★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 保坂和志拡散マガジン  ∧ ∧   ★ぴょん吉くんはかつおぶし中毒★ =〆ェ^=          略して『ぴょんかつ』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 第57号 天使になりたい(070418)  ----------------------------------------------------------------  これに静かな気持ちで耳を傾けていますと、平常のリズムと違うもの が感じ取れます。それをできるだけ素早く、正確に感じ取り、言語化 することが大切ですし、その何かが体験過程と呼ばれるものでしょう。 自分のこれに気づけるようになったら、同じ方法を使って目の前にいる 相手の体験過程に気づけるようにしていくことも可能です。それは相手 の話し言葉をそのまま口の中で相手が話したと同じスピードで唱えて みることです。これは一見馬鹿げていますけれど、実際にやってみると 相手の体験過程によりスムーズに近づけるようです。しかもこのやり方 は、対象が自分から相手という他人に変わっただけで、その他は全く 同じです。相手の人がいましがた喋った言葉を無批判に口の中で唱えて みることは、不思議なことにあたかも相手の人になったような気がして くるものです。相手の体験過程によりスムーズに近づけるときは、 こちら側に知的なものが働いてない時なのです。                 『来談者中心カウンセリング私論』 ---------------------------------------------------------------- 尊敬するK先生が、同時通訳の練習方法を参考に編み出した というその方法。 アナウンサーがニュースを読み上げるのをテープに録音して、 それをききながら、そのままその言葉を自分の口のなかで繰り返して みる。 自分の価値判断を入れずに相手の話をきけるようになるための練習方法。 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ ある年末の夜の電車。 師走の慌ただしさが漂う車内。 僕はドアに寄りかかり、 そんな風景をぼんやりと見つめる。 こちらで、あちらで、 いくつかの会話が耳にはいってくる。 そんなとき、ふとK先生の言葉を思い出し、 試してみたくなってくる。 はじめは目の前のカップル。 そのカップルが電車を下りると、 横で話していた男3人組。 その次はちょっと先からきこえてきた女性2人組らしい会話……。 なかなか上手くはできなかったけれど、 僕は出来るだけ口の中で、 会話を反芻しようとしていた。 そんな作業に没頭していて、 ふと、我に返ったとき…、 明らかにさっきの車内の風景とは違っているのを感じた。 会話を口の中で追っていた人達だけではなくて、 車両にいるすべての人をなにか、 あたたかいような、なつかしいような……。 愛せているような気がした。 そのとき、ハッと気づいた。 そうだ、天使だ。 僕はずっと天使になりたかったんだ。 『ベルリン・天使の詩』の天使になりたかったんだ。 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 映画『ベルリン・天使の詩』 ヴィム・ヴェンダース監督 1987年公開 日本公開は翌年の88年で、たしか有楽シネマかどっかで ロングラン上映が話題に。 なのだけれど、 僕はまだ日本で上映されていなかった1987年に、 パリの映画館でたまたま観たのがいまだに自慢だったりもする。 フランス語の勉強になるかと、何度か映画館に行ってみたけれど、 全然チンプンカンプンだった。 アメリカ映画でフランス語の字幕出たってなにがなんだかわから ないし、 かといってフランス映画観たら、登場人物がほとんどカップルの 二人だけで、その二人が延々部屋の中でフランス語で会話している。 そんなの観たってねえ…。 『ベルリン・天使の詩』も言葉はわからずに、 きっちり内容を把握できたのは、 後で日本語字幕版を観てからだけど。(でも一瞬、日本語でてくる) でも雰囲気がすごく感じられて、 なんか引き込まれて…。 それまでヴィム・ヴェンダースなんて名前も知らなかったけど、 たまたま暮らしていたアパートの近くの小さな映画館で、 日替わりのヴェンダース特集をやっていて。 『パリ、テキサス』『さすらい』『緋文字』『まわり道』 などを観たわけです。 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 『ベルリン・天使の詩』の天使って、結局人間に憧れて、 人間になっちゃうんだけど……。 僕はあえて天使になっちゃう? でも天使、 『ベルリン・天使の詩』の天使って、どこか寂しさが 漂っているんだよね。 白黒の世界。 僕のイメージのなかでは音のない世界。 静かな暗い宇宙空間のなかを横たわりながら 漂っているイメージ。 「寂しさ」っていうのは、たぶん一生のテーマとして ついてまわるんだろうなあ……。 ■執筆後記■ 電車のなかで、ひとの会話を自分の口のなかで繰り返す。 という体験を書いたけど、 これ、よいこのみなさんは真似しないでね。 というのも、大自然のなかで大木と共振するようなのならいいけど、 電車という不特定多数のなかで、ある意味自分を無にして、 すべて入ってくるものを取りこむ状態にするわけで、 そんなときに、何が入ってくるかはわからず、 身の安全は保証できないわけで。 というのをある人から聞いて、なるほどなあと思ったのでした。 僕は結構電車で、見ず知らずの人の呼吸を感じ呼吸を合わせる 練習をしたりしてたのだけれど、これもやりようによっては 結構危険な部分があったりして。 ってなことで、それではまた〜〜〜 ○○○お知らせ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★出来るだけ等幅フォントでお読みください。 ☆ご意見・ご感想・投稿などはこちらへ   akama@din.or.jp ★「ぴょんかつ」は『まぐまぐ』( http://www.mag2.com/ ) を利用して発行しています。 ★「ぴょんかつ」の登録・解除は 『ぴょんちゃん倶楽部』(http://www.din.or.jp/~akama/)か 『まぐまぐ』(マガジンID:0000019217) で各自お願いします。 ★「ぴょんかつ」は転載自由です。勝手に拡散おねがいします。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 保坂和志拡散マガジン   ぴょん吉くんはかつおぶし中毒 略して「ぴょんかつ」                       第57号 発行人  あかま としふみ akama@din.or.jp               http://www.din.or.jp/~akama/ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