98.12.31

 今日は年末なので車を洗いに行ってきた。
のだが、誰も考えることはいっしょなのか、ガスタ大盛況。
おかげで遅刻した。

5分ぐらい遅れて行くと、やはりAさんは来ていない。
まあ、いつものことだ。
もはや誰も気にしない。

さらに5分後、やっとAさんが来た。
相変わらず死にそうだ。
もしかするとこの瀕死の状態が普通なのかもしれない。

掃除も終わって、客もいないのでのんびりしていたら、Aさんにそばはいつ食べるものなのか訊かれた。
年越しそばのことを言っているらしいのだが、いつってなんなんだ。
そう言ったら、「今食べてもいいのかな?」と言われた。
そう言われると難しい問題だ。
まだ18時前。
年越しが切実に迫っているとは言えまい。
2人でしばらく考えたのだが、いつもどおり分からない。
なんでこの人はどう考えても分からないことを常に持ち出すんだろう。
気が向いたら食べるということで落ち着く。

突然客が入ってきて、ダンボールをくれと言う。
しかも15枚。
いくらコンビニだからって、いつでもそんな数のダンボールが転がっているわけじゃない。
しかもこいつ、なんだかえらそうでむかつく。
Aさんは断ろうとしたのだが、俺は半分嫌がらせで、缶ジュースの入っていた小さな箱の山を見せてやる。
荷造りなぞにはとても向いていない奴だ。
いらないと言われると思ったのに、これでいいと言われてしまった。
そいつが立ち去ったあと、奴があれをなんに使ったのか、当然のように議論が始まる。
どう考えても分からない。
俺が諦めかけると、Aさんは突然顔を輝かせ、「燃やすに違いない!!」と言い出した。
まあ確かに燃やすぐらいしかできない箱だが、燃やしてどうするのか。
俺がそう言うと、「でも燃やすんだ。」と言われた。
もう疲れた。そういうことにしておこう。

次に現れたのは警官だ。
ずかずか近づいてくると、「ここは今日も24時間だね?」とか言ってくる。
当たり前だろう。
店を閉めようにもこの店にはシャッターすらない。
さらにそいつは、「米はある?」と訊いてくる。
もはやなんだか分からないので場所を教えてやると、4キロも買っていった。
防犯対策か買い物か、どっちかにしろ。
彼が米をなんに使うのかAさんに相談してみる。
「決まってんじゃん。これから鍋やるんだよ。」と言われた。
鍋はともかく、だからって米か?
普通うどんとか使うんじゃないだろうか。
しかもあいつは、警棒も拳銃も持ってなかったぞ。
怪しい。
が、やっぱり考えてもしょうがないので休憩をとる。

大晦日だからそばを食べようと思って売り物のそばを物色しつつ、
Aさんに「今食ってもいいよね?」と訊いてみる。
と、別売りのてんぷらを買わなきゃだめだと言われた。
確かに海老天が2尾入ったてんぷらがある。
が、小さい。
なんだこのえびは。
衣の半分にも達していないのが一目で分かる。
これじゃ無理だと言ったらそれじゃないと言われた。
確かにもうひとつてんぷらと書いてあるものがあるが、
どうひっくり返してみても揚げかまぼこだ。
Aさんは昨日これにだまされたらしい。
てんぷらだと書いてあるから買ってみたら、揚げかまぼこだったと言うのだ。
しかもひっくり返して品名を見てみると、しっかり揚げかまぼこと書いてある。
わけがわからない。
こんな矛盾だらけのものを販売しようと言う奴もだが、なによりAさんはどうだまされたのだ。
だって見た目揚げかまぼこじゃん。
そう言おうかと思ったが、いいかげん疲れたのでやめる。
当然こんなもの買うわけにはいかないので、海老天1尾の入ったざるそばセットを買って休憩する。

休憩が終わってレジに立つ。
Aさんが休憩に入ろうとしたとき、厄介なおばさんが入ってきた。
どうやら携帯電話のメモリを11桁に変更したいらしい。
ざっとやり方だけ教えて戻ると、エラーが出たと騒いでいる。
見に行くと、電源が入っていない。
そりゃエラーも出るだろ。
説明書きに書いてあるんだから読んでからやってくれ。
すると、すぐに暗証番号が0000にセットされてないとエラーが出た。
やれやれ。
変え方を教えてやる。が、こいつ、元の番号を覚えてない。
誕生日やらなにやら聞き出して、なぜか俺がどんどん試す。
コンビニの店員にはハッカーの才能も必要らしい。
10分以上かけてやっと番号が合った。
面倒なので、さっさと変換機にかけてやる。
レジに戻ると1分もしないうちに、「終わったんですけど。」と持ってきた。
うまくできてるのかと訊いてくるので、適当な電話帳を開けと言うと、こいつ、それもわかってない。
どうやって今まで使ってきたのか。
もういい。
俺は充分がんばった。
電話を奪い取って0.5秒眺めた後、できてると言い張って追い出す。
俺がこいつにつきっきりだった為、Aさんは休憩がとれず、俺をじっとり見ている。
倒れそうになりながら「行ってらっしゃい。」と言葉を発して、俺は殻に閉じこもった。

Aさんは帰ってきてしばらくして、突然ビリヤードをしなければと言い出す。
理由を訊くと、「ボーダーはビリヤードができなきゃいけないんだ。」と言われた。
その文化についてはまったく分からないが、ビリヤードは好きだ。
もう議論する気もおきないので、今度行こうと言っておく。

兄ちゃんに「延長コードか蛸足ってあります?」と訊かれた。
どうやらずっと探していたようだ。
探してから訊きに来るとは感心なやつだ。
そういう奴に協力は惜しまないぞ。
それ系の棚の前に行って一番最初に目をやった場所。
あれは延長コードと言うんじゃないだろうか。
こいつはさっきからこの辺でうろうろしてたような。
思わず固まりながらそう思っていたらこいつも気づいたらしく、なんか謝られた。
灯台下暗しの絶大な威力を思い知る。

おっさんが細長いパンを持ってレジに来た。
どれ、打ってやろうと思ってふと見ると、おっさんが持っていた真中部分でパンが半分ちぎれている。
こいつがこのパンにどんな思い入れがあるのか知らないが、加減という言葉を覚えたほうがいい。
まあ、こいつは特に気にしてないようだから、俺に文句はないがね。

もう終わり近くなって、今日洗車をしてきたとAさんに言ったら、
かっこいいと言われた。
Aさんは洗車をしたことがないらしい。
ちょっと待て。
いい車乗ってるじゃないか。
洗ってやれよ。
さらに、ガスタでなんと告げれば洗ってくれるのかと言われた。
洗車してくれと言えばいいに決まっている。
そう言おうとしたら、「洗ってください。かなあ。」
とか1人で考え込んでいる。
まあそれでも良いんじゃないかと言おうとすると、「てもみで・・・」とかなんとか言っている。
車を手揉み洗いしてもらってどうする。
もう俺にはなにも言えない。

うるばあ登場。
相変わらずうるさい。
こいつは毎回うるさいだけなので面白くない。
バリエーションのある奴求む。

終わりだ。
T君が登場する。
今度はなにも崩さなかった。
俺も成長したものだ。
高校について少し話す。
彼の兄が俺の高校のひとつ上にいたらしいのだが、心当たりなし。
会話終了。
まあじっくり行こう。

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