98.12.24

 今日は少し早めに着いたので、
店長がジュース整理をしている目の前でハンバーガーを食べてたばこを吸う。
ふと見ると、おお!!!店長が在庫を数えて発注している!!
これは、今度の土曜日には良いことがあるに違いない。
後は店長が数を数えられるのを願うばかりだ。
17時ジャストにタイムカードを打って掃除を始める。
副店長はまだ来ない。

15分後、掃除が終わる。
副店長はまだ来ない。

ふと、やや煙たいことに気づく。
まあいい。俺は細かいことは気にしない男だ。

いよいよ煙が濃くなる。まさか、このにおいは・・・・
やっぱりだ。さっき俺が吸ったたばこが灰皿の中で他の吸殻に引火、大火災となる。
しばし、店長とポット給水用の水差しで消火活動に励む。
副店長はまだ来ない。

17時20分、電話が鳴る。副店長だ。今起きたらしい。

ジュース1本の客が来る。
年賀状は置いているかと言うので、置いていると言うと、なにやら暗算をしているようだ。
2分ほど待たされてから6枚くれと言われた。
50円が6枚で300円になることぐらい九九を習った小学2年生でもできる。
奴は一体そんなに何を考えていたのだろう。

17時40分、ようやく副店長が到着する。
すでに死にそうで、息せき切って入ってきた。
レジで待っていると、すぐに着替えて出てきたが、
突然にっこり笑って「おはよう!!」と言われた。
むう、やはりわけがわからない。この人は理解できないと改めて思う。

むさいおやじがコスモスというマイナーなたばこを2カートンくれと言ってきた。
残念ながら1カートンと9箱しかなかったのでそう言うと、「売れねえんだよ、コレなあ!!!」
と言われた。
分かっているなら買うんじゃねえと思ったが、本当に売れないだけに在庫の処分はした方がいいので黙っていた。

次に中学生ぐらいのガキの集団が来た。
一番嫌いなタイプの集団だ。俺があのくらいのころはもう少しましだったと思うが。
本当にましだったのかは自信がないので文句を言ったことはない。
一人、シャンパンを買おうとして、金が足りないらしく、隣の奴から強引に奪って払っている。
まあ、払ってもらえれば文句はないのだが、
立ち去り際、そいつは何を思ったかおつりを募金していった。
募金するのは結構だが、やっぱり奪った奴に返すべきなんじゃないのか?

常連のとってもいいおばあちゃんが来た。
あれ?あの人はさっき俺が来たころ帰って行ったのでは?
なんだか、お歳暮にもらった十勝ワインをおすそ分けに来てくれたらしい。
やっぱりいい人だ。
だが、店に置いておいても勤務中はやっぱりまずいだろう。
どうするんだろう?

俺がレジにたまったカゴを戻しに行くと、カゴ置き場の前で20台半ば頃のお姉ちゃんがボーっと立っている。
少しためらったが、待っていても話が進まないので「失礼しまーす。」と言ってカゴを置いた。
そのとき、そいつは突然動き出し、俺に体当たりをかましたあげく、すねに蹴りを入れてくれた。
さんざん謝ってくれたのでもういいのだが、歩くときに前を見る癖をつけたほうがいい。

次にやってきたのは店の上に住む家族だ。
ここの奥さんは常連で、店員ともよく話してくれるし、
子供2人も俺のことを覚えていて、外であっても挨拶をしてくれるので俺は好きだ。
そこの子供が不思議なカタチの物体を握っている。
副店長はとてもそれが気になったらしく、「なにそれえ〜?」とたずねている。
いったん無視されかけたのだが、
奥さんの「なに?だって。」という台詞で、子供から「ブーメランだよ。」と答えが返ってきた。
Aさんは1人「ブーメラン・・・・」とつぶやき、なにやら笑っている。
しばらくして、やはりどうしても気になったらしく、よせばいいのに「飛ぶの?」とかたずねている。
今度はあっさり無視されたが、Aさんは気にせず、「欲しい・・・・」とつぶやき続けている。
どう考えても分からない。

その家族が去ってしばらくして、Aさんは俺に指を見せて、縦割れになって痛いとこぼした。
確かに指の皮が爪に食い込むほど縦に割れている。
とっても痛そうだ。
しょっちゅう苦しんでいたあかぎれがバージョンアップしたらしい。
いたそうだし、かわいそうだが、俺にはどうすることもできない。
まあ、今日はレジは俺が積極的に打ってやろう。

