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保坂和志拡散マガジン
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第3号(10/31)
     「思い込み」についてうだうだと
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こんにちは。「ぴょんかつ」発行人のあかまです。
今日は「<私>という演算」(新書館、保坂和志著)のなかの「そうみえた『秋刀
魚の味』」という短編を読んで、「思い込み」について拡散してみました。
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◆「そうみえた『秋刀魚の味』」◆

「<私>という演算」という小説集には、9編の小説が収められているのだけれ
ど、どれも小説というよりはエッセイなのかなという気が僕にはし、筆者自身
はあとがきで、そういうカテゴリーはどうでもいいと思っていると書いている。
そんなことをある批評家は田中小実昌化現象というように表現してておもし
ろいと思ったけれど、書かれていることは思考の生の形に近いと筆者がいっ
ているように、こんなにも小説のアイデアみたいなものを出血大サービス的に
だしちゃって大丈夫なのかなと、よけいな心配もちょっとしながら楽しく読みま
した。

「そうみえた『秋刀魚の味』」という短編は、小津安二郎の映画『秋刀魚の味』
について書いた小説です。
主人公(?)の「ぼく」は映画『秋刀魚の味』が好きで、いつも環境ビデオの
ように観ているのだけれど、「ぼく」にはその『秋刀魚の味』が【死んだ者たち
が生きていた時間を反復している映像のように感じられる】ようになる。
その理由は、出演者の岩下志麻のある場面での不自然な動作からであり、
映画の内容とは関係なく【ぼく自身のもっと単純な視覚からの印象や思い込
みとして岩下志麻はあそこで怪談映画の幽霊のように見えるようになってし
まった】とある。

でも、私あかまが「そうみえる―」から「思い込み」を連想した理由はたぶん
このことからではなく、むしろこの小説のなかで触れられている映画の撮影
技術上の話からかもしれない。
それは、映画で二人が交互に会話しているシーンがあれば、観客は二人
同時に映っている映像がないとしても二人が同じ場所で会話しているものと
勝手に思うようになっている、でも映画はフィルムを組み合わせたもので出来
上がっているので、実際の撮影では一人ずつが話した映像を撮っていき、
あとから組み合わせてあたかも二人が会話しているように見せることが可能
だということである。

◆「思い込み」についての興味◆

「思い込み」についての興味というとちょっとおおげさのような気もするけれ
ど、僕自身「思い込み」ということに以前からなんらかの気持ちの引っかかり
のようなものがあったのは確かである。

ひとつには、そんな間違いを自分がするはずがないと思っていても、実際に
間違いを起こし、でもその時点ではまだ自分の間違いを完全には認めていな
いのだけれど、現実に自分が間違いを起こしたという事実としての証拠が
存在し目の前に突きつけられてしまうと、自分の間違いを認めなくてはなら
ないわけで。
そんな時は、いかに自分が間違いを犯さないでやっていると安易に思い込ん
でいたかということが、とっても反省させられたりする。

もうひとつあげると、最近なるべく自分のなかの「思い込み」のようなものを
排除して、できるだけ人の意見も素直に聞けるようにと心がけてはいるのだ
けれど、思うに人は存在しているだけで何らかの影響をうけ、というのはその
人の望むと望まないとにかかわらずその人なりの経験を積み重ねているの
だから、どうしても「思い込み」を完全には排除できないのではないのかとも
思ったりする。
ひとは誰でもある種の「思い込み」をもっているのではないかという疑問、
というかなんというか。

