、これは根拠のない屁理屈だと判断します。
 瀬名氏の言いたいことは、旧SF関係者への同情論だけであり、建設的な内容はゼロでした。 
 たとえば「超メタ言語派の作家たちと、大衆娯楽作家たちとは、どうすれば離婚できるのか?」について、瀬名氏は何ら意見を述べていません。逆にそのポイントを誤魔化そうとしており、その結果、彼は支離滅裂な手紙を書く羽目になった、と分析します。

・「宇宙作家クラブの会員で、神林長平、大原まり子を支持する人もいる」
 ならば、私が宇宙作家クラブに入会することは、絶対にありえませんね。
 ただ、この団体は「近未来シミュレーション宇宙開発物語」と、「スペース・オペラ」の二つの形式に限る団体なのでしょう? ならば、外部の人間として、その形式分類主義を高く評価いたします。
 それだけです。

 一方、私自身は角川書店に便乗して、今後は「ホラー作家」を名乗ります。
 以前にも書きましたが、たぶん「サイファイ作家」を名乗るのは、私ではなく、私よりも二〇才ぐらい若い世代だろう、とおぼろげに構想しています。

 まあ、細かいことを言えば、まだまだ書くことはあります。しかし、私は細かい違いには目をつぶる主義です。
 すでに言いたいことは言い尽くしたので、これ以上は本格的な論争の必要性を感じません。

・「SFは死語」
 私も、その方向性で行動しています。
 「ダ・ビンチ」という書評中心の月刊誌がありますね。
 実は7月頃、「ダ・ビンチ」編集部から、私のところへ電話があったのです。
 「がんばれ、日本SF、というタイトルで特集記事を組むので、ご協力願いたい」と。
 それに、こう返答しました。
 「ぼくは、『SFは終わった』という立場なので一切、協力できません」

 99年9月現在、店頭にある「ダ・ビンチ」最新号の特集記事は、事前に聞いたとおり「がんばれ、日本SF」でした。
それを立ち読みしたら、予想通りでした。相変わらず、巽孝之とかが「超メタ言語的な小説」を「現代SF」などと称していたのです。
 あんな大衆読者を無視した記事に協力しなくて良かった、とつくづく思いました。

【業界話、三行削除】

・「EPISODE-1」
 私の視点ですが、少し変わりました。
 再開された「STAR WARS」ですが、これは映画だけが商品なのではなく、関連グッズの売り上げも合わせての商売なのでしょう。それはそれでいいのかな、と今の私は思うようになりました。

・「梅原克文の言いたい放題コーナーを立ち上げた件」
 オールOK。

 さて、前回の手紙には、こう書きました。
【富山市内の映画館は、「EPISODE-1」の上映を二週間で打ち切るようです。】
 これは新聞社の誤記か、誤報だったようです。9月まで上映は続きました。
 しかし、新聞広告を見ると、「EPISODE-1」の広告の面積よりも、「ハムナプトラ」や、「プリンス・オブ・エジプト」の面積の方が大きい状態でした。
 これが8月終わりになると、新聞は「マトリックス」の広告ばかりになりました。

 ちなみに「マトリックス」はおもしろかったです。
 「これこそ、SCI-FI!」ってなもんです。

 しかし、「マトリックス」は、やはり映像作家の頭から出てきた産物でしょう。
 たとえば、この映画のために、香港からカンフー映画の専門家を招いたそうです。役者をロープで吊り上げる、「ワイヤー・ワーク」による「壁走り」の演出なども、香港の専門家に全面協力してもらったそうです。香港映画への思い入れがあればこそ生まれた作品です。
 また、日本のアニメ作品の演出スタイルを、CG&実写映像で表現しようとした点なども、目の付け所のおもしろさを感じます。
 残念ながら、今の私にとって参考になりそうなアイデアはゼロでした。そこがちょっと期待はずれでした。
 でも、以上の意見は、どちらかというと玄人の視点でしょうね。素人のお客は皆「マトリックス」を観て、満足していたようです。
 私も作品全体の印象としては、満足度が高かったです。

 では、近いうちに会えるものなら、会いましょう。

草々


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