宣伝です ( 9月25日号)「ホワイトバンド」――今年7月ごろから日本でも販売をスタートし、「各界有名人が3秒に一回指をパチンと鳴らす」テレビCMが流れていたのでご存じの方も多いだろう。 ホワイトバンド・キャンペーンは、今年7月に開かれたチャリティーコンサート「ライブ8」とともに、世界中で展開している貧困撲滅の国際的なプロジェクトのひとつだ。具体的には、シリコン製の白い腕輪を300円で買うと、売り上げの一部(約 29円)が途上国援助の活動をするNGOの活動資金に回る。また、そのバンドを腕に巻くことで「貧困撲滅」の意思を表明することになる。1年前、組合教宣部は、「組合員が語る平和の本」を発行した。これは、東京建設新聞の平和特集に掲載された組合員さんの記事(戦争体験記など)を一冊にまとめたものだ。この本、売り上げの 20%を平和に寄与する団体に寄付することを前提に定価500円で販売をしており、今年の3月にはユニセフに対し1回目の寄付をおこなった。偶然だが、白い腕輪と仕組みが似ているでしょ。「平和の本」は腕にも巻けないし、オシャレ感もない。 ただ、延べ113人の仲間が書いた「平和への思い」が270ページにぎっしり詰まっているのが唯一の自慢である。ぜひご一読を。
候補者選び ( 9月5日号)今回、郵政民営化に反対する議員を落とすために自民党が送り込んだ対立候補は、特徴的な点がいくつかある。@女性が多い、Aすでに他の分野で活躍している人が多く、したがって、落選してもたいして困らない、などだ。自民党はこれらの目玉候補を、いったいどうやって決めているのか。 選ぶルートは2つ。武部幹事長中心の「党ルート」が一つ目。そして飯島首相秘書官中心の「首相官邸ルート」がもうひとつだ。飯島秘書官の場合、人名録「読売年鑑」に載っている有名な女性の文化人・学者の中からピンと来た人物に片っ端から電話をかけるという方法で候補を選ぶのだそうだ。 中越地震当時、山古志村の村長として村の復興に尽力していた長島忠美氏も今回比例区で擁立された。最初は「地域で災害復旧を支えていきたい」と出馬を断っていたが、首相周辺から自民党新潟県連の人に「長島氏を出せないのなら、災害支援もこれまでのようにできなくなる」との連絡が入り、同氏を説得して出馬したという経緯があったとか。 どちらの話を聞いても「そんなやり方で国会議員の候補者を選ぶなよ」とひとこと言いたくなりません? それとも、彼らの思惑通りに一票が投じられ、まんまと当選してしまうのかなあ。
多大な損害と苦痛 ( 8月25日号)敗戦 60年めにあたる今年8月15日。政府は首相談話を発表し、小泉首相は全国戦没者追悼式で式辞を述べた。どちらでも言及されているのが、先の大戦でアジア諸国の人々に対して与えた「多大の損害と苦痛」へのお詫びだ。ところでこの「多大」ってどれぐらいの量なのだろう。損害にもいろいろあるが、ここでは人間の命、つまり犠牲者数で、「多大」の具体的な数字を点検することにしよう。 アジア太平洋戦争で日本軍が殺した死者数を国別に見ると、中国が1000万人以上(2000万人という説も)で一番多い。次いでインドネシアの400万人、ベトナム200万人、フィリピン111万人。さらに韓国・北朝鮮、ミャンマー、シンガポール、マレーシア、タイとアジア諸国が続く。アジア以外では、米国・英国・オランダなど。中国人の犠牲者がこれほど多いのは、@捕虜を大量殺戮した、A一般民衆を虐殺した、B掃討作戦をおこなった、ことが理由だという。 合計すると、少なくとも1800万人以上の人たちの命を奪ったのだ、日本軍は。そして日本の死亡者は、約230万人。 ちなみに第2次大戦で、ナチスドイツがおこなったホロコーストによるユダヤ人犠牲者の数は、約600万人である。
茶碗 ( 7月25日号)夏といえば、怪談の季節。有名な「番町皿屋敷」は、 1枚の皿を割ったの・割らないのというイザコザが原因で起こる悲劇だ。さて、同じく食器にまつわるこんな「怖い」話はいかがだろう。『トラウマの国』(高橋秀実著)という本の中に「妻の殺意」という章がある。「妻が夫を殺した実例」「妻が夫に殺意をいだく瞬間」を調べたルポルタージュだ。 40代のOLが「夫に殺意をいだく」理由では、こんなふうに書かれている。「それと茶碗」「茶碗ですか?」「そう。食べたら流しにつけておいて、と言ってるのに、流しを見たら彼のお茶碗が水の上にプカプカ浮いてたのよ。水にくぐらせろって言っただろ。意味ないんだよ、それじゃあ」 目を閉じれば、状況が目の前にリアルに浮かんでくる。この欄を読んでいる男性の皆さんも似たようなことをして、注意された経験があるのではないかな。 この夫、きっと一回どころではなく、何回も「茶碗プカプカ」をやってしまったのだろう。さらに女性は「茶碗プカプカ」だけで「殺意をいだいた」わけではあるまい。生活のいろいろな場面で似たような状況に遭遇したに違いない。 おや、あなたは他人事みたいですね? 「食器なんか運んだことないから安心だ」ですって! なんまんだぶなんまんだぶ。
アスベスト被害 ( 7月15日号)機械メーカー、クボタの発表から始まった、まさに堰を切ったようなアスベスト被害の報道。新聞を開くたびに死者数はすごい勢いで増える一方だ。 一連の報道を通じて、@進行が早くて難治性のがんである「悪性中皮腫」という病気の存在、A中皮腫の発病はアスベスト暴露と深い関係にあること、の2点が広く世の中に知られるようになったのは、一歩前進といえる。この 2点は、私たち建設組合の仲間なら知っている人がかなり多いはずだが、一般社会では、あまり知られていないのが実情だったからだ。しかし、周りに住む住民への被害、つまり「公害」という面での認識が、私たちにあったか。残念ながら抜け落ちていたのではないだろうか。 建設業者・家族がアスベスト暴露の「被害者」になる可能性が高いことは、前から組合でも訴えていた。しかし今回ハッキリしたこと、それは、「被害者」になる可能性と同時に、まわりに住む一般市民に対しては「加害者」の立場にもなりうる(いや、すでになっているかも)ということだ。このことは、市民たちも今回しっかりと認識しただろう。 これから先、「被害者」にも「加害者」にもならない対策をとること。今回の騒動は私たちにとっても、ものすごく責任重大なのだ。
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