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日本銀行本店、貨幣博物館見学記

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(キャラクターの造形にはデフォルメがくわえられている場合があります)
 宇宙作家クラブで見学会に行ってきた。
 行った先はチンケな銀行である。どんなに預けたって金利はゼロ。いかに金利が安いったって、こんな酷いところはない。
 客も選ぶ。な〜んか申請して、通った特定の業者だけ取引できる。窓口も九時五時。ATMも無し。今時サラ金にだってある。

 つまり……日本銀行である。

貨幣博物館。
ご覧のように警備員がいる。

 友人で勤めているのがいる。
 美雪ちゃんとしておく。青山とはNIFTYの料理フォーラム繋がりである。
 で、年齢は秘するが趣味が「料理」「お菓子作り」「お茶」である。毎年、バレンタインデーには職場にチョコケーキ(ホール)を配るのを忘れない。
 美人の妹が二人おり、
「紹介して!」
「ダメよぉん」

 はらわたが煮えくりかえる。
 で、「遊びにき・て・ね」とか言われていたので職場に押しかけてやった。上記、選りすぐりのメンバーである。
 美雪ちゃんは別にいい。
 日銀さんこそいい迷惑である。貨幣博物館、本店、それぞれズカズカと土足で上がり込んだ。
 貨幣博物館は予約なしで入れる。もちろん、相応のセキュリティもあり、博物館だけあって館内撮影禁止なのだが、とりあえず外観を乗せておく。
 内容は至ってまじめ、だが、いきなり慶弔大判(重さ? 165グラムかなぁ……値段? 知らない。でも、都内でマンション買えるよん。るん)なんて物が置いてある。本物である。
 千両箱もあり、これは本当に千両はいるが、重量22キロ。担いで逃げるのは無理だ。
 まじめな話を書いていてもアレなので、面白そうな物と言えば、江戸期、幕府が貧乏になるとだんだん小判がシケてくるとか、海外のインフレ紙幣。第二次大戦後の紙幣で10の29乗(叙かな? いまだったら国家予算だよ)の金額が印刷された札とか、いずれも現物が見られる。
日銀本店。
旧、金座にある。

 ミモノの一つが、新一万円札
 もっとも、実用にするわけではないし、偽物でもないので展示用に「本物」と堂々と刷ってある。
 ホログラムが入り、マイクロ文字使い放題、蛍光インクに、角度が変わると色が変わって見える特殊印刷。基本的には偽造防止だそうだ。
 あと、お札の原価。現行の一万円札は二十円。新札はもっと上がるだろう。
 一円玉はやっぱり高いけれど、お札は日本銀行券だが、硬貨は造幣局なので玉の話はよく分からないとか。

にやけている
貧乏人の性
 場所を本店に移し、店内見学。
 レクチャーを受ける部屋で、一億円(模擬札)の束を担がせて貰う。一束十キロ。二つ担ぐと動けなくなった。
「だれか担いでみますか?」
「みっともないからやだ」(←ぷっ、指さして嗤う)
「見学者」の札を首からぶら下げ、うろうろする。
 明治期の建物で文化財指定されているので下手に釘も打てなければ、スプリンクラーも設置できない。
「いやあ、あたしたちここで働いているんですけれどぉ、空調を後から付けた物で冷房は効かないし、暖房は弱い。文化財の中で仕事しているんですけれどねぇ」
 明治期の建物に加えて、建て増し建て増しを繰り返しているので、温泉旅館並みの複雑な構造となっている。
 歴代総裁の肖像画が掛けられた廊下がある。一角にはやはり立派な部屋があって、一時期総裁室に使われていたそうだ。

 で、新館。窓口もある。
 一般人は口座を作れないが、金融機関、証券会社などは作れる。一定の額を日銀においといて、必要に応じて入れたり取りに行ったりする。窓口には普通の銀行と同じく週刊誌などが置いてある。
「塩川正十郎様、国庫金、百億万円ご用意できましたのでお受け取りくださーい」
「ん?」
 週刊朝日から顔を上げる。
 なんてシーンを想像するが、もちろんそんな事はない。ちゃんと金庫(ドアの厚さだけで一メートルもある代物だそうである。もちろん、見せてもらえなかった)から台車で出てくるらしい。

 で、もちろん「どうすればブン取れるか?」。
「ウチ狙う? いやー、やめた方が無難ですよぉ。警察はもちろん、行内の警備、委託業者のセキュリティ入ってますからねー。穴掘って金庫破る? あれねー、大変なんですよ。うちの支店を移動する事になって金庫壊さなきゃならなくなっちゃった。壊すとなると発破かけても何ヶ月もかかるんですから」

 ビデオを見てレクチャーを受ける。
質問「ここ、古いでしょう? 出ませんか?」
回答(普通の広報担当)「いやぁ、聞いた事ないですねぇ」←おい、何を聞きに来ている?