◆「思い込み」の根拠◆

なんで人は思い込んだりするんだろうという問いは、もっともな気もするけれ
どあまり意味がないような気もしないでもない。

とりあえずどういうことから「思い込み」をしているのか、思いつくまま箇条
書きにしてみたいと思います。

(1) いままでの経験上。ある一定のパターン、流れとして認識している
    から。

(2) 自分の実感として、ほんとにそれはそうだなあと思ったから。

(3) 信用できる人から聞いたはなしだから。またはマスメディアなどの
    ある程度権威ある機関から得た情報だから。

(4) そのことについて、自分で以前に論理的に解釈して納得したから。

いちおう四つ挙げてみたけれど、結構かさなりあってる部分もあるように
思えるし。
それよりなにより文が抽象的すぎやしませんか?
もっと具体例をあげて書けばわかりやすいんだろうけど、そこまでの想像
力がありません。無責任なようだけれど自分でもあやふやでまとまらない
まま書いているので。

◆「思い込み」の意味◆

どうも「思い込み」のとらえかたを自分でもきっちり把握していないような
気もするので。自分の思っている例えばあのことは「思い込み」なのか
そうじゃないのか。あっちのことは「思い込み」かいや違うか、というふう
に。

そこで「思い込む」という言葉を辞書で調べてみると

(1) 深く決心する。

(2) 心を打ち込む。執心する。

(3) ひとりでそのように考えてしまう。

けっこう意外。(1)と(2)の意味は考えてもいなかった。「思い込む」と
言えば、当然(3)の意味だと思い込んでいました。
でも(1)と(2)の意味はこれからも使いそうにないなあ。
(1)と(2)の意味で「思い込む」という言葉を使ってる人の記憶がないん
だけれど。これも思い込みなのか。

とりあえず(3)の意味だけに絞って、「思い込み」から連想する言葉をな
らべてみます。

(1) 思い違い

(2) 固定観念

(3) ドグマ(独断・独善・独断的な説)

(4) イメージ

(5) 信じる、信じ込む

◆「思い込み」は良い?悪い?◆

良い、悪いと二者択一的な考えはあまりよくないかもしれないし、実際完全に
良いもの、完全に悪いものというのもあまりないように思うんですが、僕自身は
「思い込み」という言葉からはやはり悪い印象をうけますねえ。
やはり、というのは他の大多数のひともそうだろうと勝手に思っているからなん
ですが。

「思い込み」から連想される言葉として五つあげたなかで、(1)から(3)は悪い
印象で(4)と(5)はどちらかというと良い印象です。

でも「思い込み」といえば(1)から(3)の意味で使ってるのが大部分だから
悪い印象をうけるのはあたりまえですね。

(4)と(5)をみてみると、(4)のイメージからはイメージトレーニング、(5)の
信じる・信じ込むからは宗教ということを考えてしまうんですが。
どちらもやってる本人は良いと思っているだろうけど、他人がみれば、なにを
馬鹿なことを思い込んでやってるんだか、というふうになっちゃうかもしれない
ですねえ。
とすると(1)から(3)も、たとえば固定観念にしても外からみればあの人は
固定観念にとらわれているとなって悪い印象だけれど、そういわれている当人
はそれはそれで良いことだと思ってるんであり。

あれ?
結局、良い悪いは外からみたときだけで本人にとっては「思い込み」はいい
こと?
それじゃあいままでの俺の「思い込み」はどうしちゃったんだよ〜

◆とりあえず「まとめ」のようなもの◆

とはいってもこれだけ拡散しちゃったらまとめらんなくなっちゃって。

どうも自分は物事を断定できないというか、そう一つのことに結論付けちゃって
いいものかというのがあるから、どうも論理明晰な文章が書けない。
断定するっていうのもある種の思い込みとも言えるから、それでいいのかも
しれないけれど。・・・・・・・・・

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○編集後記○

週一発行でなんとか軌道にのれそうなので、しばらくはこのペースを守って
行こうと思います。

いま仕事の関係で、県の工業技術研究所というところがやっているデザイン
スクールに2週間に一度行っているんですが、これがなかなか面白いです。
デザインといっても色や形を実際につくりだしていくのとはちょっと違い、広い
意味でのデザイン、商品開発のようなことを、架空会社をつくって実習してい
くというもので、最後にプレゼンテーションとして発表していくんです。
そのうちここでのことも「ぴょんかつ」に書いていければと思っています。

それではまた。

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