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第７号（12/6） 蛯乃木さんへのファンレター
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こんにちは。あかまです。
発行遅れてて申し訳ないです。
きょうは、ぴょんかつ掲示板での予告どおり、蛯乃木さんへのファンレターを書
いてみたいと思います。
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◆蛯乃木さんのこと◆
保坂作品のなかの登場人物は、みんなほんとに魅力的で親しみやすいひとが
多いのだけれど、そのなかでもダントツに魅力的だと思うのはやっぱり蛯乃木
さんです。
『季節の記憶』『もうひとつの季節』に登場してくるのだけど、登場といってももっ
ぱら電話での会話と回想のなかでの登場ということになっていて、結局本人が
小説の中でリアルタイムに動き回るということはありません。
でもインパクトはとてもあり、それは脇役だからということもあるんだろうけど、小
説上での大好きな蛯乃木さんへファンレターを書いてみることにしました。
◆蛯乃木さんへのファンレター◆
前略
はじめまして。
中野さんの話のなかにでてくる蛯乃木さんがとても魅力的だったので、突然で
失礼ですが手紙書かせていただきました。私、あかまといいます。
白浜温泉での仕事のほうは順調でしょうか。
『大自然の連鎖のような会社』いいですねえ。
はなしを聞くだけだと楽しそうな会社で、みんな順調なようにみえますが、実際
蛯乃木さんのような会社を経営していく立場だと現実問題としていろんな面倒な
こともあるかと思います。
でもそんな苦労を感じさせないところが凄いと思います。
『従業員一人一人が大自然』のようなものであり、そんな従業員『人間を丸ごと
受け入れるしかないんじゃ』という蛯乃木さんの懐の大きさというかなんというか
そんなところに感心させられます。
働くということ、仕事、生きていくということは本来そのようなものだと思うのです
が、現実に会社を経営したり従業員を管理したりする立場になってしまうと、どう
しても相手を尊重するまえに自分の思い通りに相手が動いてくれないと困る、と
いうふうに感じてしまい、管理を強くする方向にいきがちですよね。
会社がなければ人も雇えないのだけれど、人がいきいき働いていけなければ会
社も発展しない。
会社の存続よりも大事なのは゜ひと゜だと思います。
ひとが精神的にも疎外されないで楽しく働けて、自分のやりたいことを会社を
使って利用して実現する。
そういうことがうまくやれればいいんですが。
高平君が奥さんもらって子供二人くらいつくれる会社めざして頑張って下さい。
蛯乃木さんの言葉のなかで好きなのが、
『宇宙（うっちゅう）全体のエッネルギーの大きさを考えてごらんよぉ。
人間のやってることは、ちっさすぎてバランスが取れてないと思わないか』
というのです。
ほんとにそうですよね。
でもそんな宇宙のエネルギーの大きさとは比べ物にならないくらいのささいなこ
とに一喜一憂してああでもないこうでもないと真剣に考えたり議論できる人間も
またある意味じゃ凄いですよねえ。
最近、宇宙の法則みたいなことに興味があるんですが、蛯乃木さんはどうでしょ
う。
物理的な宇宙の運動法則だけでなく、人間の精神に影響している宇宙の法則
のようなこと。
そういうのはやっぱりありますよねえ。
人間ももとはといえばあたりまえだけど宇宙から生まれてきたんだから。
『世界のみんなを幸福にする宗教』を考えている蛯乃木さんのことだから、きっと
面白い話が聞けると思います。
いつか機会があったら中野さんを通して聞かせてください。
でも僕は蛯乃木さんの出てくる場面は何度読んでも面白くて幸せな気分になれ
るので、ある意味ではもうすでに蛯乃木教（？）の信者になってしまっているか
もしれません。
最近はニュースでもいろんな宗教が取り上げられて問題になってますけど、カネ
をふんだくるのは問題外として、一応高邁な根本思想みたいなものがあったと
してもそれを目指す為に集団で俗世間から離れてしまうというのは問題がでて
くる可能性が高くなりますよね。
もちろん俗世間からある程度離れないと価値観を変えるようなことも難しいだろ
うし、現実を過剰に賛美したいとは思わないですけど。
その点、蛯乃木さんの場合は事業という現実社会のなかで『みんなを幸福に
する』というんだからいいですよね。
みんなを幸福にするために事業を利用する。
これが逆になっちゃって、事業を成功させる為にみんなの幸福を利用しちゃうと
どっかの詐欺宗教団体になっちゃうし、そうじゃなくても大なり小なり企業という
のはみんなの幸福という名目を利用して金儲けしようというのが多いですから
ねえ。
なんかだらだらと思いつくまま書いてしまいましたけど、最後にぼくも見習って
蛯乃木流（？）の自由律俳句つくってみたのでちょっときいてみてください。
―ぴょん吉の踏み台にされる
これはうちで飼っているぴょんちゃんという猫が高い所好きなんですけど、そこ
に登るためにぼくの背中をまるで物のようにステップとして飛び乗ってくるんで
す。
おかげでぼくの背中は大仁田状態です。
―クリーニング屋のねえちゃん逆ギレしてた
これはこのあいだクリーニング屋にワイシャツとスーツ持ってったんですけど、ぼ
くのまえにひとり客がいて、そのお客さんがなんか和服とかごちゃごちゃめんど
くさそうなもの並べてたんです。
それで受付のおねえちゃんが計算まちがったりレジ打ち間違えたりして何度も
やり直して時間かかって待たされてたんです。
でもぼくは別に急いでなかったし、まあいいかと思っておとなしく待ってたんで
すけど、そのお客さんがめんどくさそうだからこっちの人から済ませちゃえば、っ
て言ってくれて、ああすいませんって先に受け付けしてもらったんです。
なんか受付のおねえちゃん完全にひとりでキレちゃっててスーツのカバーとハン
ガーから荒っぽくスーツはぎとって、「これは持ってってください！」ってカバーと
ハンガー押し付けられて、ぼくはぜんぜん悪くないのになんで怒られなきゃない
んだろうみたいな感じで帰ってきました。
あー、でもこれってぼくも前のお客さんも別にキレてたわけじゃなかったから、
逆ギレじゃないですね。
ながながと説明しちゃったけど。まあいいや。
―「点取り占い」は自由律俳句？
「点取り占い」ってありますよねえ。
駄菓子屋にあるの。
占いの紙を開けると、たとえば『おしりのラッパがなりました ７点』
なんて書いてあって昭和初期みたいな絵で、ブー、なんておならしてる人の姿
が描かれてたり。
これはまだいいけど、もっとなんか意味不明の言葉とその言葉にたいする点数
なのかなんなのかしらないけど１０点満点（？）で評価（？）されてて、この言葉
は誰が考えたんだろう？っていうあれです。
あれってもしかしたら自由律俳句なのかなあと思ったりして。
どうでしょうか？
でもまだ蛯乃木さんのレベルには達してないですね。
もっと修行積みたいとおもいます。
きょうは忙しいところぼくのくだらない手紙につきあっていただいてほんとにあり
がとうございました。
またいつの日か中野さんの話のなかに蛯乃木さんが登場してくるの楽しみに
期待してます。
それではまた。
あっ、それから高平君にもよろしくお伝えください。高平君ファンでもあります
ので。
早々
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◆編集後記◆
いや〜、テレビでＫ−1観ました。
ピーター・アーツｖｓジェロム・レ・バンナの試合は鳥肌がたっちゃいました。
それではまた次号まで。
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保坂和志拡散マガジン
ぴょん吉くんはかつおぶし中毒 略して「ぴょんかつ」 第７号
発行人 あかま としふみ akama@din.or.jp
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