 場所を二次会のパブに移動。
 さっそく美雪ちゃんに同じ質問をぶつける。
「出ないわけないじゃないですぅ。ウルウル。一二〇年も経っている建物ですよぉ。何人か住み着いているんじゃないの。新館建てるので地下堀したときも何体か出ているっていうしぃ。あたし、そのころ、小学生だったからみてないけれどぉ。でもさー、松の廊下行ったでしょう?」
「?」
「総裁の絵の飾ってあるところ。あの突き当たり、毎晩出るんですよ

「色々あって地下の深いところ、何階なのかなぁ? まあ、人間が住めないような場所があるんです。あ、もちろん入れるんです。メンテナンスとかあるから。だけれど、銀行でしょおぅ? お金の出入りの勘定はしているけれど、人間の管理はやっていないんです」

「じゃ、入ったまま出てこない人っているんですか?」
「職員やきちんとした見学者はカードで出入り管理してますけどぉ、そっと入ったりした人はわかんないですよ。プールにでも転がってるんじゃないかしら」
「プール?」
「うん。お札も古びると処分しゃなきゃならないんです。廃品回収に出すわけにはいかないし、昔は、燃やしてたり、溶かしてたりしてたんです。その時のプールが残ってるんです。でも、どっちにしろ臭いの(鼻をつまむ)。いまはシュレッダーで断裁して……ほとんどが埋め立てに回ってるんじゃないかしらね」

「二千円札、なんで普及しなかったんでしょうね」
「タイミング悪いんですの。2という数字は実はそう不便なわけじゃなくてぇ、二十円札があった時代もあるしぃ、海外でも二十ドル札とか、ユーロもあるわけだしぃ。それとお札というのは印刷して流通させるまで準備期間が必要なんでぇ、あたし良く知らないんだけれどぉ、四〜五年かかるらしんだけどぉ、んですが、二千円札は二年で作らなきゃならなかった。自販機とか対応できないし構造的にも(自粛)で。いや、もちろん現在では解消してますし、印刷も続いているみたいよぉ」

「個人的に嫌いな通貨はありますか?」
「通貨はないけど、五百ウォン硬貨はイヤ。だってねぇ、せっかく五百円玉新造しても自販機の精度を上げると今度は旧硬貨が使えない。普通の所ならいいんだけれど、気が立っている人や、お酒が入っている人は当たるんですね。自動販売機に。それだったら変造硬貨を受け入れた方が得だと。……まあ、偽硬貨自体は減ってるみたいだけどぉ」

「日銀って、給与、現物支給なんですって? 札束でドン、と」
「そうなんですよ(さめざめ)。一昨年までは給与、現物支給だったの。しかも、二千円札を普及させるために、毎月100枚も2千円札が入ってて、もー、泣きそう(泣きながら)。自販機も使えないし、ATMも受け付けてくれない。コンビニで毎回2千円札で払っても、毎月100枚は使い切れなくてね〜」

「それが、じゃあ、なぜ、いまになって振り込みに?」
「実際に数える手間とか、あと個人個人が帰りに気を付けなきゃならないじゃないですか。ボーナス帰りに強盗なんか会いたくないですぅ。それに、電話、水道料金とか、カードで使ったお金の決済のために、口座にお金を入れなきゃならないから、毎月の給料日には、近くにある銀行のATMや窓口はうちの職員で長打の列。ついに、銀行から「なんとかしてくれ」って、文句が入っちゃった」

「どうしたんです?」
「土下座よ、土下座。そりゃ謝りましたよ。もー、泣きながら平謝りですよ。迷惑掛けてるのは事実ですから。『そうですかぁ。それは申し訳ありません。では、全社員に××銀行さんにご迷惑を掛けないように、預金を引き上げて利用しないように通達いたしますので、ご勘弁ください』ってね。そうしたらこっちが謝っているのに、向こうがごめんなさいって、分かってくれちゃいました。えへっ、アタシの人徳かな? 昨年から給与振り込みにしちゃったから、最近はご迷惑かけてないかと」

 こういう社員がいる限り、日本銀行はまだ大丈夫な気がする。

(2003/09/17 水曜 記)

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