98.12.25

あーあ、クリスマス。
なぜ俺はこんなところにいるのか再び考えながら掃除を始める。
やっぱりAさんはまだ来ていない。
まあ、もしも来ていたら今日は悪いことがあるに違いない。
どうせ来てるはずがないんだが。

5分後にAさん到着。
相変わらず死にそうだ。
夜仕事ばっかりやってるんだから、昼間寝ればいいと思うのだが、
昼間は昼間でばっちり遊ぶことがままあるらしい。
そのバイタリティと今の死にそうな様子のギャップについて考えてみたが、
考えたところで分かるはずもない。
やっぱり理解不能だ。

仕事を始めるが、
ひま。
だいたいこんなときにコンビニに足を運ぶ奴もいないだろう。
うちの店にシャッターがないのはおかしいと本気で考える。

・・・・・・・・・・・・・。
あまりになにもない。
あっという間に20時を過ぎてしまった。
一応客も少しは来るのだが、俺の中でヒットするような奴は一人も来ない。
Aさんも今日はおとなしい。
何かいやなことでもあったのだろうか。

とか考えていたら、
Aさんが背中がこると言い出した。
「はりって効くのかなあ?」
とか言っている。
なんでそこまで思考が飛ぶんだろう。
ちゃんと布団で眠ればいいだけの話だと思うが。
おおかた今日は行き倒れで寝たんだろう。
「効くらしいけど高いんじゃないの?」
と言ってやったら、いやな顔をされた。
高いのは俺のせいじゃない。
なぜ東洋の神秘系の医療機関は高いんだろう。
そう考えていたら、Aさんは、「トントントントントン・・・・」と言いながら、
針を人体にうめこむ作業の真似をしていた。
テレビで見て気に入ったらしい。
もういいや。
面白いから放っておこう。

その後で、実家の話になった。
Aさんは実家に3年ぐらい帰ってないらしい。
気づくと3年経っていたそうだ。
そういうものかもしれないが、そういうもんでもないと思うぞ。
秋頃に1回帰ったといって説明されたのだが、
友達と現地集合で遊びに行くときに、
夜勤明けに実家まで行き、夕方まで眠ってすぐに出かけたそうだ。
どうひいきめに見ても、帰省なんていう代物じゃあない。
ところが、「1回帰ったから年末は戻らなくていいや。」とか言っている。
勝手にしてくれ。

最近いろんな人に煙草をやめろと言われるので、
Aさんにどう思うか訊いてみる。
「無理。」
やっぱり思った通りだ。
誰に訊いてもこう言うに違いない。
Aさんが話してくれたのだが、
Aさんが大学2年だか3年だかのころに卒業した先輩が、
1年後にいなくなったと思ったら肺ガンで急死していたらしい。
そのときはライターごと煙草を捨てたらしいのだが、
「3日しかもたなかったねー。」
だそうである。
「だから無理。」
と言われた。
いまいち文法的に繋がりにくいが、無理なのはよく分かった。
きっと俺にも無理なんだろう。

あーーーーーーーーー。
暇な1日だった。
来年はクリスマス前後にバイトをするのはやめよう。


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