上に住むおっちゃん登場。
今日1日勉強して、子供へのプレゼントを買ってきたらしい。
何を勉強したのか分からないが、いいお父さんだ。
ところがAさんは、「買ってっても子供に『ベー』とかって捨てられちゃうんだ。」
と言って、気に入ったのかしきりに「ベー」を繰り返している。
副店長がコレじゃあ、この店ももう長くはないな。

やっと休憩時間となる。
俺が「鼻水出るんすよ。」と言って鼻をかんでいると、「鼻水病だ。」と決めつけられた。
そんなことがあるものか。
先ほどの感想をさらに強く持つ。

休憩が終わって、レジに立つ。
予約のクリスマスケーキと、プレイステーションのソフトをおっさんが取りに来た。
どうやらクリスマスのプレゼントらしい。
まずケーキを取りにウォークインに行く。
予約票を確認して、持ってくる。
ソフトを出して、レジ打ちしてから、普通の袋でいいか訊いたら、
いいと言うので普通の袋に入れて出そうとしたら、やっぱり何か袋はないかと言う。
出せと言われればサクッと出すので、妙な躊躇はしないで欲しい。
クリスマス用の袋が届いていたので、ケーキに合う袋を探すが、どれも入らない。
ケーキはあきらめて、ソフト用のを探す。
ぴったりのが見つかったので、入れた上にリボンを貼りつけてやったら、感謝していた。
ところが、リボンをつけた上に手提げタイプの袋ではどうもしっくり来ない。
手提げ部分を折って、ここを貼りつけてもいいか訊くと快く承知してくれたので、
「ただのサ●クステープでいいですか?」と訊くと、
「あ、いや、えー、その・・・・・・なんでもいいです。」と言われた。
どう考えてもいやそうだったので、意地悪しないでプレゼント用のテープを貼ってやった。
だが、なんでもいいと言うと本当にやる奴がいるので注意した方がいい。
すべてが終わると、彼はラッピングに悩んでいたらしく、「いやー助かった。」と言って、
「何から何まですいません。」と出ていった。
レジにいたのが俺だったことに感謝するべきだ。

休憩が終わってAさんが出てくる。
ケーキのやり取りは察知していたらしく、袋を指差して、
「入んなかったでしょ。」とおっしゃる。
頼むから先に言ってくれ!!
俺の心の絶叫をよそに、Aさんはてきぱきと働き始めた。

さしたる事もなく、次の休憩。
だが、事件は休憩中に起こった。
電話が鳴る。
「先ほどケーキを取りに行ったんですけど、中身が違うんですけど。」
なにい!!それはやっぱりさっきのアレか?
そんなばかな。
俺はケーキの上においてあった予約票店控えと照らし合わせたんだぞ?
控えを持ってきてみるが、やはり客控えと寸分たがわない。
彼はケーキを持ってすぐ来ると言う。
Aさんに相談するが、
俺たちが来る前に他の店員が別の奴に間違えて渡してしまったことぐらいしか思いつかない。
もう在庫はない。
途方にくれていると、彼がケーキを持って現れた。
事情を話すが、彼も困る。
時刻はもう21時。
他の店は閉まっている。
ケーキなしでは家族団欒ぶちこわしだ。
彼は15分後にまた来ると言って出ていってしまった。
それからAさんは、近場の同系列のコンビニに電話をかけまくる。
しばらくして、「あった!!!!」と叫び声が聞こえた瞬間、Aさんは飛び出していった。
ケーキを買いにいったんだろう。
彼は15分後に来たが、Aさんが買いに行った話をすると、にやりと笑って、
「すごいなぁ。」と繰り返していた。
万事解決。
ケーキは彼の手に渡り、おまけにクリスマス用のお菓子セットをもらって、彼は満足して帰っていった。
後は余分にケーキを買った分の帳簿あわせだが、
そんなことは俺もAさんも慣れすぎている。
コンピュータとレジをいじくって、30秒で帳尻は合わされた。

そんなことをしていたら、もう22時近くになってしまった。
Aさんは遅い休憩を取り、俺はレジ点検を始める。
すると、また見知らぬ男に「おはようございます」と言われ、今度は100円玉を崩した。
彼が新人のT君だと気づくまでに20秒はかかった。

俺は点検が終わってすぐ帰ってしまったので、T君と話す計画は進行しなかった。
まあ、また機会はあるだろう。


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