歴史地図ソフト

CENTENNIA


 ジャンルを問わず、私が今まで出会ったCD−ROMのソフトのベスト3に入る逸品である。

 いわゆる歴史地図というものがある。例えば上記のものはある本に載っている1515年のハプスブルグ家の所領である。こういう地図は歴史のある断面・特定の時点での国境の状態をストップモーションで見せ、理解を深めるのに欠かせないツールといえる。が、最大の欠陥は印刷されたストップモーションであるが故に、例えばこの3年後にはこれがどうなったのかという、同じ場所の推移が見えない。またこの時、この地図の枠外はどうなっていたのかというのも見えない。文章で記述するにしても、特定の場所の時系列の推移と、広範囲な場所の特定の時点の記述を両立させて表現するにはどうしても限界がある。

 これを両立させてしまったのがこのソフトである。西暦1000年から1995年まで、ヨーロッパを中心に北欧、ロシア、北アフリカから中東に至るまでの地域の、各国家の国境線の推移を月単位で表現しているのである。

1645年9月:30年戦争まっただ中でスエーデン軍が北ドイツを席巻し、バイエルンまで達している。ローテンブルグの市長が市民を救うためにワインを呑み干した話や、ディンケルスビールに残る伝説の背景はこういことだったのである。

1650年初:1648年にウエストファリアの講和で三十年戦争が終結してまもなくの地図である。旧東独の北部、現在のメクレンブルグ(北ドイツ)にはスエーデンの色が残っているのがわかる。ここはかなり後までスエーデン領として残った。

1700年初:ザクセンのフリードリッヒ・アウグスト1世はポーランド王を兼ねたため同じ色となっている。それにしても周辺の大国のまとまりに比べて、「いわゆる」ドイツはなんとバラバラであることか。これが「ドイツ問題」の本質だということが理解できる。

部分的に拡大してより細かい領邦国家の状況を見ることが可能である。逆に縮小して中東から北アフリカ、全欧州を俯瞰することもできる。小さすぎて名称が記載できない場所は、カーソルを持っていく吹き出しに表示される。

1848年4月:フランクフルトのパウルス教会での国民議会招集の直後。デンマーク戦争でプロイセンがシュレスヴィッヒ・ホルシュテンとデンマークの一部を占領している。また神聖ローマ帝国は崩壊しており、ベルギーの色はハプスブルグと別の色になっている。(前の地図では同じ色)

1870年6月:普仏戦争直前の状況である。北ドイツは実質的にプロイセンによって統一されているのがわかる。この時点でもまだ「ドイツ」というのは国家の名称としては登場していない。それは1871年1月のドイツ帝国樹立まで待たねばならない。このような流れの中で「ドイツ人」というアイデンティティとは...?

ドイツについて見たが、場所をずらせてロシア、トルコ、フランスなど欧州から中東までをカバーしている

(1)年代の設定など

1)左上のボックスに見たい西暦年号を直接インプットする。+/−ボタンによって月単位で微調整できる 2)ボックスの右に見える先送り、早送り、戻し..などのボタンでアニメの様に連続して推移が観察できる3)更に任意の2年号を記憶させ、年号ボックス左のボタンでワンタッチで切り替えて比較することもできる

(2)右側のボタンの説明

1)矢印:小さくて国名の表示がされていないところを矢印カーソルを合わせて「吹き出し」表示させる
2):見たい範囲に地図をずらすことができる
3)ルーペ:右クリックで拡大、左クリックで縮小(広範囲表示)する。10ステップくらいの刻みがある
4)地図:地図の全体像の中から見たい範囲を選択することも出来る
5)年表:表示されている地図の時代の主要な出来事が記述されている
6)プリンタ:地図をプリントすることができる
7)他にも人名などの検索機能が付いている。

*)また地図をBMP形式でクリップボードにコピーすることもできる。上記のものはそうして作成した。ここで紹介した画像は圧縮のためかなり劣化しているが、オリジナルの画面は小さな文字や細かい国境線まではっきりと見える。

宣伝する義理は無いのだが、歴史に興味を持つ者にとってこれでDM69.−は安い!

HEUREKA Klett のホームページ

 このCENTENNIA (チェンテニアと読むらしい)に関する情報は
    http://www.klett-verlag.de/heureka/lernsoftware/index.html

 またこの出版社は他にもドイツ戦後史、語学、音楽関係などの教育・教養ソフトを多く出している
    http://www.klett-verlag.de/heureka/