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第6号(11/22)
   干し首を見て思うこと
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干し首って知ってます?
今日はその干し首についての拡散。
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◆干し首とは◆

エクアドルのヒバロ族の風習で、殺した敵が祟らないようにするために死体の
首を切って頭蓋骨を抜き、なかに詰め物をして乾燥させたものです。

人間の顔が10センチぐらいの人形みたく縮んじゃっています。
骨を抜いた顔だけのミイラ、みたいなもんでしょうか。

これは説明を聞くより実際に見てもらったほうがわかりやすい。
上野の国立科学博物館にひっそりと3つあります。

日本に干し首は8つあるらしく、広島の伴天連(バテレン)という喫茶店に2つ
あるそうなのですが、あとの3つはどこにあるか知りません。

僕が見たのは国立科学博物館のものですが、干し首には妙に惹きつけられる
ものがあります。

干し首の存在を知ったのは、記憶が定かじゃないのだけれど、原田宗典の
エッセイで紹介されてたのだと思います。
原田宗典という作家の「スメル男」とか「しょうがない人」とか小説大好きだっ
たんだけど、なんかエッセイ大量にだすようになってほとんど読まなくなっちゃ
いました。
ところで原田さんも田中小実昌の『ポロポロ』を面白いみたいなこと書いていて
保坂和志と原田宗典という好きな作家の二人が推薦(?)してるんだから、こ
れは読まなくちゃ、ということで僕も『ポロポロ』読んだのでした。

閑話休題

それで干し首に惹きつけられたり、見ていて思うこととか、ちょっと自分のなか
で整理しながら書いてみたいと思います。

◆過去の時間との出会い◆

旅行とかして、人間の手のほとんどかかっていない自然の地形とかを見る。
そんな時、特に人工物のない海岸線などを見たとき思うことがある。
何百年前、何千年前のひとも僕がいま見ているのと同じ景色を見たのだろう
かと。
でも自然も時とともに変化し、一見人間の手がかかっていない自然のように
見えても、なんらかの影響を受けていたり、人間が影響を与えていなくとも
自然それ自体で互いに影響を与え合い進化というか変わっていっているので
あるから、そのときいま僕が見た景色とまったく同じ景色が何百年前、何千年
前にもあったということはありえないだろう。
でもある程度は似通った景色であったろうし、陸地の位置がずれていっていた
としても、地球上の緯度・経度でみれば、そこの位置は何年前でもそこの位置
である。
そこの位置の景色を何千年も前の人も見たかどうかは分からないし、もし見た
としたらどんなことを考えながら見ていたか、どんな精神状況だったかなんて
もっとわからないし、たとえわかったとしてもあまり意味のあることではないか
もしれない。
でもそんなことを思ってみることは楽しいし、なんかわくわくしてくる。

あと僕は博物館とか見るのが好きなんだけれど、なにが楽しいかというのには
もちろんいろいろあるけれど、ひとつにはいま僕が見ているその展示物が、昔
実際に人々が使っていたものだということがある。
いまは生きた生活のなかで使われる役目はおわり、展示物として見ているが
過去には、もう僕が会うことも出来ないひとびとの生活の中で生きていて、そん
なものがどういう理由からかいま僕の目の前にある。
そんな不思議さ。
だからレプリカの展示物にはあまり興味が湧かないんですねえ。

干し首を見るときもそれと同じようなことを感じる。
特に干し首の場合は生きていた人間だったのだ。
いまはからからの干物みたいになっているけど、その人は昔実際に生きてい
て、おなじような人たちと社会をつくって生活していたわけだ。

今の日常を生きている僕と、過去にエクアドルで日常を生きていた、今は干し
首になってしまった人とが、こんなに近い距離で出会っている不思議さ。
しかも今は干し首、むかしは僕とおなじ人間だった人を博物館も僕も展示物
として物として扱っている。
なんかこんなにじろじろ好奇心だけで見てしまっていいのだろうかというちょっ
と後ろめたさみたいなものも自分に感じながら。
干し首になってしまった人だって、未来に自分が日本でガラスケースに展示
されて何人ものひとに見られるなんて思ってもいなかったはずだろうし。

◆縮小、拡大、サイズの問題◆

もうひとつ干し首で重要なのは、なんといってもあの大きさだと思う。

科学博物館では干し首のちかくにミイラも展示されてるのだけど、もちろん僕
はミイラも好きだけれど、やはり干し首のインパクトには負ける。
大英博物館のミイラも見たけれど、干し首のほうが凄い。

どういえばいいんだろう。
「こんなに小さくなっちゃってー」
としかいいようがないような。
コンパクトがインパクト。

死体とかミイラは、いちおう物として扱うけれど、僕たちの意識としてはまだ
どこかに魂とか霊みたいなものが残っているのじゃないかという思いがあると
思う。
でも干し首のようにあれだけ小さくされちゃうと・・・
まさに置物のようであって、こんなに小さくなるのかという。
あの大きさはイメージとして物であり、でもかつては生きた人間だったのだと
思いながらもういちど見てもやはり物として見えるほうが強くて。
そのへんのずれに、不謹慎かもしれないけれどおもわず笑っちゃいそうな気分
になってしまうのです。

しばらく干し首にも会ってないので、近いうちまた会いに行きたいと思う今日
このごろです。

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◆編集後記◆

▲干し首は上野の国立科学博物館、みどり館4Fに展示してあると思うので
まだ見てない人、機会があったらぜひどうぞ。

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それではまた。
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